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重い悩みを毎日聴いても潰れないセラピストがしている2つのこと

「よく人の辛い話、暗い話を聞いても苦しくならないですね」
「人の感情を自分にもらったりしませんか?」
「自分の心も左右されたりしませんか?」

メンタルセラピストとして心と体の悩み相談に乗る仕事をしていると、よく尋ねられます。

確かにセラピストやカウンセラーを志しても、それが原因でフェードアウトする方は多いです。いわゆるバーンアウトですね。心のケアをする側のケアラーが潰れてしまうのです。

活動そのものは辞めなかったとしても、対象者をそこまで深刻な状況ではない人に絞るようになったり、活動の形態を「話を聴くこと」から「教える」方向に変えていったりする同業者の方もいます。

でも、今の僕はこれで苦しくなることはあまりないです。この仕事を始めたばかりの頃は苦しくなってしまったこともありましたが、10年近くセラピストとして活動を続けてこれました。

それには理由があります。心がけていることが2つあるのです。

(創間の趣味のひとつ、スキー中に撮影)

① 人の問題を自分の問題に引き付けて感じたり、考えたりしない


これは言葉だけでは簡単そうですが、非常に難しいことです。

僕らは人の相談を受けている時に、その人の問題を聴いているようで、自分の問題と重ねて考えていることがあります。それにより、自分の中の思いが反応していることに気づかないのです。

これが、人の相談を聴いていて「感情をもらってしまい、すごく疲れる」原因です。すなわち、相手の思いと自分の問題の思いが同調してしまうのです。

これは経験が浅いカウンセラーやセラピストの他、知識面ではしっかりしていても、自分の思いを見つめることはあまりしてこなかったプロの方にもよく起こる現象です。その結果、ケアする側が潰れてしまうのです。

クライアントさんとトラブルになってしまったり、クライアントさんの心の世界に巻き込まれることで、本来助ける側の人なのに最終的に責めるようになってしまったりします。

これを防ぐには、自分の思いを普段から見つめる習慣が大事になります。

僕はお弟子さんたちにも、それを勧めています。自分の中の思いや投影が見えていれば、実際のセッションの場でそれは出にくくなるからです。疲弊や負担を減らすことができ、お仕事を継続しやすくなります。

このようにセラピスト自身が自分の心としっかり向き合って受容した上で、クライアントさんにセッションをご提供すること。

そうするとセッションの精度も非常に上がり、クライアントさんにとって得られる成果が大きくなります。自分の主観や解釈は交えず、あくまでもクライアントさんの思いにだけ対応していく、良いセッションが行えます。

ただこれは、一朝一夕の技術や姿勢で身につくものではありません。「これはこの人の感情であって、自分の心が反応しているけど、これは関係ない事」と冷静にバウンダリーを引くのはとても技術の要ることです。

だからこそ、お弟子さんたちと定期的にトレーニングをしたり、セラピスト仲間と勉強会を開催したりしています。修練が必要なのです。

(出張を兼ねた旅先での一風景。
自分の息抜きの時間を大切にすることで、
全力投球でクライアントさんに向き合えます)

② それでも疲れてしまったら、セルフケアをする


上記の考え方を心掛け実践してもクライアントさんのお話に巻き込まれて疲れてしまった時は、自分自身にメンタルケアの施術をしてあげてください。つまり、クライアントさんに普段ご提供していることを自分にしてあげるのです。

今の自分の中にどんな思いがあるのか丁寧に見てあげて、良いも悪いもなく受け容れる。そして、それを一つひとつケアすること。

不用意にストレス化してしまったり、自分の思いが反応したりしたなら、それを手掛かりにセルフケアできるということです。

僕もセラピストの仕事を始めて駆け出しの頃は、こういった自分に対するケアを怠っていました。クライアントさん最優先で夜中まで働いていたことも。

ある日の夜、鏡に写った自分の疲れ果てた顔を見て驚愕! 泣き崩れた自分を否定することなく、丁寧に労ってあげました。そして、売上に繋がると分かっていても体力的、精神的に大きな負担がかかることは辞めました。

こうしたコツコツとしたケアと試行錯誤を積み重ねて今があります。

まとめ


このお仕事を長く続けているプロのセラピストやカウンセラーは皆、このような方法論と対処法を身につけています。

僕は X(Twitter @sou_motto)を中心にフリーで長く活動していることもあり、毎日たくさんの方からDMをいただきます。

時には、夜中に自殺をほのめかす言葉や自傷行為の写真が送られてくることもあります。メンタルセラピーの個人セッション中に刃物を持ち込まれたこともありました。

それでも続けられるのは、今回お伝えしたようなことを日々実践しているからです。また、あれこれ試してきた中で、自分が無理なく続けることのできる仕事のスタイルやキャパシティを把握しています。闇雲に手を広げず、必要に応じて外注もします。

(このnoteの記事も、創間が過去に旧ブログで書いた記事や口頭で話したことを元にアシスタントが編集しています)

一方、我流でバーンアウトしていく方も少なくありません。セラピストの目線で見ても「いいものを持っているな」と感じる人でも、続けられなくなることが多いのです。本当もったいない!

志を高く持っている人ほど、継続して優れたパフォーマンスができるようにその技術と姿勢を身につけてほしいと願っています。


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クライアントさんへの対応でお悩みの同業者の方、悩み相談に乗るお仕事に携わる方へ

(Instagramより)

通常のメンタルセラピー個人セッションの他に、相談業務に従事する方からのお仕事にまつわるご相談もお受けしています。

今回の記事のテーマと同様、「この仕事は好きだけれど、重い悩みをたくさん聴いていて苦しくなってしまう」というお悩みのある方はもちろん、

「クライアントさんでこのような方がいて、どう対応すれば良いか分からない」
「クライアントさんからこのようなお話をされた時、どう返せば良いか分からず返答に詰まってしまう」

なども歓迎です。過去には起業を教えるコンサルタントさんの相談を受け持ったことも。

創間は元役者で、コールセンターでの勤務経験もあり、かつてはコミュニケーションや表現の講座も開催していました。そのため、クライアントさんからは「対応の仕方」や「会話力」で高い評価をいただいています。

興味のある方はお気軽に Instagram または
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