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「気になっていたあの和菓子をお取り寄せしてみる」

 元来和菓子と云うものは、文字も粋な看板掲げたる街の一角歩き訪ねて、からからと硝子戸を開け、途端にしいんとこちらの心と体に染み入る小豆やらもち米やらの香りを嗅ぎつつ、ガラスケースを覗き込んで、あれも良し、これも良し、どれを買おうと散々迷い、迷った挙句にふたつみつ、選りすぐった美しきものをほくほく顔で懐に抱きて持ち帰り、熱い煎茶など淹れて、ふうと一息畳に腰下ろせば、待ってましたと両手擦り、先ず包み紙の和紙の匂い楽しみて、取り出す折箱楽しみて、遂に開けて広がるは夢。その匂いまた目一杯吸い込む。急須にくゆる煎茶待てぬと、手で掴むおはぎ一つ。黒文字の御役御免。美味し美味し最上に美味しけれ。万感の喜びにて。

 指の先 一粒の輝き眩し 和菓子なり―


 という具合に出会っては喜び、胃の中へ落ちてゆくものと思っておりましたけれど、近頃気になっていた和菓子は、世が世だけに勇んで買いに行くも憚られます。然しそこは現代社会、パソコンの前で願いを叶える事ができました。オンラインショップとは、なんと便利なシステムでしょう。ありがたや。

 今回お取り寄せしたのは、長野県にある御菓子司・開運堂の御菓子です。開運堂は明治十七年(一八八四年)、呉服商から菓子業に転じ今日まで続いているそうです。和菓子、洋菓子、季節菓子と、オンラインショップを覗くと幾種もの美味しそうなお菓子が並んでおります。

 今回一番食べてみたかったのは、トップ画像に使用しております「ピケニケカステラ」です。まずパッケージが素敵なのです。わくわくが詰まっています。一切れずつ包装されています。鞄に入れて持ち歩き、外で小休止に取り出すのが楽しくなるようなパッケージに、思わずにっこりしました。


 驚いたのが注文してから届くまでのスピードです。お昼に注文して、数時間後にはもう発送されました。翌日の午前中には、手元へ無事届けられたのです。旅行に行って、買って帰ったのとなんら遜色ありません。感動しました。そして、段ボールを開けてびっくり。

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 繭に埋もれているんですもの。けれどこの繭玉、焼却しても無害だそうです。環境のことまで考えられたこのような心遣い、大好きです。まずここでハートを鷲掴みされます。

 そして箱から取り出して又感動したのが、包装紙です。自宅用ですから簡易でも勿論構いません。でも実は、紙の包装紙を見るのも楽しみの一つで、包まれているとやはりまず注目します。今回嬉しくなったのは、馴染みのあるキャラメル包みを、テープでとめてあったこと。それは手作業であることを示しています。更に、とてつもなく奇麗な折り目なのです。シンプルな線の美しさに嘆息します。思わず撮影しました。特に大きい方の折箱、美しいですね。

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この洗練された閉じ方、ぴっちり感、凄いです。機械で閉じられているものが増えた昨今ですが、これは人の手仕事のなせる技。デパ地下などでもそうですが、このようなプロの仕事に触れると途端に嬉しくなります。心臓は一つしかないのに、また鷲掴みされます。

 わたくしとしたことが、肝心の御菓子を出さぬまま千文字も書いてしまいました。ああ、表題には出していますね。


 さてそれでは主役の御登場です。今回は、ピケニケカステラ二種類と他に、三種類の和菓子を取り寄せてみました。

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一つ目は「りんごどらやき」です。外箱も、包装も遊び心に溢れていて、優しい味わいがあり、かわいいです。中はあんこではなく、長野県産の紅玉とふじりんごの、角切りと擦りおろしをミックスした特製ジャムが入っています。触感と甘酸っぱさが何とも爽やかで、あっと云う間に食べてしまいます。生地はふわっふわでした。食べ終わるのが勿体無い位好きでした。こちらは季節限定品だそうで、六月と云うのはタイミングが良かったみたいです。りんご好きにはたまらない逸品です。つまりりんご好きのいちには堪らない一品です。近所にあったら毎日手を伸ばしそうです。


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 続いてはこちら「これはうまい」と「有明の月」。これもまたパッケージとネーミングが面白いですね。「これはうまい」はこだわりのあんこと胡桃が入っています。表の生地は厚めで、もふんとしています。この「こだわりのあんこ」が気になって注文しました。素朴で美味しい粒あんでした。まるでおうちで手作りしたような、シンプルな味わい。砂糖で甘いだけでない、小豆の甘さが味わえるあんこです。そのようなあんこは日持ちが関わって来る和菓子で中々出会えません。本当に美味しかった。ああ、「これはうまい!」そしておうちであんこ作り勉強中のわたくし、暫く作っていませんが、勉強させて頂きました。器を用意しておらず、パッケージの上にどんと置いちゃう。でも美味しいお茶はちゃっかり淹れています。

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「有明の月」は黄味あんの御菓子です。こちらも表の生地はふわふわもっちもちです。あっという間に食べてしまいます。黄味あんの和菓子も世に多いですけれど、みんな特色があって、全国津々浦々、和菓子屋の数だけ美味しい和菓子があるのだと、しみじみ、つくづく実感しました。美味しくて三つ買ったうち二つは開けた時の写真を忘れてぱくり、ごくん、してしまいました。そもそもわたくし、言い訳ですけど食べ物の写真を撮る習慣は無いのです。出されたら、頂きますで即効食べにいきますから。熱いものは熱い内に、冷たいものは冷たい内に!です。言い訳ですけど。三つ目で、写真忘れない様にするつもりです。


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忘れないで撮りました。手乗りで御容赦下さいませ。なんでしょう、ここの和菓子は生地厚めなんですね。てっぷりしていて、かわいいのなんの。その上美味しい。ありがたや。


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さて今回のメインディッシュ!?「ピケニケカステラ」は珈琲を淹れて頂きました。手前が「珈琲」、奥が「鶏卵」となっています。100%長野県産の小麦粉を使用して作られています。開ける前からふわふわです。潰さないように気を付けて封を切ると、カステラ作りに欠かせない生地の下へ敷く薄い紙を剥がすのをお忘れなく。しっとり柔らかい生地、期待が膨らみます。そして、口に入れると何とも優しい甘味がほどけていきます。またしてもあっという間に食べてしまいました。ゆったり味わおうと思っても、食べてしまうんですもの。因みに「ピケニケ」とはポルトガル語でピクニックの意味だそうです。お!やっぱり外へ持ち出しておひさまの下で食べると良さそうですね!手提鞄にこんなご褒美が入っていたら、マスクの下で始終にやにやしていそうです。でも大人なんで我慢します。嗜みです。にやにや。

 これは個包装でしょう、毎回、手に取る度に、うきうきしている自分がいるんです。思わず楽しくなるお菓子って凄いですね。素敵です。人を喜ばせる精神って、文学にも共通する処があるように思います。無論、他の道でも通ずることではないでしょうか。自分が受け取ったわくわくの感情を、言葉の世界で、また別の誰かへ渡す事ができたら、より一層楽しいですね。ようし、頑張ろう。


ショップには、他にも美味しそうなお菓子がいっぱいでした。洋菓子も色々あります。また機会があればお取り寄せしたいと思います。お店に伺えるようになれば尚嬉しいです。

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今日は長野県にあります「開運堂」のお取り寄せ御菓子を御紹介致しました。折角なので、ホームページ貼り付けてみます。多分大丈夫ですよね。美味しい出会いに感謝感激、心もお腹も満足です。

「御馳走様でした」

 最後まで一緒に味わって下さってありがとうございます。   いち                      


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