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監視社会化に賛否両論

感染防止のためのICT導入が、プライバシーの侵害に…

こんにちは!碇です👨‍💻👩‍💻

 新型コロナウイルス感染症は、私たちのプライバシーも脅かしています。たとえば国内外で、スマートフォンのアプリなどを利用して、感染者と接触した可能性のある人にそのことを通知するといったしくみが広がりつつありますが、これが別の目的に利用されるときわめて危険です。加えて、政府に反対する人やグループを見つけて監視するのに使われるおそれもあります。情報通信技術(ICT)を利用した個人の行動監視はどこまで許されるのか、世界的に「監視社会化」を危惧する声が上がっています。


私たちのプライバシーはなくなる?

 新型コロナウイルス感染症の流行が始まってからは、おもな駅の周辺や繁華街などに集まっている人の数が、それ以前と比べてどのくらい減ったかというビッグデータが公表されるようになりましたが、これは携帯電話やスマートフォン(スマホ)の位置情報を、個人を特定できない形にして利用したものです。しかし、個人を特定したデータを利用する場合は、慎重のうえにも慎重を期する必要があります。

 緊急事態宣言の解除後、不特定多数の人が集まる施設などを再開するにあたっては、入り口に設置したQRコードを利用者にスマホで読みこんでもらい、その施設を感染者が利用したことが後からわかった場合、同じ日に利用した人に通知するというシステムを導入した自治体もありました。しかし、これで安心だと思う人がいる一方で、だれかに自分の行動が監視され、後から追跡される可能性があることに強い抵抗を覚える人もいます。

 その点、政府の「コロナ接触確認アプリ(COCOA)」では、メールアドレスも含め個人情報の登録は不要で、位置情報も利用しないとされています。このアプリをスマホにダウンロードすると、感染者とおおむね1m以内で15分以上接触していた場合、そのことが通知されるしくみです。ダウンロードするかどうかはあくまでも任意です。

 海外では、より徹底した行動監視を行っている国もあります。たとえばシンガポールでは、スマホだけに頼った行動追跡には限界があるとして、身につけるウェアラブル端末を約570万人の居住者全員に配ろうとしています。まずはスマホを持っていない人から優先して配布するとのことですが、これには反対の声が上がっています。感染拡大防止を大義名分として、政府などがICT機器により、国民の行動を監視することをいったん許してしまうと、その範囲が際限なく拡大されて、反政府活動の監視なども使われるおそれがあるためです。

日本は今のところ、諸外国に比べて、ICTを利用した行動監視には慎重ではありますが、今後、社会の雰囲気がどのように変わっていくかわかりません。プライバシーより安全が優先される「監視社会」を選ぶのか、プライバシーを守るためにはある程度のリスクを受け入れるのか、その分かれ道に立っているといえそうです。



マイナンバーと銀行口座をひもづけ?

 外出の自粛要請や休業要請により、仕事を失った人や、売り上げが激減した店が続出する状況のなかで、「自粛を求めるなら補償をすべきだ」という声を無視できなくなった政府は4月、当座をしのいでもらうため、国内に住む人全員に一律10万円を給付することを決めました。

その際、マイナンバーカードを使えば、オンラインで申請することも可能だとされました。2016年に始まったマイナンバー制度とは、日本に住む人1人ひとりに12けたの番号を振り、それぞれの人が税金や年金保険料などをいつ、どのくらい納めたかなどの情報を管理しようとするもので、希望者には、運転免許証などと同じように本人確認書類として利用できるマイナンバーカードが発行されます。このカードが発行されるときは、本人自身が暗証番号を設定します。オンライン申請をするとき、その番号を間違えなければ、確かに本人だということが証明されるわけです。 

 ところが、マイナンバーカードを使う機会があまりないため、暗証番号を忘れてしまっていた人が非常に多くいました。暗証番号は何度か間違えると、カードの機能がロックされてしまい、解除するには役所で手続きをしなければなりません。こうして、役所の窓口に多くの人が押し寄せて密集するという本末転倒な事態になりました。

 こうした大混乱があったため、「こんなときのために、個人の銀行口座にマイナンバーをひもづけておけばよかったのだ、これからでも義務づけるべきだ」という議論が起こりました。しかし、それぞれの個人がいくらお金を持っているか、国が把握できるようになるのではないかと心配する声も上がっています。マイナンバーカードの普及率は低く、2020年7月の時点で17.5%程度しかありません。そこで政府は普及を進めるため、2020年9月1日から、カード保有者がキャッシュレス決済で買い物をしたり、残高にチャージ(入金)をしたりすると、その額の25%(最大5000円)がポイントとして還元される「マイナポイント」事業を始めました。2021年3月31日までの予定です。



まとめ

世界には様々な情報技術があります。それらをどう使って行くかが、今後のポストコロナ対策に大きく影響するでしょう。特に日本は、法律に縛られて技術を十分に応用できない事例が多いので、法整備についても今後の動向を見ていきたいですね。



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