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【小説】瑠壱は智を呼ぶ

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ラブコメ作品『瑠壱は智を呼ぶ』のマガジンです。作品に関しては目次(URL:https://note.com/soufu3414/n/ne449f535599f?magazine_… もっと読む
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目次/瑠壱は智を呼ぶ

目次/瑠壱は智を呼ぶ

※前作「朱に交われば紅くなる」シリーズの読者様はこちらも合わせてご確認ください。

作品概要1.あらすじ 今思い返せば、一目惚れだったのかもしれない。

 夏休み。赤点を取り、補習に来ていた瑠壱(るい)は、空き教室で歌の練習をする一人の女子生徒を目撃する。

 山科沙智(やましな・さち)

 同じクラスだ、ということ以外、何一つ知らない、言葉を交わしたこともない相手。そんな彼女について、瑠壱にはひ

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【小説】雑記Part258(2021.09.01)

【小説】雑記Part258(2021.09.01)

 こんばんは。月も変わったということで、本日は改めて、現在の連載状況や、今後どうしていくつもりなのかということについて書いていこうかなと思っております。

 見出しをつけておきますので、気になる作品だけでもどうぞ。特に興味が無い場合は更新記事をご覧ください。粛々!

1.瑠壱は智を呼ぶ 現在絶賛休載状態となっている本作品ですが、今のところ連載開始の予定はありません。
 これは別に作品自体を書くのを

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26.原点/瑠壱は智を呼ぶ

26.原点/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 晩餐も終わり、ゆっくりと話を始める千秋(ちあき)。彼女が語りだしたのは自らの実家、冷泉(れいせん)家の歴史だった。
 やがて、その話は一つの事実へとつながりを見せる。冷泉千秋と花咲夏織(はなさき・かおり)。元をただせば二人は全く同じ血筋だというのだ。

本文 壮大な話だ。瑠壱(るい)からしてみればまさに歴史上の出来事と全く変わりはないし、正直なところ人生でそんな話に少しでも関わり合

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25.華族/瑠壱は智を呼ぶ

25.華族/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ メイドの恰好をした倉橋(くらはし)がれっきとした男性であることに驚いたのもつかの間、瑠壱(るい)たちの元に、見るからに豪華な料理が運ばれてくる。
 が、それらはみんな近所のスーパーで買えるような食材で作ったものだと倉橋は言うのだった。
 やがて、千秋(ちあき)の号令で、変わった取り合わせの晩餐が始まった。

本文「へぇー…………そんなやり方するんだー」

「はい。ひと手間なんですけ

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24.晩餐/瑠壱は智を呼ぶ

24.晩餐/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 案内された浴場の豪華さに圧倒される瑠壱(るい)。どこから入ろうかと考えていると、後から風呂場に入ってくる物音が聞こえてくる。

 どうしようかと考えていると、引き戸が開き、先ほどまでメイド服を着ていた倉橋(くらはし)が現れる。

 彼女──いや、“彼”は男性だった。

本文「あっはっはっはっはっはっ……じゃあ、そのまま一緒に入って来たんだ?」

 瑠壱が本日いちの衝撃を受けた小一時

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23.浴場/瑠壱は智を呼ぶ

23.浴場/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 瑠壱(るい)の父親である西園寺権太(さいおんじ・ごんた)を“敵”だと明言した千秋(ちあき)だが、そんな彼女の家にはメイドがいることが発覚する。
 倉橋遥(くらはし・はるか)と名乗ったメイドは、瑠壱が雨に打たれていたことを見抜き、風呂に入ることを提案するのだった。

本文「まじか、おい……」

 豪邸というのは風呂まで広い。

 考えてみれば当たり前だった。

 今瑠壱の眼前に広がっ

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22.従者/瑠壱は智を呼ぶ

22.従者/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 拾われるような形で千秋たちの乗っていた車に同乗した瑠壱(るい)。
 最初はたまたま見かけたと言っていた千秋(ちあき)たちだったが、話を進めていくうちに、全てが夏織(かおり)の計算の上に成り立っていたことが発覚する。
 その上で、彼女たちは瑠壱と、その妹・優姫(ひめ)にコンタクトを取りたいと言い出した。

本文「優姫……ですか?また、なんで」

 分からない。

 ここでその名前が出

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21.豪邸/瑠壱は智を呼ぶ

21.豪邸/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 智花(ともか)と沙智(さち)。二人の間に挟まれた瑠壱(るい)は逃げるようにしてその場から走り去る。降りしきる雨の中、立ち止まって呼吸を整えていると、通りすがった車がすぐそばで停車する。
 そこに乗っていたのは一人の藤ヶ崎学園高等部生と、生徒会長・冷泉千秋(れいせん・ちあき)だった。

本文「わぁー!!」

「すっげ…………」

 言葉が出ない、というのはまさにこのことだろう。

 

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20.逃走/瑠壱は智を呼ぶ

20.逃走/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 過去の話から逃げるようにして地上へと出た瑠壱(るい)。そんなところに、土砂降りの雨の中、沙智(さち)が現れる。
 瑠壱は、沙智と智花(ともか)と合わせるわけにはいかないと、必死に話を切り上げようとするが、やがて傘とタオルを持って智花が階段を上がってくる。

本文 暫くの静寂を経て、最初に口を開いたのは智花だった。

「え、どういうこと?なんでここにその子がいるわけ?」

 声のトー

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19.窮地/瑠壱は智を呼ぶ

19.窮地/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 智花(ともか)が不機嫌になった理由が分からず、取り合えず頭を下げた瑠壱(るい)。
 彼女曰く、瑠壱が、沙智と旧友の橋渡し役をするべきだという。

本文 そこから先はほとんど勢いだった。

 なにを考えたのか智花は、次々に曲を入れては、瑠壱に無理やりマイクを持たせてくる。

 最初は拒否していた瑠壱だったが、やがてそれも無駄だと悟りリクエストに応えるようになっていった。

 智花は智

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18.鈍感/瑠壱は智を呼ぶ

18.鈍感/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 昨日のことを説明したうえで、智花(ともか)から沙智(さち)の連絡先を聞き出した瑠壱(るい)。
 が、そのさなか、智花が不機嫌になっていることに気がつく。

本文 困った。

 これでも長い付き合いだから分かるのだが、基本的に智花の不機嫌は出所が分かりにくい。
 
 例えば自分の話を聞いていなかったとか、はたまた約束を反故にしたとか、そういう「分かりやすい理由」であることはまずないと

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17.詮索/瑠壱は智を呼ぶ

17.詮索/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 未完に終わったはずの『間違いだらけのハーレムエンド』。吟二は、その続編を望んでいるというならば、瑠壱の味方だというのだ。

本文「で?話を聞かせてくれるわよね?」

 おかしい。

 立場が逆ではないか。

 場所はカラオケハウス藤ヶ崎学園店一番客室。

 出演者は佐藤智花(さとう・ともか)と西園寺瑠壱(さいおんじ・るい)。今はお互い対面に座っている。

 元はと言えば聞きたいこと

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16.未完/瑠壱は智を呼ぶ

16.未完/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ 智花(ともか)と一緒にカラオケハウス藤ヶ崎学園店に再び足を踏み入れた瑠壱(るい)。昨日と同じように店長と話していると、突然父親との関係性について尋ねられる。
 瑠壱が良好ではないという事実を伝えると、店長は『間違いだらけのハーレムエンド』という瑠壱にとっても重要な作品名を出してきたのだった。

本文 『間違いだらけのハーレムエンド』

 それは瑠壱にとって大きな意味を持つ作品の名前

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15.花咲/瑠壱は智を呼ぶ

15.花咲/瑠壱は智を呼ぶ

前回のあらすじ ある種幻の曲となっている“white memories”。その存在しないはずの着メロ用音源を持っていた千秋(ちあき)。
 瑠壱(るい)がその理由を問うと、彼女は逆に生徒会室を尋ねるようにと約束を取り付けてきた。

本文 時は数時間後。放課後の大欅下に戻る。

 結局のところ瑠壱は、最後まで有益な情報を引き出すことが出来なかった。

 今年の文化祭が持つ特別性と、それに対する千秋の力

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