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食の風景「小豆ごはんといたわり」

 小豆が食べたいと思い立つ。できればお料理で。南瓜と炊くのもいいなあと想像してみるけれど、南瓜は国産の旬ものが出回るのを待っているところ。それじゃご飯と炊いてみようと思って、今日は小豆ごはんにする。もち米ではなくて、お米で。
 片手鍋で小豆を一度茹で零して、新しく入れた水から茹でる。好みの硬さで火を止める。ゆで汁と小豆を分けたら、下ごしらえが完了。
 米三合に対してしっかり百グラムの小豆を用意したら、ごろごろそこら中に小豆一杯のご飯が炊けた。

 先ずは仏様に御供えして、それからお茶碗へ。雨の季節になったから、紫陽花の一枚に装ってみる。

自作の箸置きからは梅雨の晴れ間がのぞく

 ふっくらご飯とほくほくの小豆。噛むほどに滋味深い味わいが出る。そのまま食べると小豆本来の優しいお味がよく分かる。体を労わる、自然の旨味だけがそこにある。今何よりも食べたかった味がした。

 そうだ、明日は黒胡麻と塩を混ぜて、御赤飯の時の様にして食べよう。そんな想像して、思わず目尻が下がった。

「ごちそうさまでした」

                     文と料理と写真・いち

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