青春の後ろ姿のその先22 〜グロテスク〜
桐野夏生は、どの半 本文も人間の本性を抉るように描いて読む者に突きつけてくると思います。誤魔化さないというか、鋭い刃を真っ直ぐに突きつけてくる感じがします。だから好きです。
『グロテスク』はもう、このタイトルがぴったりで、これ以外にないと思わせます。コンプレクス、嫉妬、見栄。誰もが心の中に抱いてはすぐに蓋をして覆い隠そうとするグロテスクな感情を前面に押し出して描き切っています。芥川龍之介の『羅生門』とか『藪の中』なんかもそうなんですけど、
「あなたも五十歩百歩ではない?」
そう問いかけられている感じがします。
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