専業主婦のアイデンティティ

20代は自分の居場所を作り、守るのに必死だった気がする。思えば力あるものに迎合し、なのに迎合しきらず憤慨することも多くて、扱いづらい若手だった私は、各所に敵を作って30代を迎えた。

今思えば、大事にしたい場所と大事にしたい思いが噛み合ってなかったのだろう。

30代になり、私は自身の居場所に多少の執着と、時間の経過とともにそれが薄まる残酷さを身をもって感じながら、いまそれよりも自分のアイデンティティに目が向いている。

居場所よりも、私が何に関心があり何を大切にしていきたいのかということに重きを置くがうになったのは、ノリと勢いだけでやり過ごしたあの時間は、私の価値観を形成するものではなかったことを示しているのだろうか。

学生から社会人となり、そのうち結婚をして妻になり、そして母になった。20代のうちに怒涛のように、けれどごく自然な流れに沿って私のステータスは変遷を遂げた。

中でも価値観に大きな影響を与えたのは、妊娠と出産、そして身近な人の死だった。私が守ってきた居場所なんて、その場を楽に過ごす為のものでしかなかった。それに引替え目の当たりにした生と死というものは、対極のものでありながら密接で、無限なものに感じていた時間が有限であるものだということは当然な事柄なのに、私に大きな衝撃を与えた。

明日私は死ぬかもしれない、私の大切な人も明日死ぬかもしれない。

そう思うと、何よりも大事にしないといけないのは紛れもなく大切な人との時間であり、自分の居場所ではなくなっていった。

そう思うようになり、私の興味関心は大切な人を大切にできるようになる為には、だとか、我が子が大切な人を大切に出来るようになるためには、といった事にフォーカスするようになり、それが性教育だとかお金の教育、そして時間は悠久のものだけど有限でありそこにロマンがあるということを、恐竜や宇宙を通して我が子に知って欲しいと思うようになった。

当然のようにやりたいことよりも、誰と時間を過ごすかの方にフォーカスしているため、短時間で効率よく稼ぐために時給と立地が良い職場を選び、かつての職選びの基準とは全く異なるものになっていった。

この有限の人生、私は出来る限り夫と子供と共に過ごしていきたい。この芽生え始めたまだまだ未熟な私のアイデンティティを大切にしていきたい。


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