スクリプターの作業工程とマスターアップ(ノベルゲーム制作講座04)
■スクリプト作業 : 1ヶ月
シナリオを納品してアフレコが終われば、
いよいよ仕上げのスクリプト作業に入ります。
スクリプトが始まる前に、
各素材(立ち絵、CG,BGM,背景、プログラム)が
揃っているとベスト。
間に合わない場合は作業を行いつつ素材を待つことに。
イベントCGはまだしも、
シナリオが遅れるとスクリプト作業に入れません。
●ヒント:スクリプトとは?
視覚的聴覚的な演出を行うための、略式機械言語のこと。
もしくは、スクリプトを打ち込む作業そのもの。
マクロが組まれており、プログラム知識がなくても作業は可能です。
スクリプトデータを作成することで
ゲーム内でキャラの立ち絵を動かしたり、BGMを鳴らしたりできます。
作業内容としては動画の編集作業に近く、演出センスが問われます。
スクリプト作業は、
キャラの音声データを聞きつつ、演出(編集)を行うとして、
平均して『1日30KB』程度進みます。(あくまで目安です)
今回は、1.8MBのシナリオでゲームを作るとして、
作業が終わるまでに『60日』かかりますね。
スクリプトも人海戦術が可能で、手分けをして作業を行えば、
『60日 ÷ 3人 = 20日(1ヶ月)』で終わります。
ライターがスクリプトを行うのは珍しいですが今回は
「ライターもスクリプト参加 + 他2人スタッフがいる」とします。
■デバッグ、マスター作業 : 1ヶ月
スクリプトが終わったあとには、デバッグ作業が待っています。
バグ潰しが終わったら(サラっと書いてますがわりと修羅場)
いよいよ『マスターディスク』を焼きます。
マスターディスクをDVDのプレス工場に送ったら、
ようやくマスターアップです。お疲れ様でした!
●ヒント:デバッグとは?
ゲームの動作におかしな所がないかチェックする仕上げの作業。
アクションゲームとは違い、
ノベルゲームはシステムでバグが発生することは滅多にありません。
主に誤字脱字、ルート分岐のチェック、演出の見直しなどに当てられます。
デバッグ&マスターアップ作業に、およそ10日かかるとします。
(これはかなり余裕を見たスケジュールですが……)
残りのおよそ20日間は、宣伝活動やサイトの更新作業など
細々としたお仕事が発売日まで続きます。
なお、タスクが山積みになっている場合は
「ひぃひぃ」言いながら、期日のギリギリまで作業を行います。
■企画を立てる前に作業工数を把握しよう
これで企画&ライター&スクリプターとしてのお仕事が
ひと通り終わりました。かかった工数は……
『仕込み作業 4ヶ月』
+『執筆 3~4ヶ月』
+『アフレコ 1ヶ月』
+『スクリプト 1~2ヶ月』(アフレコと同時進行になることが多い)
+『マスター 1ヶ月』
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合計 10~12ヶ月
というわけで、
1.8MBのシナリオ容量があるノベルゲームを作るのに、
最低でも『10~12ヶ月』はかかるわけです。
経験上、発売日が前倒しになることはありません。
作業の遅れを見越しつつ、宣伝期間なども考慮に入れると、
ゲームの発売日は企画をスタートさせてから
『11~12ヶ月後』に設定すべきでしょう。
※ コンシューマーゲームだと
プラットフォームのチェック&パッケージのプレスなどに
時間がかるため、マスターは一ヶ月以上前倒しになります。
上記の内容は、あくまで一例。
開発環境によってケースバイケースですが、
企画を立てる際は、作業工数と人件費を念頭に置いてください。
「作業期間300年! 人件費無視!
ワイの作品はエロゲー業界のサクラダファミリアになるんや!」
という寝言は寝てから言いましょう。
次の記事からは今回学んだ作業の流れ、『現場感』を踏まえた上で、
企画の立て方、企画書の書き方についてレクチャーしていきます。
内勤ライターとして、美少女ゲーム業界で15年以上働いてきた経験と、そこで得たノウハウを文章にまとめています。ゲーム業界特有の謎規則や技術解説、仕事に取り組む際の心構えなどもご紹介。応援してくださると定期的に記事が更新されます(人間だもの)