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【登壇レポート】地場ゼネコン100社とスタートアップが建設業界を変える革命の狼煙(2023.12.15第8回JAPAN BUILD TOKYO 特別講演)

建築・建設DX特別講演レポートの第二弾です(第一弾はこちら)!

2023年12月13日(水)から15日(金)まで、“建築の先端技術展”「第8回JAPAN BUILD TOKYO」が開催され、弊社も株式会社KENZO様と共同出展をしました。そして主催者による「建築・建設DX特別講演」にて、前日登壇の弊社代表取締役社長博多に続き、同じく弊社取締役会長 ファウンダーの青木が登壇させていただきました。では早速登壇内容をレポートさせていただきます。


地場ゼネコン100社?スタートアップ?革命?~ON-SITE Xとは

特別講演は加和太建設株式会社 スタートアップ共創事業部 ON-SITE X 事業責任者 近藤 剛様がファシリテータ―となり、パネルディスカッションとして開催されました。パネリストとして、加和太建設株式会社 代表取締役 河田良一様、SORABITO株式会社 取締役会長 ファウンダー 青木 隆幸が登壇しました。

登壇者に共通するキーワードは「ON-SITE X」。講演タイトルにある「革命の狼煙(のろし)」をあげているON-SITE Xは、チャレンジングな地方建設会社と建設業に取り組むスタートアップの建設DXコミュニティで、2023年12月時点で全国の地場ゼネコン約100社と建設業向けサービス・製品を展開するスタートアップが参加しています。加和太建設が事務局となり運営され、SORABITOもスタート時から参画しています。

国内第二位という産業でありながら課題が山積する建設業において、新しいアイデアや技術を有するスタートアップの参入を促し、業界の仲間として全国各地の建設会社が抱える課題を解決していくことを目指しています。特に、現場と距離が近くフットワークの軽い地方建設会社が主体となり、建設業界が抱える課題や建設現場をスタートアップに提供しながら、建設業の未来に向けて共創活動に取り組んでいます(ON-SITE X HPより抜粋)。

ON-SITE Xをリードする加和太建設様のご紹介

パネルディスカッションは青木とSORABITOの紹介からスタート。青木の実家が、代々続く建設会社で、幼少の頃から建築・土木に親しんできたことや、東日本大震災のときの建機レンタル会社との出会いなどが語られました。(補足:2023年の1年間で47都道府県全てに訪問させていただくなど、現場や人が大好きです。日々の活動はX(旧Teitter)で発信しておりますので、是非フォローもお願いします。)

続いて、加和太建設 社長河田様からも会社紹介をいただきました。静岡県三島市に拠点があり、売上は約150億。この10年で売上は2.5倍と急成長を遂げられている建設会社です。社員構成も、20代、女性、Uターン/Iターンの比率が非常に多いことが特長的で、根底にある想い・実現したいこととして「地方建設業のあり方を変え地方から日本を元気に」「世界が注目する元気なまちをつくる」を掲げています。

この2つを実現するために、一般的な建設業と異なり、「ものづくり(土木・建築)」だけではなく、「コトづくり(施設運営)」「建設業の変革づくり(Con Tech)」「まちづくり(不動産)」など、多くに事業領域でビジネスを展開していることも紹介されました。 加和太建設 近藤様からは、加和太建設がON-SITE Xを立ち上げた背景なども解説がありました。事業としては「建設業の変革づくり」の一環に位置づけられ、国内2位の市場規模を誇るもののスタートアップが少ない建設業において、現場とスタートアップをつなぐことで課題解決をしていきたいという想いで立ち上げたことも共有されました。実際にSORABITOも加和太建設様のお取り計らいで、多くの現場に訪問させていただき、直接意見を伺うことでサービス開発につなげています。これらのコミュニティを通じて、新しいエコシステムを作りたいという想いがビンビンに伝わり、聴講者も深くうなづいていました。

新しい取組の現場への浸透方法とは?

パネルディスカッションでは、建設業界が抱える「2024年問題」「担い手不足」「資材高騰」など多くの課題に対して、解決策とみられている「建設DX」についての意見交換がされました。現場への浸透は難しいのでは?という問いに対して、課題への取組み方や浸透の具体的方策について意見交換がなされました。

青木からはスタートアップの視点から「最初の1人」の大切さについて共有されました。スタートアップはそもそも新しい提案をしているのですが、その新しい提案を受け入れてくれるのは100人に1人ぐらいであること、そしてその出会った1人としっかり取り組んで行くことが未来につながることを、実際にその1人(1社)でもあった加和太建設様の例で紹介。土木・建築など多くの現場を、胸襟を開いて見せていただいたことや、机上ではなく現場の生の課題を直接伺うことができた経験が、現在のサービス開発の根底にあることなども示され、参加者の共感を得ました。そして、会話するだけではなく実行を通じて「認識のずれ」や「共通認識」が初めてわかり、それらを丁寧に紐解いていくことで道が拓けることも熱く語られました。実はこれはSORABITOの文化にもなっている3現主義(「現場」「現物」「現実」)にも繋がっているかと思います。

そしてそこで「事例をつくり、展開していく」ことが重要であること。「環境のせいにせず、チャレンジする」こと、それができる環境を作っていくこと自体が、どんどん現場に新しい取組が浸透していくポイントであることが共有されました。

事例紹介 ~建機レンタルDX

ではその「事例って?」ということで、加和太建設様と太陽建機レンタル様、SORABITOの3社で取り組んだ「建機レンタル業務のDXに向けた実証実験」について発表がありました。実証実験の場は、静岡県三島市の「加和太建設新社屋建設プロジェクト」!。実証実験を通じ、建機レンタル業務において「工程ごとにあった課題」が解決できるかの検証が行われました。その課題は大きく4つです。

①手配時における「今、難の機械・資材をレンタルしているか把握できない」「担当者の電話がつながらないので明日まで待つ必要がある」という手配の課題。

②「最新のカタログを事前に確認しておきたい」「カタログの持ち運びが簡単にできない」という検索の課題。

③「再注文する時、以前レンタルした建機を知りたい」「若手に任せると発注ミスが生じることがある」という注文の課題。

④「使わないのにずっとレンタルし続けている状態がある」「無駄なレンタル費用が発生している」という管理の課題です。

建設会社(建機レンタル会社)の方であれば、共感していただけるのではないでしょうか?

実証実験は、SORABITOが提供する建機のオンラインレンタルサービス「iーRental注文」を活用いただき、従来電話などで行っていただいた建機レンタル業務のオンライン化を通じて、2023年春に行われました。実証実験実施にあたり、iーRental注文上で電子カタログの様にレンタル品を検索できるデータを整備、「建設会社」「建機レンタル会社」双方で注文、管理などに活用いただいた実証実験を通じ、4つの課題解決に大きな効果があることが示されました。

加和太建設様視点での効果としては「未使用時の不要なレンタル継続の削減」「取り扱い商品の認知による選択肢の増加」「再注文機能による効率化」などが挙げられましたが、事前に想定していた以上に感じていただいたメリットとして「若手の育成・指導につなげられた」ということが共有されました。建機レンタルは、機材選定において経験が必要な業務で、従来はベテランの方が対応し、若手への機材知識・現場知見の継承が課題の一つでもありました。今回、スマートフォンで確認しながら注文ができ、注文した内容も関係者で共有できるしくみがあることで、万が一誤発注があっても早急に気づくことができるため、若手に思い切って任せることができたとのこと。これは業務負荷が大きくなりがちなベテラン社員の負荷低減につながるばかりか、若手技術者の育成、モチベーションアップにも直結し、とても大きな効果であったことが強調されました。

太陽建機レンタル様側視点でも大きなメリットがあったことが紹介されました。電話からオンライン注文へのシフトで、確認の電話などが減り「1日で提案などに使える時間が増えるのが、目に見えて実感できた」「朝早い注文や遅い時間の注文が減り、落ち着いた時間に対応できた」「想定よりもオンラインでも返答が早く、緊急時の電話併用できるため使い勝手が良かった」など、効果が体感できたとのこと。

実証実験の詳細レポートは無料で公開されており、下記からダウンロード申込が可能です。

この様な「全国レンタルDX共創プロジェクト」は、北海道、群馬、大阪でも実施され、さらに多くの都道府県で進行しています。この動きが加速できているポイントとして「スタートアップ側もとことん現場に入って一緒に開発・活用支援をする」ことが登壇者の共通認識として挙げられました。

是非現場でオンラインレンタルを利用してみたいとお考えになりました会社様は以下よりお問い合わせください。建設会社様は無料でお使いいただけるレンタルツールです。

建設スタートアップの想い

パネルディスカッションを通じ、「建設スタートアップとしてできることはまだまだ多いこと」を痛感しました。また、3名の登壇者の言葉から「現場の方同士が横でつながることによって、同じ悩みの共有だけではなく、解決するためのナレッジシェアがとても重要」ということがストレートに伝わってきました。これらが軽やかにできる世界を実現させるために、「100人に1人を”さがさず”に試行錯誤できる世界」をつくり、スタートアップにとっても魅力的なマーケットにしていきたいとう、加和太建設様の想いにお応えしたいと誓う時間となりました。
 
オンラインレンタルの実証実験から派生し、実はもう一つプロジェクトが立ち上がりつつあります。それは建設現場における「安全点検業務」のDX実現です。

建設現場で最優先される事項として「安全」がありますが、建機や設備など現場に存在するあらゆる機械の「点検業務」はその安全を担保するために非常に重要な業務になります。一方で、点検業務に掛る負荷は作業員をはじめ管理・監督者に及び深刻で、アナログかつ非効率な業務が多く残されているのが現実です。ON-SITE X参画企業の皆様に協力いただいたアンケートからも、点検に関わる業務課題として「紙の点検票を使った点検業務」「その紙の点検表の管理・集計業務」「点検業務の属人化」「始業前点検の形骸化」などが挙げられました。それらを解決する手段として、建設現場のあらゆる点検表をペーパレス化するサービス「GENBAx点検」をSORABITOが開発を進めています。

このサービス「GENBA×点検」は、2024年春の正式リリースに向けて、全国の建設会社の皆様とともにまさにサービス開発中で、ご協力いただける企業様を絶賛募集中です。建機だけではなく、建築物、足場などの「モノ・設備」、現場作業される「作業員」の安全衛生管理、などにも適応できる様に検討を進めています。現場の生の声を多く集めることで、より建設現場でお使いいただきやすい”なくてはならい”サービスになると考えています。

「GENBAx点検」が現在正式リリース前ではありますが、無料トライアルの受付を行っております。すでに多くの会社様にてトライアルを開始させて頂いています。是非、ご興味お持ちいただける方はお問合せフォームよりお気軽にお声かけください。

次回は、弊社代表取締役社長 博多が登壇しました「データ・AIの活用で切り拓く建設DXのこれまでとこれから」にてたくさん頂戴しましたご質問に対しての回答をまとめていきたいと思います。是非ご参考にしていただけますと幸いです。 


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