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奨学金を返すために親が出来ること

 今、大学の学費って、目がポーンと飛び出るほど高いんです。
 物価高で、少子化で、大学も生き残りをかけて学生集めに必死だそうです。だったら学費をもう少し安くしてよ、と思いますが、大学こそお金をかけて最新の設備を用意しないと。最新の勉強が出来ないなら、なんのための大学かと。

 で、大学側は毎年あれこれ設備を新しくするわけで、私立理系だと学部によるけど年間150万とか、160万とか、学費はそんな感じです。初年度は入学金もあるから、1年で200万くらい払うんですね。
 それ以外にも新しいノートPCやらタブレットやら電子辞書やら、教科書以外の必須アイテムをいろいろ買わないといけない。
 体操服や体育館シューズは、高校時代のをそのまま使えたりするので、捨てずにとっておきましょう。

 世帯年収500万クラス(夫400妻100)の多くの家庭で、この年間150万の学費、なにそれ。一周まわって笑っちゃうような負担です。
 学資保険も今時はたいして利率良くないんですよね。
 せめて子ども手当だけでも貯金しておこう。と考えておられる方に朗報。今は中学生までだけど、これから高校生までもらえるようになるそうです。
 子ども手当(3歳未満15000円、3歳から10000円)をずっと貯金していたとしたら
 15000×12か月×3年=54万
 10000円×12か月×15年=180万 54万+180万=234万
 234万といえば大金だよ。大学受験と初年度費用がこれで賄えるよ。

 家計が厳しくても、子ども手当は将来のために貯金しておいた方がよさそうです。
 とはいえ、乳児期のオムツ代ミルク代が、めちゃくちゃ大変なんだよね。せめて3歳からは全額貯金と決めよう。それでも180万は貯まる!
 ところでこの子ども手当、世帯主の通帳に入るのってどうなの?
 夫の口座に子ども手当が入ってること知らない奥さん、意外に多くない?
 しっかり貯めてるご主人ならいいんだけど、うちみたいにどんぶり勘定だと後で「うわー」となるから、子ども手当の分は子ども名義で貯金するよ、等と、決めておいてね!

 別に大学行かなくてもいいんじゃない。というご意見もあるでしょうが、子どもが漠然とでもやりたいことがあって、それを仕事にするために大学の勉強が必要なら、親としては行かせてやりたいものです。

 そりゃあ、地元で国公立の大学に行ってくれればいいけれど。
 まあ、なかなかないよね。そこまできちんと勉強できる子に育つには、親も心を鬼にして、かなり努力してたと思う。
 多くは、センターは記念受験、実際のところ私立大学をレベル別に2,3校受けて、合格したところに行く。地方には私立大学が少ない上に、同じレベルなら都会の大学に行った方が就職に強い気もするし、子どもも都会の大学の方が勉強も張り切るでしょう。ひとまず奨学金の申し込み(締め切りが早い)をしておきます。
 この段階では、合格を願うことで頭がいっぱい。

 だから遠方に進学が決まると、家族会議で「お兄ちゃん、4年間の学費がだいたい600万かかるんだよ。学費だけは親の務めで払うから、生活費は奨学金でお願いね」と、なる。
 奨学金をどのくらい借りるのか検索したら、中央値が324万なんですって。4年で割ると年間80万。

 年間150万の学費を払うだけでも、お母さんはパートを新たに掛け持ち、時給のいい深夜帯で働き始めたり、お父さんは大事にしてたギターだとかゴルフクラブを売ったり、休日に配達のダブルワーク始めたりする。親も無い袖は振れない。でも、なんとか4年間は「目の前の労働をわき目もふらず蟻のようにこなすことで」踏ん張れる。
 子どもの学費って、最大に重い責任なんだよね。

 一方の子どもは、初めての一人暮らしで、すっかり浮ついている。
「親がああ言ってるし仕方ないから」奨学金というローンを、意味も分からず背負って、都会に出るんだけれど。
 学生寮はピンキリだけど、家具付き六畳で月5万くらいでしょうか。年間60万の家賃。朝夕の食事がつく寮だと月額にプラス3万、年間96万。
 奨学金が年80万だから、およそ家賃相当になりますね。
 寮で朝夕の食事がついていても、昼食代も必要だし、細々とお金は必要。月に少なくとも5万は生活費を稼がなきゃいけない。人間関係が原因で、寮が嫌になったら、家賃も上がるので、月10万は稼がないと。
 バイトの月10万必須は、心理的にかなり厳しいです。
 子どもから返事が返ってこなくても、まめに連絡して寄り添いましょう。返事がないのは、「親にはこれ以上頼れない」と子どもは必死に戦っているからです。
 もし、自分のパート代にちょっとだけ余裕ができたら、1万円送ってやりましょうね。大人の1万円と学生の1万円は値打ちが違うのです。

 自宅から電車を乗り継ぎ、2時間半程度で通学できる大学だった場合は、なんとか家を借りなくても済みます。
「親の務めで学費だけは払うから、あとは全部自分でやりなさい」の条件で、ギリギリ奨学金は借りなくて済む範囲ですが、今度は子どものバイトが見つからなかったりする。
 2時間半の通学では、おそらく終電や終バスも早いだろうから、時給の良さそうな都会の居酒屋さんでも2、3時間程度しか働けない。学割があるとはいえ、遠方なら定期代もバカにならない。でも、「せっかく奨学金を借りずに済む条件だから、なんとかしなきゃ」と頑張ろうとする。
 朝は始発、夜はバイト後に終電帰りの生活、1年目で疲れ果ててしまい、燃え尽きてしまったら大変です。本末転倒!
 奨学金を借りて小遣いや定期代にすればいい。バイトは無理ならしなくてもいいと、親から声をかけてあげたら本人も楽になるんじゃないかな。

 自宅から、1時間程度で通学できる大学なら、運がいい方。比較的都会にお住まいであったり、文教地区にお住まいではないでしょうか。
 こういう場合、奨学金は借りなくていい、にならないのが親の事情。
「家のローンもまだ大変なんだ。学費の半分は国公立に進学したつもりでなんとかするから、残りの学費は奨学金を借りてほしい」
 都会は自宅が高いし、マイホームを買う時に返済プランやライフイベントにかかるお金も計算してると思うんですが、20年前の大学の学費はこんなに高くなかったんですよ。初年度100万、次年度80万とか、今の半額ぐらいで計算してたはず。
 子どもは「たしかに国公立受からなかったから仕方ないな」と思って、奨学金を借ります。学費の半額とトントンなので、バイトは小遣いと定期代を稼ぐ程度。
 おそらく、生活に変化のないこの層が一番、危機感が無いと思うので、
「バイト代に余裕があれば貯金して奨学金返済のときに使ってね」と、後の返済について伝えましょう。
「学費全部出してあげられたらよかったんだけど、奨学金でごめんね?」と心の寄り添いを伝えるのがいいと思います。

 奨学金の返済は、平均・月16000円。年間にすると、198000円。20年で、3840000円。
 15~6年程度で返済を終える人が多いらしいので、ボーナス時にはまとめて返してる人が多い。
 月16000円の返済か、たいしたことないなと感じたあなた、それはあなたが大人であり、長年働いてきた社会人だから。
 就職して月22日働くとして、毎月1.5日分の労働が問答無用で返済に消えるのは、働く前の学生には重い。

 本来なら、大学を卒業して社会人になったら親の仕事は終わりです。
 でも、子どもが奨学金を返している間は、そこに親の事情が入っていることを忘れないで、時々こちらから「奨学金は返せてる?」と連絡するべきだと思う。はっきり聞いた方がいいよ。こういうことは。
 子どもはプライド高いから、きっと「大丈夫」くらいしか言わないけど、親が返済を気にかけてくれているのを知るのは、嫌ではないはず。
 親としては、奨学金を返済し終わるまでは、「子どもの頑張りで大学を出せた」という感謝の気持ちを伝えて、寄り添ってあげた方がいいと思うのです。

 そして就職して10年後、奨学金の返済につまづいてしまっているようなら、親の責任としていつでも返済に協力する姿勢を見せる。
 親だって歳を取るし、老後資金を貯めないといけない時期になり、余力もない。けど、責任を分担する姿勢を見せることで、子どもは自分の後ろに親がいるってわかる。自分ひとりで返済してるんじゃないと知れば、すごく楽になるから。
 毎月5000円でいいから、続けられる額を必ず毎月送ってあげる。
 子どもが返済を終えるまで、手を離さない。
 決して子どもを孤独にさせないように。親も当事者であることを忘れずに、返済を頑張りましょう!



#創作大賞2024   #エッセイ部門   #お金について考える


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