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これが実際に通った企画書だ!Webtoonの企画書大公開!!

Webtoonの原案を作る企画作家は、”とにかく面白い作品を作りたい!”という熱意が大事!しかし、どんなに熱意があっても企画が通るとは限りません。

そこで、

これからソラジマでWebtoonの企画作家になる人

すでに企画書を書いているがなかなか通らず苦戦している人

に向けて、どうすれば企画書が通りやすくなるのか分析してみました。実際に通った企画書や編集者の意見も公開しますので、企画作家さんは是非参考にしていただけますと幸いです。

最後の方には企画書を出す前のチェックリストも記載していますので、ぜひ最後までご覧ください!

企画作家について詳しく知りたい方はこちらのnoteをご覧ください▼


企画書にはどんなことが書かれているのか

まだ企画書を作ったことがなかったり、手探りで企画書を作っている企画作家さんのため、ソラジマの企画書にどんなことが書かれているのか紹介します。

必要なのは以下の8項目。

・作品名
・企画のログライン
・企画のターゲット層
・参考にした作品
・企画のあらすじ(作品の大まかなあらすじ)
・キャラクター紹介(最低限必要:主人公、悪役、ヒーロー)
・作品の魅力
・第1話~第3話までのあらすじ

このうちのどれか一つでも欠けていると企画書としては情報不足になりがちです。また、作品の内容を知らない人に対して企画書の限られた文字数であらすじや魅力を伝える必要があるので、企画書づくりはとても難しい…!

では、実際に企画作家さんはどんな企画書を書いているのでしょうか?

実際の企画書を大公開

まずはこちらの企画書をご覧ください。

【寄宿学校のシンデレラ】【バルサミ子様】

企画書の感想

この企画書、実は通らなかったんです!

comicoさんとWebtoon編集者からの指摘内容はこのようなものでした。

・10点満点中の中間あたり、ヒットするかもしれないけど出してみないと分からない
あらすじは良いが、寄宿舎という設定が読者にとって分かりづらい
・(寄宿舎は)学校だが、comicoさんの読者さんは学生ではない人が多い上に、今『王妃争い』等がトレンドなので、王妃争いを寄宿舎に落としこもうとするとどうしても無理がある
⇨読者が感情移入できない可能性がある

この企画書の舞台は寄宿舎(学校)。読者は自分と同じような環境や職種にいる主人公や登場人物に感情移入しやすい傾向にあります。この企画のターゲット層である20-30代の女性には学生の方もいるかもしれませんが、多くは働いている女性になります。その為、ターゲット層が作品に感情移入できず、作品の読者を獲得出来ないのではという指摘でした。

また、ベンチマーク作品である『復讐の皇后』にみられる『王妃争い』はまさにWebtoonのトレンド。しかし、寄宿舎で『王妃争い』を展開するのは難しく、

・ターゲット層と設定の乖離
・『王妃争い』と設定の相性の悪さ

以上2つの理由から企画書は不合格となりました。

では、指摘された点をどのように企画書に反映させたのでしょうか?

通過した企画書はこれだ!

実際に通過した企画書がこちらです。

【二度目の処刑はお断りですが……。改】【バルサミ子様】

オリジナリティである『寄宿舎』の設定をなくし、新たに選択したベンチマーク作品『婚約破棄された悪役令嬢は荒野に生きる』の『領地経営』設定を取り入れました。
『領地経営』の設定を入れることで作品にゲームのような面白さが加わり、読者の「続きを読みたい!」心理を刺激することが出来ます。

一方で、comicoさんから「良い」と言われたところは徹底的にずらさないように注意。
『可哀想な女の子が自分の手で道を切り開いて最終的に幸せになる』というストーリーラインは絶対に崩さないようにし、主人公を可哀想だと思わせるシーンをところどころに散りばめました。

また、設定の変更に伴い、エラの目的も大きく変化

『処刑される運命を回避し、自身を処刑した相手へ復讐する』から『二度目の処刑を回避し、自らの力で国に変革をもたらす』ことを目的とし『自立した女性像』が描かれるようにしました。

今回ターゲット層に選んだ20代~40代女性の中には、様々なライフイベントに直面し、大きな決断を迫られている方が多く存在します。自分の生き方や働き方に悩む女性が、エラのたくましく、自立した生き様に共感するのではと考え、ターゲット層も変更しました。

さらにWebtoon編集者がブラッシュアップした点はキャラクターの生い立ちや魅力です。

・イザベラという悪役のキャラがものすごく立っていたが、エラとジルという、ヒロインとヒーローのキャラが立っていなかった。
⇨メインキャラが立っていないというのは由々しき事態なので修正することに。

新たにメインキャラクターの設定を加えるのにあたり重視した点はこちらです。

・「この子たちはどういう子なんだろう」と考えつつ、作家さんが書きやすいように、読者にとって親しみがあるように変更した。
・作家さんが第一子だったことから、ヒロイン(エラ)を長女に変更 編集者さんは末娘だったので、兄弟(姉妹)間の確執をモチーフにした。

企画作家さんが書きやすいかや書きたいかどうかは作品の仕上がりに直結します。読者がキャラクターに感情移入するためには、まず企画作家やWebtoon編集者が感情移入できるかどうかが重要になります。

今回は作家さんが書きやすいように兄弟(姉妹)の確執をキャラクターたちに落とし込み、より人間味の溢れるキャラクターを作り出したという事ですね。

また、comicoさんからフィードバックをもらった後、下記のことを意識して修正したそうです。

・comicoさんで人気のストーリーに人間味のある言葉を乗せることでリアルさを演出した。
・自分たち(編集者と作家さん)にしか書けない作品にしたいと思い、2人が感情移入できるかどうかを重視した。
・作家さんは売れるか売れないかをとても意識していたため、編集者は女性目線で意見を伝えるようにした(キャラクターが好きか嫌いか、発言が面白いか、キャラクターとして出来る最大限の面白い展開は何か、等)
・企画を立てられる作家さんも、女性向けで書かれるときは女性の体験談を聞くと良い(経験がないことは話を聞いて情報を収集する)
・自分の好きなキャラクターやモチーフから着想を得て、「この人(モチーフ)だったら書けそう」という落としどころがオリジナリティに少しつながってくる。

実は面白い作品を作ろうと思うあまり、ベンチマーク通りの作品になってしまうことも…ベンチマークを分析して作ることも大事ですが、作品を作るうえで重要なのはやはりオリジナリティということですね…!

こちらの企画書作品の詳細についてはこちらから!

すぐにでも完成した作品を読みたい方はこちらから!


通らなかった企画書に対してフィードバック

ソラジマには毎日たくさんの企画書が寄せられますが、その1件1件にフィードバックできていないという課題があります。企画書が通らなかった企画作家さんの中には、「何がダメだったんだろう?」「どういう企画書なら通るんだろう?」と不安になっている方もいるはず…

そこでソラジマで通らなかった企画書へのフィードバックを公開させて頂きます!

通らなかった企画書の課題点、どうすれば通りそうかのWebtoon編集者コメントを記載しています。

【政略結婚の道具にされた姫を王が甘く溺愛する】【林保彦様】

企画作家:林保彦
【Twitterアカウント】
@hayashi_0316
【連絡先】nagomi5140@gmail.com

・ベンチマークの良さをしっかり抽出してるし、キャラも立ってる。
・強いて言うならば、あまりにベンチマーク通りなので、何かこの企画ならではのオリジナリティがあると企画書は通ると思う。
・きちんとブラッシュアップすればもっと良くなりそう。なんならこの企画をやりたいと思う編集者もいると思う!

Webtoom編集者コメント

ロマンスファンタジーの企画書を書く時はここに注意!

2人のWebtoon編集者に、ロマンスファンタジーの企画書を書く際の注意点をうかがってみました。

・企画作家さんもよく分かっていると思うが、企画書がそのまま漫画になるわけではない。企画書をどんどん進化させたものが今の原稿になる。
・企画書は変わるものと考え、キャラクターを魅力的にすることが重要。「このキャラは何をするんだろう」と考えさせ、何か面白いことをしそうだなということが伝えられると良い。
・企画書だけでは詰め切れない部分があるので、『企画書=漫画』と考えてはいけない。ラフに考える時はキャラクターをどう動かすのか、どう動けば面白くなるのかを重点的に考えると良い。
・書店によって売れやすいストーリーラインがあるので、先に読者が読みやすい(売れやすい)ストーリーの軸を決め、その後にキャラクターイメージを作る。
・どうやってキャラを立たせるかで企画の面白さは決まる!
・ストーリーの真新しさを追及すると分かりにくい作品になりがち。
・掴みが弱い企画も多々見受けられるので、そこを調整すると企画の良しあしは変わる。

Webtoom編集者コメント

・主人公に共感できるか、応援したくなるか、主人公の幸せが読者の幸せになるかを考えて企画書を作ると良い。
・読者に主人公を好きになってもらうために、主人公の人となりや生い立ち等、魅力となりえそうな部分が企画書から片鱗でも見えていると目を引く(悪女になりきれず子どもにはつい手を差し伸べてしまうとか、復讐に燃えるけれど正義感も持ち合わせているとか)。
・キャラがしっかりできていると、どう動くかも見えてきてワクワクするものが多い印象。
・悪役へのギャフンと恋愛のバランスも重要(読者にとってどちらも読みたい部分)どんな話にするかでバランスは変わるが、その配分を見極めるのが大事。
・読者に読み進めてもらうには「こまめなスカッと」が大切。どこでスカッと展開が見られるのか企画書からわかると良い。
・恋愛要素が『主人公とヒーローがくっついて終り』だと話を長くできないので、主人公とヒーローを阻む障害を作る。なるべくそれが大きいと尚良し(身分差、能力差、元宿敵等)
・ベテラン編集者さんからの教えのパクリだが、「この企画書を読んで、パッと5つ面白い展開が浮かぶか」というのを意識できると強い!
・どのジャンルにおいてもヒット作の分析は大事!「どんなものが受けているか」「なぜ受けているか」を分析し落とし込む事が大切。

Webtoom編集者コメント

Webtoon編集者のコメントから、企画書を作る際にハマりやすい罠は以下の3点。

・ベンチマーク作品を分析するあまり、オリジナリティが無くなっている
・ストーリーに重点を置いてしまい、キャラクターが立っていない
・読者の受けを優先し、企画作家の書きやすさは二の次になっている

今まで企画書が通らなかった企画作家さんの中には、ハッとした人もいるのではないでしょうか?

企画作家がハマる罠が分析出来たので、筆者なりに「こうすれば企画書が通りやすくなる!」というチェックリストを作ってみました!

こうすれば企画書が通りやすくなるチェックリスト!

・作品にオリジナリティは出ているか(ベンチマーク作品通りになっていないか)

⇒ヒット作やベンチマーク作品を読みこんで分析することは重要!しかし、オリジナル要素がないとダメ
⇒ストーリーに真新しさを追求すると分かりにくくなる!まずは王道で勝負

・キャラが立っているか

⇒「このキャラは何をするんだろう?」→「何をするか知りたい!」と思わせられるか(読者に先を知りたいと思わせる)
⇒主人公はとにかく可哀想で、悪役はとことん悪者であるべき(のちのスカッと展開に繋がる)

・主人公に共感できるか

⇒読者に「主人公を応援したい」「行く末がどうなるか見届けたい」と思ってもらえるかが重要
⇒そのために主人公の人となりや生い立ち等、魅力となりえそうな部分が企画書から片鱗でも見えていると目を引く
⇒企画作家や編集者が共感しやすいキャラだと書きやすく、人物に人間味を帯びる

・企画書を読んだだけで面白い展開が浮かぶか(5つほど浮かぶと尚良し)

⇒企画書だけで作品の面白さ、見どころを伝えられているか
 浮かばないのであれば企画書としては未完成

ぜひ、企画書を出す前に上記の項目に目を通してみてください。今まで企画書が通らなかった人も、何か気付くことがあるかもしれません…!

これからソラジマでWebtoonの企画作家になる人や、企画書が通らず苦戦している人は参考にしていただけますと幸いです!


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