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映画の話12 街の灯

 初めて観たのが小学5年の頃で、その後、たびたび観るとても好きな映画のひとつです。とても笑えて、とても泣ける映画だと思います。
 盲目の花売りの娘は、盲目ではあっても、心の眼が見えるからこそ、美しい花を売ることで生計を立て、「浮浪者チャーリー」の真の優しさに惹かれます。一方、チャーリーの稚拙な見栄の張り方も、その人間臭さに共感します。チャーリーのおかげで眼が見えるようになって、それと引き換えに娘は心の眼で見えなくなってしまいます。ただ、ラストで、一輪の花と、触れた手の記憶によって、また閉ざされた心の眼がわずかに開いて「浮浪者チャーリー」をわずかに視る、そこに『街の灯』がどこまでも人間の真心を信じている映画なんだな、と思います。また、狂った時代の中で、人々からあたかも狂人のように扱われる「浮浪者チャーリー」は、まともな人間だと思います。
 人間の見栄や、愚かさや、時代に流される群衆や、その愚かしさ、滑稽さ、でも人は優しさや真心も持っていて、捨てたものではない、どこまでも人間の善なる部分を信じようとする映画のような気がして、観るたびに泣けてたまりません。

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