50歳を過ぎて、若い人から学べる喜びについて
というnoteを書いてから、半年が過ぎました。
目標、計画をしっかり立てて努力したことより、
心からの望みや願いの方が不思議と上手く。
そういう経験の方が(人生の中で)圧倒的に多い。
それをnoteを書いたことで、自ら再認識しました。
その後、私は必死に努力するしんどさとは今まで以上に無縁になり、
ゆっくりとですが、人生が自ら希望する方向に向かう実感を得ています。
現在は次のライフステージに向かう手段を手に入れ、いい感じでワクワクした毎日を送っています。
ではその後具体的に、何があって、どうなったのかを振り返ってみたいと思います。
今回は振り返りシリーズの1回目として、会社から研修に行ったお話を書きます。
グループ企業で実地研修を受ける
2021年11月、勤め先のグループ企業の超・高級リゾートホテルへ接遇研修のため4日間派遣されました。
目的は、最上級のおもてなしを体現するため。
その接遇とマインドを現場で学び、我が職場(高齢者住宅)も同じブランドとして優雅なイメージにしていこうというもの。
入社以来、そういう研修を待ち望んで3年目。ようやくやってきた機会でした。
(実は、この時から会社の大改革が始まったと、後からわかることになります)
研修先は、グループのメイン企業が経営するトップブランド。20代、30代の若き精鋭たちが集められた超セレブなリゾートホテルのフロントでした。50代の私とは、親子ほど違う年齢のスタッフもいる中で、学ばせて頂きました。
同じく研修に参加する同僚は、口を揃えて「親みたいな年上の私たちが、こんなにフレッシュな人たちに混じって現場に立つなんて」と言いました。
「しんどい」「恥ずかしい」人それぞれ思いは違えど、総じてネガティブ、できれば行きたくないよね…
でも私は、「現場でちょっと浮いてしまうかもしれないけど、自分にとって新しい体験が待っているはずだ」というワクワク感の方が勝ってしまっていました。
実際、この年齢で、ホテルのフロント業務は体力的に非常にキツかった!
でもそれ以上に、学びの大きさは猛烈に素晴らしく、
会社の研修でいちいち感動しながら学んだのは、人生初かもしれません。
若くフレッシュなマインドも、たくさん吸い取り、10年前、20年前の自分のこともたくさん思い出し、その思いに再びワクワクできたのも面白い体験でした。
その時に出会ったスタッフの皆さんからの学び、言葉のやりとりが、今も心に深く残っています。
その中でも、サービス業に携わる者として一番強烈に印象に残っているのは、ある新人スタッフの美しいお辞儀(最敬礼)を見たことでした。
新人スタッフの「美しいお辞儀」
一人の日本人として、子どもの時から当たり前にやってきた「お辞儀」。
50歳で煎茶道を始めてからは、座礼(正座して手をついてお辞儀)を適切に、美しくすることも覚えました。
しかし、です。
お辞儀というものは「やらないと失礼だからやる」という意識が少なからずありました。
ペコリと頭を下げながら「これで私の本心からの想い(感謝や敬意)がどれくらい伝わっているのかな」と疑い、もどかしさも感じていました。
研修2日目の晴れた朝、従業員用のシャトルバスで出勤していた時のこと。
ドライバー席の近くに座っていた私は、そのリゾートホテルの車用ゲートに向かう道に入り、真正面、目線の先にゲートスタッフの姿を見つけました。
高さ3メートル以上ある、まるでどこかの宮殿のようなお客様用ゲートの前に、スタッフが朝日に照らされて立っていました。
するとスタッフは、従業員用のシャトルバスに、ゆっくりと深々と最敬礼のお辞儀をしました。
自然な立居の姿勢から、腰から90度ゆっくり頭を下げ、少し待ってから、下げた時よりさらにゆっくりと頭を上げる。
「おはようございます」と明るい声が聞こえた気がしました。
その感覚に驚いてしまい、心が震えて涙が溢れてきて、バスの中で慌てる始末でした。
当たり前の「お辞儀」が伝えるメッセージの強さ、美しさ、温かさ。
言葉はなくても、心をこんなにしっかりと届けることができる。
人生半ばにきて、ついに体感として学んだと思いました。
さらに言うと、
私がここまで感動したのは、
高級リゾートホテルが持つ施設の完璧な美しさが実際のシーンの背景として多分に影響しているのも事実ですが、それ以上に
50歳を過ぎた社会経験豊富(ゆえに上から目線になりがち)な自分が、若い人材から素直に学べた喜びだったんだと確信しています。
人生経験豊かになったプライドの罪
人生経験豊かであることは、誰もみな誇れること。
だから、持ち得るプライドはしっかり持てば、前向きに生きる力になると信じています。
一方で、それを誇りすぎた時、見栄を張ろうとする気持ちも自然と湧いてしまいます。
私など、真正の「負けず嫌い」だし「若さ」に対する嫉妬心も多分にあります。
特に「若さ」は、若いからこそ持つ特長でしかないのに、「自分の強み」だと勘違いしていた節もあります。
健康であること、反応の速さ、記憶力の確かさ、若いからこその外見の美しさ。
それは年齢を重ねれば、誰も例外なく失われてゆくものです。
ですから、30代、40代、50代と移行するにつれ、若さが失われていくのを実感しては、自信をなくし、自分にがっかりすることが増えました。
だから、このような学びの機会に、若い人に対してプライド高め過ぎたり、見栄や嫉妬が顔を出すと、コミュニケーションでこじれてしまい、学ぶことなんかできなくなってしまいます。
そんなことが、心のどこかで不安でもありました。
素直に学べたことに最大級の感謝を
でもこの時の私は、そんなプライドの罪に屈することなく、素直に教えを請うモードになれていたんですね。
そんな自分でいられたのは、やはりその研修先の若き人々のおかげだったと改めて思います。
研修リーダーも、それ以外のスタッフ全員が、ウエルカム・マインドで接してくれました。
また、私をはじめとする研修スタッフのための研修内容が、そのチームのリーダーたちが自ら考えコーディネートされたものでした。
それは内容が実用的でとてもわかりやすいものだったことから、語らずとも伝わっていました。
彼らが懸命に培ってきたプライド(=一流の接遇)を持って準備し、何か一つでも提供したものを持ち帰ってもらいたい、そんな願いがあふれていました。
そんな彼らに、私はいつまでも心から感謝し続けていくことでしょう。
そして最後に、忘れてはいけないこと。
素直に学んだ私を、今一度、ものすごく褒めたいと思います!
「エラカッタネ、ワタシ!!!」
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