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『チャレンジャーズ』テニスゲームがセックスにしか見えない、三角関係の情熱的恋愛映画。カモーン〜!

ルカ グァダニーノ監督の最新作


チャレンジャーズは、「Call me my by your name」(君の名前で僕を呼んで)、「A BIGGER SPLASH」(胸騒ぎのシチリア!)、で有名なルカ グァダニーノ監督の最近作。恋愛映画を撮るのなら、今はこの人!

「Dune」 の主役、ティラシー シャラメを早くも自作Call me~で使ったりと、非常に時代を読んだキャスティングが上手い。

今回は、そのティラシー シャラメの恋人役でDUNEにも出ていたゼンディアが主演。そして、最近の映画La chimera」の主演、ジョッシュ オコナー、ウエストサイド ストーリーなど舞台で活躍のマイク ファイストが、メインキャストだ。

恋愛映画といったら三角関係?


『チャレンジャーズ』、この物語は古典映画、「突然炎のごとく」がそうであったように、二人の男性が一人の女性に恋に陥るという冒頭から始まる。監督の前作「胸騒ぎのシチリア」とも同様、三角関係だ。
違いは、単なる普通の恋愛映画ではないということ。

ダブルスで上手く行っていた親友同士のテニスプレイヤーが、時代の寵児となっている女性テニスプレイヤー、タシ(ゼンディア)に、メロメロになる。

テニスのチャンピオンで、億万長者のタシは、試合中に膝の怪我で、引退。なんとか親友を出し抜いて結婚できたアートのコーチになる。

パトリックとアートが親友だったのは、いつのことだろう? 二人は当然仲が悪くなり対立、離れ離れへ。

13年後、アートは負け出している。タシとアートには子供ができるがずっとホテル暮らしだ。

コーチであるタシは「チャレンジャーズ」というテニスの試合の優勝賞金としては低い7500ドルの試合に出ることをアートへ勧める。

そこに、まるでホームレス状態といっていい状態、車で寝起きしているパトリックがやってくる。ここから、また三人の関係が始まる。

そう、まさにこの映画は、現代的な恋愛映画なのだ。テニス界を舞台にした、恋愛ゲーム! テンポのいい音楽のリズムに乗って、過去や現代の時間を行き来して繰り広げられる三人の関係性の不安定さや対立、愛情、憎しみが余すことなく描かれている。


テニスゲームがセックスに見えるのはなぜ?


「あなたたちは本当のテニスをわかっていない。テニスはリレーションシップ(関係性)よ。私たちは高みを目指す」(ちなみに日本語に直すと関係性だけど。これ、恋愛という意味に他ならない)

と、この上のセリフからも分かるように、いつでも彼女はテニスをベースに生きている。だから、引退を考えてる夫のアートには、実に手厳しい。

「愛してるよ」とアート
「知ってるわ」とタシ。ここは普通だったら目を見て、私もよというところである。

コーチになってほしいと頼み込むパトリックには、

「見てみなさい今の自分を。もうテニスプレイヤーではないは! 早く引退しなさい。車で寝ているなんてなんてこと!」と言って突き放すが、それでも引き下がらないパトリック。熱量が似ている二人はその後すぐに結びつく。

やる気のある男には、寛大なのだ

それは三人の関係が始まった時からわかるタシの性格だ。彼女のベースは、テニスで決まる! テニスを愛するもの、我の手をとれ、、、、?

二人の男はファイナルのゲームまでたどり着く。

前日、タシと不倫関係を持ったパトリックが、アートと二人だけに通じるジェスチャーで、彼女と関係したことを示すと、、、、。そのゲームは、思いがけない方向へと進む。

クライマックスは? これ、ネタバレになるのでアレですが、薄々気づいていた人には、大喝采かな? ゲームのクライマックスはセックスのクライマックス的な瞬間。そしてそこで、映画は終わる。

音楽と、特殊な撮影法も加わり、素晴らしい盛り上がりのラスト。

ちなみに、音楽担当は、トレント・レズナーアッティカス・ロス。撮影は、サヨムプー・ムックディプロームだ。

主役の三人の俳優について


マイク ファイストとゼンディアの風貌
は、少し似ている。
それは人間性の感じられない、AIの作ったような身体的特徴であること。
(表情は別)
特にゼンディアはいまや注目のバイレイシャルセレブだ。
アフリカ系アメリカ人とドイツ系とスコットランド系アメリカ人の系譜。
なんと綺麗で長い脚を持つことか!
将来の目標はLGBTQ系の映画を監督することらしい。それも二人の黒人女性が主役だそうだ。う〜ん。妄想は広がる。

DUNEでは、砂漠での全て布で覆われた身体だったのでその魅力がわからなかったが、このテニスプレーヤーの役では、顔には頭の良さや情熱が、そして、猫のようなしなやかさで筋肉質的な身体はとても個性的で美しい。

マイク ファイストは、子役から活躍してすでに賞をいくつもとってるのだけあるのだけど、一番気になるのはその顔、まさに恐竜顔? 身体の白さも加わり、少しアンドロイド的だ。

この二人はAI風でもあるし、アバターみたいなのが魅力を感じさせる。

唯一、人間的な顔つきなのが、ジョッシュ オコナー
この人は、「La chimera」ではだいぶ異邦人的風貌な気がしたが、あれはイタリアが舞台だったからか。この二人に比べたら、この映画ではだいぶ普通の人に見える。

セックスって肉体関係だけではない



テニスの物語に見えて、これは恋愛映画。
恋愛映画が苦手な私でもこの映画は好きと思ったのは、テニスゲームが、そのまま恋愛ゲームになっていて面白いからだ。

時代なのか、なんなのか。私が歳なのか? もう昔ながらの恋愛ゲームとか、セックス描写のものには割と飽き飽きしているので、恋愛映画と名をうっているものには観に行くのを躊躇うが、これは、肉体的なセックスではない、違うセックス。

本当に面白かった。セックスは、肉体だけではないからね〜。

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