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食の風景「開けたら新・蓮根ごはん!」

 街中の大きな花屋さんの前には、毎年この時期になると蓮の鉢が並びます。一つだけでも存在感を放つ大きな鉢が横並びにずらり、そして中には一本ずつ、朗らかに緑の大きな葉を広げる様子はいかにも涼し気です。そこへすいと鮮やかなピンクの蕾が膨らんで、ある日ぱあっと花を咲かせますと、通りは一息に賑やかな様相となります。

 そんな見事な蓮の花を愛でながら、そろそろかなあと心待ちにする食材があります。「蓮根」です。先日買い物へ出掛けた折、とうとう今年の新物蓮根に出会う事が出来ました。嬉しさの余り献立も立てない内から買って帰りました。
 さて何を作りましょう。昨年に続いて天麩羅も美味しそうですが、煮物も捨てがたいです。けれど金平にしても美味しいですし・・・そうだ、折角ですから、出始めのきめ細かく柔らかい蓮根を味わえる料理にしようと思います。

 今日は新物蓮根の五目御飯を炊きます。
 材料は蓮根・人参・しめじ・鶏むね肉・それに麦と黒米を水に浸していましたので一緒に炊く事にします。見た目から楽しめるように、厚さ三ミリ位にスライスした蓮根を上へ載せて炊いてみます。火にかける前に具材を混ぜて、そこへスライス蓮根を載せました。

具材を混ぜる前の土鍋の様子です。食材が生き生きしています。仕上がりが楽しみです。


 強火でぐつぐつ、弱火でコトコト、火を止めて蒸らして、完成です。蓋を開けてみましょう!香ばしい香りと共に目に飛び込んで来たのは、ほっこり仕上がった無垢な蓮根です。すっかり火が通って優しいお色に変わりました。そしてこの香ばしさ、どうやらおこげが出来ているようです。

 しゃもじで混ぜて、ああやっぱり、おこげです。これを先ずは仏様の元へ運び、それから今日はいつもより大きな茶碗を用意しましたから、そちらへ盛って、仕上げに蓮根を一枚。白ごまを振って完成です。ごはんの鍋の隣では野菜スープを作っていました。残りの蓮根は全てこちらへ入っています。大根やこんにゃく、キャベツなどと共に昆布だしベースの塩味に仕上げています。
 それでは今日も
「いただきます」

自作の箸置きは七月仕様となりました。夏らしく爽やかなラインナップです。

 この瞬間を待っていました。ほくほく炊き込みご飯、上々の仕上がりです。きゅうりの柴漬けとも相性よく、あっという間に平らげてしまいました。蓮根農家の皆様、今年も美味しい蓮根を食卓へ届けて下さりありがとうございます。

 残りのご飯は家族がそれぞれ好きな時間に食べられる様に、全ておむすびにしておきました。

おひとつどうぞ。

 新物っていいですね。少しずつ移ろう季節を五感で楽しみながら、今日もおいしい食を味わうことができました。
「ごちそうさまでした」
                      文と料理と写真・いち

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