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名を名乗れ

中尊寺金色堂は、とても有名なので、知っている人も多いと思う。
でも、中尊寺金色堂は、建物の中に飾られている、というのは、どれくらいの人が知っているだろう。あ、いや、中尊寺金色堂、という建物の中の飾りのことではなくて、中尊寺金色堂、という建物が、それより大きい建物の中に、飾られている、ということです。
安くはない入場料を払って、建物の中に入ると、ガラス張りの部屋の中に、中尊寺金色堂が飾ってあった。私は、中尊寺金色堂は、屋外にある、と思い込んでいた。だって、建物だろ。屋根があって、壁があるなら、外だ。でかいショーケースの中にあるアレは、模型と一緒だ。模型だったら、さっき、博物館の方で、小さいのを見た。あっちの方が、全体像も見えるし、展示物としては面白かった。こっちの、実物大の模型は、正面からしか見えないし、遠くて見にくかった。それに、博物館には、模型のほかにもいろいろあった。ここには、中尊寺金色堂の実物大模型が一個しか飾られていなかった。いろいろと、全然ダメだった。
なんだこれ、と思っていると、アナウンスが始また。アナウンスは、ダラダラと無駄に長くて、うるさかった。建物の中に閉じ込められて聞いていると、悪徳商法に引っかかったような気分になった。アナウンスでは、この金ぴかの模型は、何とかっていう偉い武将の墓だと言っていた。そのあと、金色堂ができた経緯の説明をしていたけれど、もう、すっかりひねくれてしまって、年取って死ぬのが怖くなった権力者が、自分が死んだときに極楽浄土に行けるように、多額の年貢を投入して、それっぽい墓を作った、としか、聞こえなかった。そんな奴、極楽に行けるわけがないだろ。
日光東照宮と同じだ。お寺だと思ったら、昔の偉い人の墓でした。知らずにここに来てしまった結果、昔の権力者の墓参りをさせられてしまって、そのことで、その人を尊敬していることにされてしまったみたいになっているのが、だまされたみたいで、気に入らなかった。
同じ武将シリーズでも、武田神社とか、上杉神社とかとは、ちょっと違う。武田さんも、上杉さんも、施設に、ちゃんと名前が書いてある。上杉神社は、上杉さんのゆかりの施設だ。すぐにわかる。こっちも、知ってて行っている。東照宮や、金色堂が、どこかの権力者の墓だ、というのは、すぐにはわからない。知らないのは、こっちの勉強不足、というのなら、そっちだって、日光東照宮じゃなくて、徳川家康宮、って名前にしろよ、と言いたい。中尊寺金色堂も、その、死ぬのが怖くなって年貢を使いまくったオッサンの名前を出せ。名前を出さないのは、何か後ろめたいことでもあるんだろ。年貢無駄遣いしちゃって恥ずかしい、とか。
ああ、いけない。すっかりだまされた気になっているので、言葉が荒れてしまった。
悪いことばかり言ってしまって、誤解があるといけないので、フォローします。中尊寺金色堂があるところには、金色堂、ではない、中尊寺、というお寺もあります。このお寺は、立派な建物で、中の座敷に上がって、仏様を拝むことができます。中には、大きな金色の仏像があります。この仏像は、ガラスのショーケースの中には入っていません。こっちは、見る価値があります。

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