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映画の話312 踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!

 最新式の要塞のような湾岸署がプログラムを改ざんされ閉じてしまい、社員が外に出られなくなるという、一見荒唐無稽で、でもこれも今からすればリアルな設定をコミカルで軽妙な調子で描いています。
 一方で、小泉今日子扮するサイコパスな犯罪者と、それに心酔する人たちの様子や、無言でいっせいにスマホを向けて撮影する人たちの不気味さなどは、まさに現代の日常の風景になっていると思いました。
 青島刑事が湾岸署の分厚い鋼鉄の隔壁を木材で叩いて、確かにここにいるよ、と知らせるシーンは、抗しきれないデジタル化や、世相に、それでもシンプルな形で抗う生身の身体の象徴のようでした。

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