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アガパンサスの思い出から

雨が降っては止みを繰り返し
私には、涼しめの7月前半から
徐々に本格的な夏が迫ってきた。

この時期、年々豪雨災害が増え
どの地域にいても災害のリスクはある。

日々、土地を守る見えない存在に
生かされていることに感謝するばかり。

そんな季節
あじさい以外でも定番になってきた
涼しげな美しい花がある。

アガパンサス

この花を初めて見たのは
25年前の夏休み旅行で行った
シャガール美術館のエントランス。

暑い夏の盛り
入口で出迎えてくれたのは
さわさわと風が吹く中で
すーっと伸びた茎が揺らぐ姿。

その空間は今でも忘れられない。
入口の花はその場所を印象づけていた。

なんだろう、このきれいな花は
今でこそ、アガパンサスと認識しているが
その時は名前も知らなかったので
うす紫の彼岸花と仮名を付けていた。

日本の彼岸花にも似ているが、涼しげな色合い
日本ともちょっと違う爽やかな風景
すぐに、この花が好きになった。
私の中では
アガパンサス=シャガール美術館
で染みついている。


シャガール美術館ついては無知なまま
連れていかれるがままに鑑賞。
今になって調べて知ったことばかり。

正式名称は
国立マルク・シャガール聖書のメッセージ美術館
(musée national du message biblique
Marc-Chagall)

1966年、シャガールは17点の連作から成る「聖書のメッセージ」をフランスに寄贈。これを元にしてシャガール作品を集めた美術館建設を進めたのが、当時の文化大臣でもありまた、パリ・オペラ座の天井画をシャガールに依頼したアンドレ・マルロー。ニース市が土地を提供し、1973年のシャガール86歳の誕生日に開館。シャガールが設計段階から参画した他にはない美術館

宗教画にも聖書にも興味はなかったし
シャガールは少し暗い印象もあった。
今改めて見ると重厚な題材だったとわかる。
年月を経て調べてみるのも面白い
あの頃の私ではどっちみち理解できなかった。

絵もほとんど覚えてなかったが
建物に自然光が差し込み
一つ一つの大きな絵の色が映えていて
明るい印象が強く記憶に残っている。
黄色とピンクの色が気に入って
絵はがきを記念に買った。

【律法の石板を受け取るモーセ】

自然光を浴びて
とにかくこの絵が凄く輝いて見えて
印象に残っている

キリストだとずっと思っていたがモーセだった!
【ソロモンの雅歌III】

めずらしいピンク色の優しい色合い
すごく深い意味があった

亡くした妻の悲しみと新しい妻を迎える喜び
相反する生死が混在する絵だとか

これを選んだ理由が25年後の今わかった


この小さいバージョンの絵は
後に地元の美術展で見かけたので嬉しかった
オペラ座の舞台写真 フォトショットコーナー


オペラ座の天井画

パリ「オペラ座」(オペラ・ガルニエ)の天井画

パリ滞在時、自由時間があって
ルーブル美術館はこみ過ぎなので断念し
オペラ座に行き館内を鑑賞。
舞台も、舞台裏も見学し
天井画をみるとシャガールだった
偶然にもまたシャガールの大作が見れた。
元々は違う絵だった?と記載があった気がする
凄くカラフルで綺麗だったけれど
ずっと見たくても首がだるくなる程。

オペラ座は込み合うこともなく
なぜか俳優の真田博之さんがいるという
おまけ付きで良い観光ができた。


ちなみに、その時の旅行は
父が亡くなり四十九日も過ぎない時期で
一緒に旅する予定の友が気を使ってくれて
旅のキャンセルも検討してくれた。

旅行の数週間前の父との会話。
娘を認識しているのかもわからない
意識もうろうな父との曖昧な会話の中で
旅の予定をポロッと話していたのだろう
早く家に帰りなさいと言いたかったのか
「パリに行くんでしょ、もう帰りなさい」と
なぜかパリ推しをはっきり伝えてくれた。

旅行を後押ししてくれていた様なので
遠慮なく旅に行くことにした。
私は父を亡くし、友は結婚直前で
素晴らしいバランスの二人だった。
だから、あの絵を無意識に選んでいた
記念にいい旅ができたことを嬉しく思う。

その時の印象が強く残っていて
それぞれの、旅立ちの美しい花
終わりと、始まり
そんな流れの中でみつけた麗しい花が
日本でも咲いていたらいいのになあと
いつか庭に植えたい花の一つである。


ここ10年くらい前からだろうか
ちらほら近所でもこの花を見かける
ことが出来るようになった。

埋もれた葉っぱから軸が伸びてきて
次第に先がふっくらとし

小さなユリが集合したように
うす紫の花を咲かす

そうして花が終わると
種が出来ていて、おそらくその種で
地植えの花は、時間をかけて
少しずつ増えているのだろう
毎年欠かさずに咲いている。

秋の彼岸花、夏のアガパンサス
それが定着するくらい。
花も手に入りやすくなり
珍しい花ではなくなったことが嬉しい。

原産はアフリカ
ユリのような形から
アフリカンリリーとも言うらしい。

アフリカで紫の花と言えば
紫の花木 ジャカランダ も有名
でっかいアガパンサスのようだ。
まだ一度も行ったことのない国
いつか見たい紫の花の景色のひとつ。

海外ではこの木が
日本の桜みたいな意味合いの
国も多いらしい


アガパンサス
風のような、水のような
花火のような、受信機のような
この花が、梅雨の曖昧なお天気に
落ち着き、華やぎ、涼しさ、癒しを
毎年くれている。

久々に思い出がよみがえった。
花言葉は沢山あるけれど
私にとってこの花は「節目」

エピソードのある花は
記憶を想起し
何かを伝える送受信機そのもの
になっているのかもしれない。




さて、アフリカ繫がりで

思い出話をもう一つ

私がかつて勤めていた病院の部署に
研修医として来られた懐かしい川原先生。
当時、私も先生も20代の若かりし頃で
約30年前の話。

研修医の立場でご自身にもまだ
ゆとりはなかったと思いますが
患者さんにも、スタッフにも
優しくて、気さくで、おおらか
実際ラガーマンで体格も大きな先生でした。
ついでに言うと、もう一人の研修医も
ラガーマンで、二人並ぶと医師というより
白衣がどこか浮いて見えたものです。

タフさも根性も情熱もお持ちのラガーマン
体育会系で明るくさっぱりした感じ。
けれど、体格とは裏腹に
とても謙虚な先生だった印象です。

将来立派になられても
横柄な感じのお医者様には
ならないだろうなという雰囲気は
すでに漂っておられました。
(だれ目線や?って感じですが)

私がまだ医療従事していた頃、たまたま
テレビで懐かしいお顔を見つけました。
上記の内容で外務省の医務官をやめて
アフリカの医療に貢献している現状や活動を
TV番組で紹介されている様子でした。


将来は約束されていただろうに。
研修医時代から奥様(聡明で美しい女性)
とお子様もおられるパパでした。
単身で行かれたとのこと
奥様も器の大きな方なのだな
とつくづく思いました。

家族もいるなか
地位や名誉やキャリアも捨てて
医療物資も施設もそろわない
きれいな水さえもないその環境で
自分の命だって保証はないのに
人の命を救いたいという純粋な気持ち。
もしかしたら、同じエリートからすると
揶揄されたかもしれません。
医師の力量も人間力も本当に試される
ハードでタフな生き方を選び、それを
貫いた強い信念は並み大抵ではありません。
その決断こそがエリートのようです。

たった、一年の関わりでしたが
とても先生らしい決断だなと感じました。
正直、外務省医務官になられていたことが
ちょっと驚きでした。
想像もつかない立派なお仕事ですが
もっと、大地が似合う感じだったので。

心の声に従った先生の志は
誰もが応援したくなり信頼の厚さで
必ず乗り越えられるのだろうと。
何よりその人柄に多くの方が賛同され
サポートされるのだろうなと感じました。


社会的立場は比べもにもなりませんが
医療の在り方に少々疑問があった私には
枠組みからのいち早いご卒業
本当におめでとうございます。
素晴らしい決断力、行動力に
ブラボーとしか思えませんでした。

支援を通じて
地域の医療の自立を目指すとのこと。
水の供給の整備は、医療以前に
地球人にとって重要事項。
(先進国の透明な水だってあやしい)

泥水が当たり前の生活の人にとって
透明な水を目の当たりにする景色
驚くような魔法の世界に見えただろう。
これからはその景色をイメージできる。
想像力を上手く使えば、生活の質をあげる
創造が可能になる。

実存する新しい世界の提供は
実際の支援の大きさよりも財産になる。
そういった知恵も伝わるといいと思う。
これは、発展途上国に限らず先進国も同類。
人類の共通認識として必要な教育なのかも。
口で言うのは簡単、実践はなかなかなもの。

ところで
なんで、名前がロシナンテス?
(スペインの物語)なのと
気にはなってはいたのですが
上記にきちんと記載されていました。



最近、たまたまInstagramで
また、お顔を拝見し
頑張っておられるなー
全然、歳とってないなー
むしろ、生き生きして
若返ってないか?と驚嘆。

メディアでの宣伝効果は大きいものの
純粋な活動の上げ足を取って
利用されがちな面もあるこのご時世。
その活動の是非は、素人には
判断がつかないものが多いのも事実。
純粋な活動が邪魔されてなければいいなあ
と少々構えて懐かしんでいたところ。


信頼のおけるアンサーがかえってきました。
素敵なシェアありがとうございました。

活動報告もあり
古本の活用はとてもいいなと思いました。

今のとこお金で寄付するつもりもなく
本も数年前にがっつり捨てたので
送るものもありませんが
心よりこの活動を応援したいと思います。

著書も出版されておられました。
こちらを購入させてもらうのも
いいかなと思います。
自分を生きる刺激にもなりそうですし
これからの社会の立て直しに必要な
ヒントが沢山ありそうです。

とてつもない困難さがおありでしょうし
活動内容はもちろん素晴らしいですが
自分を誤魔化さず、自らの命を生かし
本来の望む自分で生ききる覚悟。
誰もが、なかなかたどり着けない
自分であることの本当の幸せな生き方を
見せてもらっている
そんな感じがします。

時代の先駆者だったのですね。


そして
現地の水質改善、医療生活状況が
より改善されることをお祈りいたします。

また、
現地の人自身で、望む生活を
想像できるようになりますように。
ルルドの泉が湧き出るかもしれない。



アガパンサスからの
つらつらとした思い出話

思い出は、私の人生の肥やしになっている。
ここまで生かされ経験できたこと
親も含め、出逢ってきた方々に感謝。

そして、今また
「節目」の時なのだろう。


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