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ポディマハッタヤ・スリジャヤワルダナ・モルディブフィッシュ 《夫婦世界一周紀 19日目》

ポディマハッタヤさん

90年前半生まれのすべらない話は「一本の鉛筆の向こうに」が一番だと思う。ボガラ鉱山で鉛筆に使用する鉛を採取するスリランカ人。黄色いヘルメットをして鉛を採掘する写真だ。小学校高学年の国語の教科書に出てきて、いつまでも名前が頭から離れない。ちなみに、アメリカで鉛筆の木の部分を伐採しているトニーゴンザレスさんの話まで付いていける人かどうかで”にわか”かは分かる。

スリジャヤワルダナプラコッテ

実家にはまだソ連とユーゴスラビアが紹介されている「国旗のえほん」がある。僕よりも歳上なそのえほんで、僕は国旗を嗜んだ。あ行からスタートするから、アンチグア・バーブーダ島とかいうマイナーな国も覚えたし、世界一国名の長いセントビンセントおよびグレナディーン諸島とか、なんか変わった国名が好きだったんだろう。

ある日、いつものようにセントビンセント〜を読もうと思って(どうして何度も国名を読もうと思うのだろう)隣のページにあったスリランカの首都名に目が止まった。

スリジャヤワルダナプラコッテ

まるでドラクエの復活のじゅもんみたいだ。みんな首都をフルネームで呼ぶのかなと思って、繰り返し言っていたら、覚えてしまった。早熟だったと思う。別に小学生の時に覚えていなくても、どうせみんな中学三年になったら覚えるのだ。僕の友達でスリランカの首都を言えない人なんて、一人もいない。

モルディブフィッシュ

我が家には親がレコメンドする漫画が存在した。読んでいい年齢になるまでは麻紐できつく縛られて、押入れの底に安置されている。高校生に入って土佐の一本釣りが解禁され、大学生になって課長島耕作が解禁された。良いチョイスだと思う。

これまた小学生の時、一番最初に与えられたのは美味しんぼだった。ある日いきなり1巻から47巻までが本棚に置かれたのだ。壮観だった。僕も兄も美味しんぼのおかげでご飯を作るのが好きになったと思う。僕は生涯で20回以上ローピンを作ったし、ナスの炒め方も美味しんぼから学んだ。

24巻はカレー戦争。頭からお尻までカレー三昧で終わるこの巻で一番記憶に残ったのは、モルディヴフィッシュだった。日本のカツオブシと称されるささくれだらけの棒。砕いてカレーに入れるらしい。

スリランカに行こうと思ったのは勢いだと思っていたけれど、違ったようだ。僕の幼少期に深く関わっていて、どうにも頭から離れない国。世界一周旅行をすると決めた時はてっきりセントビンセントおよびグレナディーン諸島に行くと思っていたけれど、スリランカだったのだ。

どんな素敵な出来事が待っていようと、降り立つ前から決まっていた。兄への世界一周旅行のお土産は、モルディヴフィッシュで決まりだ。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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