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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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#子どもの成長記録

守るべきもの

守るべきもの

僕は何故かぬいぐるみが好きで、かわいいぬいぐるみがあるとすぐに買いたくなってしまう。カミさんには「またこんなものを買って来てどうするの」と言われるのだが、なんだかつい手が伸びてしまいそのたびに顰蹙を買う有り様なのである。

かわいいものを素直にかわいいと思える心というのはとても大切なことだと僕は思い、ロバやウシやオルゴール付きの人形などをそばにおいて眺めては「かわいい」と温かい気持ちになるのだが、

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電車

電車

[ 子育ての記憶と記録② ]

  
子供を初めて持った頃
寝ている子供があんまり静かなものだから
ひょっとしたら
こいつ息をしていないんじゃないかなんて
夜中に幾度か起き出して
子供の息を確かめてみたり
時には抱き上げて頭を撫でてみたりしていた
大丈夫に決まってるって顔をして
いつでも子供はスヤスヤ眠っていたのだが
自分の胸に全てを預けている子供の重みは
いかにも無防備にコトンとしているのであっ

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射的

射的

プレゼントをしたりもらったりするようになったのは、たぶんカミさんと知り合った頃からだと思う。子供の頃でも、例えば誕生日やクリスマスに親が何かを買ってくれるということもなかったし、逆に、自分が母の日に何かをやるとか、そんなこともなく過ごしてきてしまった。

昔の田舎のことで、そんな習慣も無かった。バレンタインデーなどというものが登場してくるのはずっと後のことだし、仮にあったとしても恐らくそんなものと

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第48話:認識

第48話:認識

[ 子育ての記憶と記録:1歳9か月 ]

1歳と9カ月を迎えているウチのガキこと亮太は、ただ今イタズラ真っ盛りで家の中を我が世の春と言わんばかりに暴れ回っている。

無論それは今に始まったことではなく、9ケ月で歩き初めて以来、思慮もないのに身体の発育だけは人一倍立派なこの怪獣に悩まされながら、僕らは一年に近い日々を送って来たことになる。
「他人の子は早い」と俗に言うが、全くその通りで、自分の子の成

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第38話:亮太の夏

第38話:亮太の夏

[ 子育ての記憶と記録:1]  

8月、亮太が生後8カ月を迎えている。ようよう「タッチ」が出来るようになり、「偉い。すごい」と声をかけると、ニコニコ笑いながら立っている。「ハイハイ」も大分上達し、部屋から部屋への移動も可能になった。何も出来ず、仰向けのまま泣くしか能のなかった頃に比べると天と地ほどの違いを思わせる進歩である。

不覚なことながら子供を持つまでは気づかなかったのだが、子供というのは

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愛されること

愛されること

3ヶ月に一度、床屋に行く。

床屋は好きである。何と言っても、あのシャンプーされているときの気持ちよさがいい。シャンプーをつけられて頭をゴシゴシもまれていると、頭が軽くなって、スッとどこかに持ち上げられるような感覚になる。あれが何ともいえない。整髪料をつけながら、簡単なマッサージをしてくれるが、あれもいい。頭から首、肩へ段々に下りてくるのだが、頭がポコポコされ始めると、僕は思わず肩をもみやすいよう

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