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食の風景

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「食の風景」とは、食に纏わる美味しいお話から、料理のあれこれを、時に脱線しながら、思うままに腕を揮っては語っております。レシピは無いけれど、今日も美味しいご飯を一緒に食べませんか。
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#食

食の風景「前略、秋味」

 野菜に果物、木の実に魚・・旬を迎える食材の豊富な秋真っ只中です。 「今日はどんな秋味にする?」  そんな相談が町のあちこちで交わされているような気のします。 今日のわが家は、まさに秋味いっぱいの食卓となりました。 さつま芋ごはん、さんまの塩焼き、大根とさつま芋の味噌汁です。 角切りにしたさつま芋をごろごろ入れて、お芋に味を付ける程度の塩をひと摘まみ。三合のお米と一緒に炊けば、あっという間に紅染まる鮮やかなさつま芋ご飯の出来上がりです。ほくほくです。柔らかな甘い香りが食欲

食の風景「秋の先陣切ったよ平茸ごはん」

そこは秋の入り口。少し歩けば大きなかぶがありました。平茸の株です。おばあさんやねこやねずみの力を借りなくても一人で持ち帰れるサイズの平茸の株です。 スーパーにきのこが盛り盛り置かれるようになると、「秋だもんねえ!」とやたらと誰かに共感を求めたくなります。年中食べられる食材ですが、秋のきのこは格別です。どれもみんな旨味が増して、活き活きとしています。余計な事はしないで、只炭火で焼いて頬張りたい。そう思わせる姿形をしています。 そんな立派な平茸を、ごはんの鍋で炊き込みご飯にしま

食の風景「清流育ち、鮎」

去る八月下旬、暑さの内にも心なしか涼しい風が含まれるようになり、季節の変わり目を肌に感じました。スーパーへ行くと幸水梨が並び、秋の味覚の話もちらほら聞こえて来ます。 季節の変わり目は体が順応するまで体調を崩しがち、という御方もおられるかも知れません。そんな時は無理をせず、よく眠り、よく食べ、今日を無事過ごした自分をうんと褒めて、労わってあげて下さい。 今日は今年の夏の食卓を少しだけ振り返ってみたいと思います。お盆前、美味しいサイズの鮎を見掛けました。「食べたい」の声が上が

食の風景「サーモンピンクでお洒落して」

皆様こんにちは 本日はいちのお台所へお越し下さいまして誠にありがとうございます。え、見えないですか?青いエプロンを身に着けたのがいちですよーここに居ますよー さて、今日はごはんの鍋で作ってみようの日です。 「鮭ごはん」に挑戦したいと思います。瓶詰の鮭フレークは楽ちんでしょうが、一緒に炊き込む、旨味が沁み込む、皮や骨を取り除く手間がかかっている。だからこそ口へ含んだ瞬間「美味しいー」と叫びたくなる鮭ごはんを作ってみます。 材料は 前日から水に浸しておいた黒米と玄米 米三合

食の風景「やみつき蓮根かき揚げ」

 開け放しの窓のせいかな、目覚まし時計よりも蝉の声で目が覚めた。なんていう夏の日々を過ごしています。立秋過ぎても猛暑は収まる気配がまるでありません。  暑さにすっかり参ってしまったあなたにこそ、美味しいご飯を食べて頂きたい、美味しいご飯で笑顔に、元気になってもらえたら嬉しい、そんな夏のお台所から、今日も腕を揮いました。まだ少し新物が味わえますから、好きなだけ、頂きます。と云う訳で、今日も蓮根料理をお届けします。  煮てよし、焼いてよし、炒めてよし、蒸してよし、炊いてよし、の

食の風景「蓮根のふっくら焼き」

 新物の蓮根を味わい尽くしたいこの頃。さて今度は何作ろう。思い浮かんだのは、蓮根のホクホクとした食感を活かした、真薯のようなふっくらお料理。けれど蒸し器が無い。いつかせいろを買いたいと思いながら実現に至っていない。茹でるのは今回の材料では向かない。揚げ物の気分でもない。それなら、豆腐を使って、フライパンでふっくら焼きにしたらどうだろう。  蓮根を軽く茹でてさいの目切り。豚ミンチ、絹ごし豆腐、玉子、パン粉、ミックスベジタブル、出汁の素、塩、胡椒をボールへ入れて混ぜるだけ。山芋

食の風景「開けたら新・蓮根ごはん!」

 街中の大きな花屋さんの前には、毎年この時期になると蓮の鉢が並びます。一つだけでも存在感を放つ大きな鉢が横並びにずらり、そして中には一本ずつ、朗らかに緑の大きな葉を広げる様子はいかにも涼し気です。そこへすいと鮮やかなピンクの蕾が膨らんで、ある日ぱあっと花を咲かせますと、通りは一息に賑やかな様相となります。  そんな見事な蓮の花を愛でながら、そろそろかなあと心待ちにする食材があります。「蓮根」です。先日買い物へ出掛けた折、とうとう今年の新物蓮根に出会う事が出来ました。嬉しさの

食の風景「大根の炊いたん」

 夕べ窓を閉め切らずに眠ったにも関わらず、朝から蒸し暑い日でした。家事を一通り済ませた私は、お台所で朝食を食べておりました。暑いと云ってもまだ序の口、開け放つ窓からは時折気持ちの良い風が入ります。まるで小さな御褒美で、私の目元を和ませてくれます。これから来る真夏にはサウナ同然となる我が家のお台所。そうなるとキッチンカウンターでの食事も儘なりません。海苔を巻いた昆布の佃煮のおむすびを頬張りながら、視界の隅にガスコンロを入れた途端、私は突然大根を炊いて食べようと思い立ったのです。

食の風景「夏野菜deいい鴨」

 洗い立ての夏野菜たち。色艶がよく、張りのあるものを選んで買ってきました。気温差の激しかった数日に加えて梅雨入り、そして梅雨明けと猛暑。体が気候変化に付いて行けないと云う方も居られると思います。身の回りにもいます。バテてしまう前に食べましょう。アイスだっていいんです、あなたが食べられると思う物を美味しく食べれば必ず栄養になります。美味しいは最強のエネルギーです。美味しいご飯を食べて元気に過ごせば、これから来る夏だってきっと乗り切れますとも。  さてそれでは、夏野菜に少し時期の

食の風景「うどんとはいつも行き当たりばったり」

 突然の「お腹空いたな」に応じるには、麺類が手早くて便利です。野菜室にある野菜を適当なサイズに切ったりちぎったりして鍋に入れ、味付けをして出汁を作ります。わが家のうどんは冷凍のさぬきうどんです。蕎麦は干し麵、ラーメンはインスタント系が最近は多いでしょうか。  そんな簡単料理麺類の写真がいつの間にか溜まりましたので、ここでまとめて紹介します。箸置きから察するに、遡って二月から始まります。 これは市販の四角いお餅。うどんにとろろ昆布と七味は欠かせません。 出先で見つけた「う

食の風景「小豆ごはんといたわり」

 小豆が食べたいと思い立つ。できればお料理で。南瓜と炊くのもいいなあと想像してみるけれど、南瓜は国産の旬ものが出回るのを待っているところ。それじゃご飯と炊いてみようと思って、今日は小豆ごはんにする。もち米ではなくて、お米で。  片手鍋で小豆を一度茹で零して、新しく入れた水から茹でる。好みの硬さで火を止める。ゆで汁と小豆を分けたら、下ごしらえが完了。  米三合に対してしっかり百グラムの小豆を用意したら、ごろごろそこら中に小豆一杯のご飯が炊けた。  先ずは仏様に御供えして、それ

「和菓子の日に 其の二」

6月16日は和菓子の日なので、和菓子写真展を今年も急遽出す事にしました。ただ和菓子の写真が並んでいるだけです。いちが食べた和菓子の中で撮影忘れなかったものだけあります。忘れた物は胃袋の中へあります。因みにたべっ子どうぶつは違う気がしたので載せませんでした。和菓子は御褒美です。おいしいおいしい御褒美です。        いち 「ごちそうさまでした」 和菓子に栄光あれ。                        

食の風景「あの日のコロッケ」―掌編―

 コロッケと聞いて思い浮かべる光景ってどんな時間だろう。今ではコンビニへ行けば大体レジ横のショーケースに並んでいるけれど、思い出すのは、なぜか懐かしい方。例えば――あの日のコロッケ。簡素な紙の袋へ入ったあつあつを頬張った、夕日の中で過ごした時間。  仕事帰りに近所のスーパーへ立ち寄って、立派なサイズの新じゃが芋を見つけた。男爵だ。ごろごろごつごつ、見るからに美味しそうな男爵を眺めていたら、口の中が旨い想像でいっぱいになった。頭の中ではもう美味しいのが出来上がっている。 「よ

食の風景「卓上賑わす初夏の宴」

 肌に纏わりつく湿度、逆上せる程の熱風。悠々聳え立つ入道雲。今年もそんな季節がそぞろ近付いて参りました。威勢の良い季節に呑まれず、日々を健康に過ごすには、先ずは美味しい食事から。この季節は食物も力強い色をしているものが多いようです。  KAGOMEの高リコピントマト。真っ赤な果実、真っ赤な果肉。一年の内で一番美味しい季節がやって来ました。懐かしい光景と云えば畑でもぎ取ったばかりのトマト。服で軽く擦ってがぶり。何より優秀な水分補給になったものです。  今年初のとうもろこし。