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ふと僕はここに置かれて夕暮れの野の寂しさに包まれていた

夕暮れの光に僕が包まれて消えゆくまでをじっと見ている

輪郭は次第しだいに奪われていつか私は芒であった


秋は何故が自分の存在が希薄になるような、そんな気がしてなりません。




蛇足です。「秋」を調べてみました。

■秋の「語源」
『日本国語大辞典』には12の諸説が紹介されています。
➀食物が豊かにとれる季節であることからアキ(飽き)の義
②アキグヒ(飽食)の祭の行われる時節の意から
③草木が赤くなり稲がアカラム(熟)ことから
④天候の明らかから
➄草木の葉のアキマ(空間)が多いの意
➅アク(開)の義か。またはオキ(大)の転。穀物のみのりが大であるの意
⑦春の有に対し、ナキ(無)の義
⑧イタケミの反
⑨アツユキ(暑往)の義
⑩アはあざやか、キはきよらかな空の様子から
⑪アは接頭語、キはケ(食)の転。米の収穫期の意から
⑫「獲」の別音Akの転音。アキの日、アキの頃などの略称

■ちなみに秋の「解字」
・『広漢和辞典』
会意。籀文にみられるように、もとは、禾+火+龜。のち、龜を省略して秋となる。龜は、かめの意。古代の占いは亀の甲に火を近づけて行われた。その亀は秋季に捕獲されるため、あきの意を示す。また、秋季には穀物の収穫もあるため、あわせて禾を付加し、あきの意を表す。
・白川静『常用字解』
会意。もとの字形は𥤛に作り、禾と龜と火とを組み合わせた形。禾はいね、穀物で、龜の部分はいなごなどの虫の形。秋になるといなごなどが大発生して穀物を食い、被害をうけるので、いなごなどの虫を火で焼き殺し、豊作を祈る儀礼をしたのであろう。その儀礼を示す字が𥤛で、“みのり”の意味となる。のち虫の形の龜を省略して火だけを残し、秋となった。この儀礼は秋の虫害に関係があるので、季節の“あき”の意味に用いられるようになったのであろう。

「危急存亡の秋」の「秋」は「とき」と読まれます。言葉も漢字も不思議なものですね。火で虫を追うにしても、亀の甲羅を火であぶりその割れ目をもって吉凶を占うにしても、「秋」は生きるための大事な収穫の時と意識されたのかもしれません。
「満ちる」の意味の「飽く」は、やがて、充分すぎて「飽きる」の意味を帯びるようになります。「秋」に「飽き」を掛け、恋の悲しみを歌う歌も多い。果たして、「男心と秋の空」でしょうか?「女心と秋の空」でしょうか?

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