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映画の話8 愛の嵐

 この映画を観た時は衝撃でした。記憶に心の記憶と身体の記憶があるとすれば、身体の記憶を描いた作品だと言えるかもしれません。退廃的でアンモラルな世界と、ナチスの非人道的な行為と、身体に刻み込まれた記憶に蹂躙されたユダヤ人女性の矛盾した在り方が、この映画の全編を覆っていて、そこがある種の究極の愛の形をかたどるしかけになっていると思います。現代社会の一般的な価値観からすると果たして愛だと言えるのか、私にはわかりません。でも、矛盾だらけで不条理に満ちた世界の中で、裏腹なものへと魅惑され、タブーを犯す人間のどうしょうもなさを深く抉るように突きつけている文学的な映画だと思います。

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