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短歌・詩・俳句

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短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。
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#存在

迷子

迷子


誰も僕を知らない街でただ僕は迷子になっていたかったのだ

死にたいと思ったことはただの一度もないが、
どこかに行ってしまいたいと思ったことなら数えられないくらいある。

秋

ふと僕はここに置かれて夕暮れの野の寂しさに包まれていた

夕暮れの光に僕が包まれて消えゆくまでをじっと見ている

輪郭は次第しだいに奪われていつか私は芒であった

秋は何故が自分の存在が希薄になるような、そんな気がしてなりません。

蛇足です。「秋」を調べてみました。

■秋の「語源」
『日本国語大辞典』には12の諸説が紹介されています。
➀食物が豊かにとれる季節であることからアキ(飽き)の義

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bokunofuzai②

bokunofuzai②

さらさらとさらさらと僕は崩れゆき 風に吹かれてなくなりにけり

置き手紙

「置き手紙」

家に帰ると
灯りが消えていた
鍵で玄関を開けるが
中には人気がない

とりあえず俺をさがす

と言っても
2DKの小さなアパートだ
こっちの部屋にいなければ
あっちの部屋しかない

だが、あっちの部屋にも
俺はいない

トイレかもしれない

しかしトイレには白い便座が鎮座しているだけで
俺がいた形跡はない

こたつの中か?
押し入れか?
まさか冷蔵庫?

せっかく帰ってきたのに

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