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食の風景「卓上賑わす初夏の宴」

 肌に纏わりつく湿度、逆上のぼせる程の熱風。悠々聳え立つ入道雲。今年もそんな季節がそぞろ近付いて参りました。威勢の良い季節に呑まれず、日々を健康に過ごすには、先ずは美味しい食事から。この季節は食物も力強い色をしているものが多いようです。

 KAGOMEの高リコピントマト。真っ赤な果実、真っ赤な果肉。一年の内で一番美味しい季節がやって来ました。懐かしい光景と云えば畑でもぎ取ったばかりのトマト。服で軽く擦ってがぶり。何より優秀な水分補給になったものです。

 今年初のとうもろこし。大きく凛々しい一本を購入。片手鍋に半分程の湯で、濡らしたキッチンペーパーを被せて蒸し茹でに。甘み十分だったので塩はなしで。今年も好物の奇麗な黄色に出会えて幸せです。夏の間に何本食べられるでしょうか。

残ったゆで汁はこの日の汁物へ入れました
お皿に盛り付け中。つまみ食いじゃありません

 今夜は初物を味わう日。ご飯と汁物はしっかり作るけれど、後はシンプルに。素材の味がよく分かるように、調理は殆どしません。トマトにとうもろこし、わが家の庭のぐみの実に、北陸の甘海老はエメラルドグリーンの子持ち、それに美味しいお店の焼き鳥を買って来ました。
 食卓へ並べていくと、あらまあ!

 まるでお祭りのような賑わいです。庭からちょっと失敬してきた木の芽を載せた小豆ごはんには、ごま塩をぱらぱら。豚汁は麦味噌仕立てです。

「いただきます」

 甘い。季節の野菜が、旬を迎えた食材たちが、どちらを向いても活き活きと甘く、美味しいです。食べる手が止まりません。しかしお手製の小豆ごはんも負けていません。木の芽との相性が意外と良く、小さな葉を散らして食べるとあの独特のひりりとした存在感を放ちます。ごま塩と相まってご飯もすすみます。豚汁は熱々の内に七味を振って頂きます。ふんだんに入れた野菜には柔らかく火が通り、麦味噌の旨味と出汁の旨味が滲み込んで満足の一品になりました。

初物を食べるといつだって心が浮き立ちます。今年の梅雨も、これから訪れる夏も、しっかり食べて暑気払いして、元気に過ごしたいと思います。

「ごちそうさまでした」

                  文と料理と写真・いち


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