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こどもの読みもの

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こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。
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2024年6月の記事一覧

あの世の事典

あの世の事典

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📙『あの世の事典』
水木しげる 1983

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ぼくは戦争中、毎日死のことを考えていた。
どんな世界に連れて行かれるのだろう。
明日訪れるかもしれない「死の世界」で道に迷わないように。
ひとつ世界の「あの世」を散歩してみようという気になった。
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🇲🇾マレーシア…翼を持つ神エナング
🇵🇭フィリピン…死の町の王
🇮🇩インドネシア…あの世の橋の

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紫陽花

紫陽花

📘『紫陽花』
泉鏡花
明治29年(1896年)

「色青く光ある蛇、おびたゞしく棲めればとて、里人は近よらず。其野社は、片眼の盲ひたる翁ありて、昔より斉眉けり。」
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母親にいわれ、氷を売る少年がいた。町へ向かう道の途中にある社の裏から、二人の婦人が出てきて「少しばかり氷をおくれ」という。貴女と侍女であろう。少年は鋸で氷を切り分けるも、氷は手のひらで黒くなってしまう。「綺麗な氷をおくれ」、少

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ラプンツェル

ラプンツェル

📘『ラプンツェル』
グリム童話集(RHM12)
グリム兄弟(ヤーコブ・ヴィルヘルム)
1812年初版第一巻(86編)、1815年第二巻(70編)、以後七回改訂版をだし、1857年の第7版が決定版とされている。
「ラプンツェル」はクリム童話のなかでも特に人気のある傑作で、ドイツ語圏の国々では最も人気のあるメルヘン20編のひとつに数えられている。ヤーコブが1790年のフリードリッヒ・シュルツの小説か

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黒蜥蜴

黒蜥蜴

📓【黒蜥蜴】
江戸川乱歩
1934年(昭和9年)月刊誌「日の出」に連載。

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《暗黒街の女王》
帝都最大の殷賑地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
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たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、

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