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キャラを生かすも殺すも声次第? アフレコ現場におけるライターとスクリプターの役目を教えて?(ノベルゲーム制作講座41 仕上げ編①)

ノベルゲームはフルボイスが主流。声優に命を吹き込んでもらおう
アフレコ監修は缶詰になる。その場で本文テキストを修正することも
ボイスチェックは多岐に亘る。スクリプトを打ちながら確認だ


ライターのお仕事はテキストを書くだけではありません。
ボイスの収録=アフレコにも深く関わります。
具体的な仕事内容について、順を追ってみてきましょう。


■ノベルゲームはフルボイスが主流

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ひと昔前(と言っても20年以上前ですが)は、
重要なシーンのみにボイスが入った「パートボイス」が
採用されていましたが、
今ではゲームにおけるボイスの重要度が増して、
「主人公以外フルボイス」が主流となっています。

声優さんにボイスを入れてもらい、
命を吹き込んでもらうことで、
キャラクターの魅力は何万倍にも増します。

ゲームとして一皮剥けた作品を目指すなら
キャラボイスを声優さんにアフレコしてもらいましょう。


●アフレコとは?

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映画・テレビで、無声で撮影したあとで声や音を録音すること。
俗称、音入れ。
ゲームの場合、キャラの設定資料とテキスト台本だけ渡されます。
台本の内容を読み取りながらのアフレコになるので、
演出メモが書かれたト書きの重要性がわかるかと思います。


■声優の選出方法

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声優さんの選考には二種類あり、
制作側(ゲーム会社側)が直接指名するパターンと、
テープオーディションによって決めるパターンがあります。

メインヒロインは声のイメージも固まっており、
制作側が指名することが多いのですが、
サブキャラやモブキャラは、設定がフワフワしているので
各声優事務所さんの「おすすめ」によって決まることが多いです。


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テープオーディションというのは、
サンプル音声をテープに録音してもらい、
制作側がそれを聞いて、会議室でオーディションを行うというもの。
「テープ」と書いていますが、
今はデジタル音声データでのやり取りが主流です。

アニメの現場では、収録スタジオに乗り込み、
その場で直接演技を聞いてオーディションを行うこともあります。


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サンプルについては、制作側がサンプル用の台本を提示して、
それを読んで貰うのが主流です。
喜怒哀楽などの感情を込めた台詞を収録してもらい、
キャラに合っているかジャッジします。

声優さんの選定はプロデューサーやディレクター、
そしてライターが話し合って決めます。
場合によってはキャラデザを担当したイラストレイターさんにも
声の雰囲気を確認してもらい、担当声優を決めます。

その人が業界的に売れているから、という理由では選ばれません。
基本的には演技に幅があるか、
声質がキャラと合っているか、などが選定の基準になるでしょう。


■台本を作ろう

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シナリオテキスト(本文)を書き終えたライターを待つ、
次なるお仕事はアフレコ用に台本を作成することです。

台本化作業は、ディレクターが行うことも多いでしょう。

テキストエディターの印刷機能、
もしくは市販の台本化アプリ(ツール)などを活用して、
テキストを台本化させます。

台本化ツールを使うと、キャラの台詞に番号が振られます。
音声はファイルに書かれた番号を参考につつ、若い順番から録っていきます。


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台本は「紙の本」として紙に印刷することもあれば、
PDFファイルなどのデジタルデータで作成する場合もあります。

声優事務所、収録現場、スタジオによって
フォーマットが異なるので事前に確認しましょう。

ちなみに、アフレコ台本を紙で印刷すると
何万枚というプリント用紙が必要となります。
2MBのシナリオで、段ボールおよそ3~4箱くらいでしょうか。

印刷と配送の時間がかかるので、
大手メーカーだと印刷会社に依頼したりもします。


■いざアフレコ現場へ

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台本が刷り終わったら、
オーディションに受かった声優さんが所属する事務所に送ります。
台本チェックが終わったら、いよいよアフレコ本番です。

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内勤ライターとして、美少女ゲーム業界で15年以上働いてきた経験と、そこで得たノウハウを文章にまとめています。ゲーム業界特有の謎規則や技術解説、仕事に取り組む際の心構えなどもご紹介。応援してくださると定期的に記事が更新されます(人間だもの)