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食の風景「夏野菜deいい鴨」

 洗い立ての夏野菜たち。色艶がよく、張りのあるものを選んで買ってきました。気温差の激しかった数日に加えて梅雨入り、そして梅雨明けと猛暑。体が気候変化に付いて行けないと云う方も居られると思います。身の回りにもいます。バテてしまう前に食べましょう。アイスだっていいんです、あなたが食べられると思う物を美味しく食べれば必ず栄養になります。美味しいは最強のエネルギーです。美味しいご飯を食べて元気に過ごせば、これから来る夏だってきっと乗り切れますとも。
 さてそれでは、夏野菜に少し時期のずれた大根も仲間入りさせて、ごろごろ野菜の旨味ソースに仕上げます。今日の相棒は、鴨肉です。

 フライパンで先ず鴨を焼きます。取り上げて、今度は鴨の油で野菜を炒めます。蒸気を閉じ込めて作りますと野菜の水分、つまり栄養も旨味も溶けだしたものがフライパンへ残ります。野菜は食感と色が残っているうちに全て取り上げます。これでフライパンへは鴨の旨味と油、それに野菜の栄養と旨味と水分が残りました。
 そこへ調味料を足していきます。今日は酒・三温糖・醤油。火をつけてひたすら水分を飛ばします。野菜には塩胡椒をして、カットした鴨肉にごろごろっと盛り付けます。勢いのある季節に負けない為に、時にはこうしてパワーの付く肉料理を頂きます。一方でお腹を労わる料理も外せません。大事なのは、心と体の声に耳を傾けることだと思っています。無理せず楽しく、美味しく食べる。これが私の年中元気に過ごせる秘訣かも知れません。

 それから、お台所の道具には手入れも必要です。使い終えた包丁を研いでおきます。あまり力を入れ過ぎないように、刃の部分を四つ程に分けて研ぐと良いそうです。まだまだ料理人の域には到達していませんが、研げばやはり切れ味が違います。包丁を研いで、洗った後は、砥石の表面も洗います。私は棕櫚束子しゅろたわしで洗っています。わが家のものは古い砥石で一部欠けているのですがまだ使えています。

 さあ、今日も美味しい一品が出来ました。何処からやって来たのかカットトマトが載せられます。仲間に入れて欲しかったのでしょうか。
「いただきます」

 しっかり煮詰めた特製ソースは野菜の旨味が凝縮されて、とても美味しく出来上がりました。ちょっとKAGOMEのウスターソースやケチャップを思わせる味です。鴨と野菜に振った胡椒がいい味出しています。ズッキーニ、パプリカ、大根、人参、舞茸の食感がいいですね。トマトの酸味がソースの良いアクセントになっています。噛み締める美味しさ、生き返る思いです。これでまた頑張れそうです。

「ごちそうさまでした」

                     文と料理と写真・いち

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