「遊ぶ金あるのに生理用品買えないんだ?」って意見、やばくない?

「コロナでバイトの収入が激減、生理用品も買えない学生」
という記事を掲載したツイートに、「遊ぶ金はあるのに?」というようなコメントがいくつか付いているのを見かけました。

これらのコメントできちゃう思考回路、普通にやばくない?と、思ったわけです。

好きで生理になってる人はいない

…こんなん多分言わなくても分かると思います。けど、敢えて言わないと前提がブレる気がして。

前提として、女はみんなそもそも生理に興味なんてないんですよね。

血が染みたら困るからナプキンを買う。

生理痛で生活に支障が出るから薬を飲む。

困っちゃうから仕方なく生理用品や薬にお金を出してるだけで、別に困らなければこんなことに金を出したくない。私が男だったらこんな費用かからなかったのに。

生活費だって同じですよね。

食に興味なくても、飢えたら困るから食品を買う。

潔癖症じゃなくても、雑菌が悪さをしたら困るから水道代を払って風呂に入る、皿を洗う、洗濯機を回す。

病院がニガテでも、風邪をひいたから仕方なく病院に行く。

性別に関わらず、好きでもないのに払わざるを得ない費用がたくさんあります。女は、そのうちの1つが生理用品なんです。

限られたお金と時間を何に使うか

時間もお金も限られてます。
その中で、興味のないものに極力お金を使いたくないって気持ちは誰だって同じだと思うんですよね。

たとえば、来月のライブにどうしても行きたいから、食費を抑えるために毎日もやし生活をすることがあるとしましょう。本当はお肉や魚、葉野菜を買って食べたほうが健康にいいけど、今回のライブは今回しか行けないから、我慢。

それと同じようなもので、今しかできない、今やりたいことのために生理用品の費用を削って遊びに使うのって自然なことだと思います。何回も言っちゃうけど、そもそも男だったらこんな費用かからないんだし。
ナプキンを使わずトイレットペーパーで代用できるならそうしてしまう、という気持ちも分かります。もちろん、血が漏れないか心配になる。本当はナプキンを使いたくても、「遊びor漏れる心配」を天秤にかけたら、今しかできないことや、今しか深められない親睦にリソースを使うという選択肢はおかしいことではないと思うんです。

限られた時間やお金を何に使うかって言ったら、興味もないうざったい生理のことより、自分の大事なことに使いたいですよ。

ペーパーもウォシュレットも無料なのに

そもそも、「生理用品の貧困」が日本で取り沙汰されたきっかけはヨーロッパのニュース。「生理用品の貧困」が問題になり、教育機関で生理用品の無料配布が行われるなどの流れがありました。

単に「お金がなくてナプキンが買えません」というだけではなく、重い生理痛や、生理の血が漏れることを心配してアルバイトを休むしかなく、満足に収入を得られない方という問題もフォーカスされました。


よく考えてみると、日本のほぼすべてのトイレにはトイレットペーパーが置いてありますよね。さらに、多くのトイレではウォシュレットだって無料で使えます。音姫も、水道も、石鹸も、手を拭くペーパーも、無料で使えますよね。ちょっといいレストランなどでは、マウスウォッシュや、綿棒、コットン、化粧水、クシまで置いてあります。

だったら、無料で生理用品を提供してもいいと思うんです。貧困対策だけでなく、急に生理が来たときにナプキンをいただけたらとてもありがたいです。
実際、日本にも生理用品を用意してくださっている飲食店もあります。でも、やはり基本的には置いてないところが大半です。
「トイレに行けばトイレットペーパーがある」のと同じノリで「トイレに行けばナプキンがある」という安心感があればいいのになと、ヨーロッパのニュースを見て思いました。

何がやばいのかという話

「遊ぶ金あるのに生理用品買えないんだ?」って意見、やばくない?という煽りタイトルにしたわけですが。

まぁ、正論ですよね。遊びにお金を使って必要なものが買えないなんて、ワガママじゃないかと。

でもまず、本当に生理用品が買えないほど収入がない人は、遊ぶ金があったのかって話です。
ものすごく簡単かつ安く見積もっても、地方都市の家賃で5万、健康を損なわない最低限の食費で2万必要です。時給800円だとして、生活費7万を稼ぐだけでも88時間のバイトが必要です。時給が高い場所は家賃も跳ね上がるのは言わずもがなですね。
大学生にとって、アルバイトに88時間確保するのは難しいです。88時間も確保して、やっと「生きる」ことができるレベルです。遊ぶお金を稼ごうと思ったらもっと働かなくてはなりません。

さらにコロナの影響で働ける時間も短くなり、そもそも雇用も減っているのですから、「生きる」ための額を稼ぐのも困難です。
そんな状況で、「別に興味もない」「なくても死なない」生理用品にかけるお金がないというのは想像に難くないのではないでしょうか。

長々と書きましたが、要するに「お前視野が狭すぎるだろ」「思考力なさすぎるだろ」ってことです。
「遊ぶ金はあるんだろ」と言った人は、きっとお金に困ったときに頼れる人がいたのでしょう。あるは、お金に困ったことがないのでしょう。

もっと言うと、大学に入って自分の世界や交友関係が広がって…という希望を持っていた学生は、今本当に辛い思いをしていると思います。そんな状況で、たとえ生理用品を買うお金を切り詰めて趣味や遊びに使っていたとして、誰が責めることができるでしょうか。

遊ぶ金があったかなかったかにかかわらず、月に200円ほどの生理用品代を節約しなきゃいけない状況を救おうという動きに水をさす真っ当な理由なんてあるのでしょうか。

たかだか200円の尊厳

こっからは完全に感情的な話になります。


先述のとおり、月経1回分のナプキン代はたかだか200円ほどです。お金を持ってる人に向けて旅行費用を国が負担できるなら、たかが1人200円の生理用品を支給してくれたっていいんじゃないでしょうか。

逆に、たったの200円の生活必需品すら買い控える生活をしている人がいるなんて、想像しただけで胸が苦しいです。200円のコンビニスーツを我慢するのとはワケが違うことくらい誰でも分かるでしょう。

フランスのマクロン大統領は、生理用品を「自身を守り尊厳を保つもの」と表現しています。200円の生理用品を買えないという事実が、どれだけ女性の尊厳が傷つく事実であることか。


森元会長の度重なる女性蔑視発言により、悪い意味で世界の注目を浴びた日本。この時期に話題になった「生理用品貧困問題」への対応は、これからの日本の性意識の分岐点になりそうな気がします。






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