仲俣暁生

編集者。物書き。破船房房主。「マガジン航」編集人。大学教員。その他もろもろ。下北沢から…

仲俣暁生

編集者。物書き。破船房房主。「マガジン航」編集人。大学教員。その他もろもろ。下北沢から阿佐ヶ谷に転居しました。

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  • 「マガジン航」【note分室】

    • 1本

    本と出版の未来を考え、実践する「マガジン航」のnote版です。試験的に課金コンテンツなどの運用をしてまいります。

最近の記事

軽出版は「腱」である

 本が動かなくなったなら、新しいものを出せばいいんじゃないか、くらいの軽いノリで出した『その後の』、この週末で40/100が売れたので、神保町PASSAGEへの出荷用10を合わせて半分が行き先が決まった。通販で月内にあと20-30は行くと見て、週明けに増刷をかけることに決定です。軽出版ならではの即断、即決。   破船房の名義で最初におそるおそる出したブックレットが立派になって復刊できただけでうれしいけれど、新たな読者を得て、さらに本編まで繋げられたなら、ホントにやってよかった

    • オンラインで本が売れるということについて

       BASEで久しぶりに『橋本治「再読」ノート』が売れた。本の売れ方というのは本当に不思議だ。ドカドカと売れるときがあるかと思うとパタッと止まり、またポツリポツリと売れる。そしてまたドカドカ、パタッ、ポツリ。シーンと静まったように動かない日が3日も4日も続くと、あぁ、もうこれで飽和状態で二度と売れないのか、と天を仰ぎたくなるが、またそのうち、少し動いたりする。  リアルタイムで売上がわかるオンラインでさえこうなのだから、買切りで仕入れてくださった書店での動きはなおのこと、覚束な

      • 「そこから始めるしかなかった世代」のための文学史と政治史

         『橋本治「再読」ノート』の売れ行きが落ち着いて来たので、この夏はまず『ポスト・ムラカミの日本文学』の復刊にとりかかる。橋本治は生前、自分と同世代の村上春樹や村上龍から再スタートする現代文学に積極的な意味を見出し、「そこから始めるしかなかった世代のための文学史」が必要だと書いていた。私はそれをいま書き下ろしで書いているのだが、正直、書きあぐねている。それで、とりあえず瑕瑾も多いが愛着もあるこの本を、誤植と事実関係の過ちだけ直して、最後に補論をつけて復活させることにした。  で

        • 【第三版出来】

          本日、『橋本治「再読」ノート』第三版第一刷400部が無事納品されました。週明けからの出荷分はすべて第三版になります。試みにこの版から表紙のマットコート紙を135→180に上げました。「ノート」から少し「本」っぽくなったかも? この版からのお取り扱い開始も歓迎します!

        軽出版は「腱」である

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        • 「マガジン航」【note分室】
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        記事

          unlearnとしての軽出版

           軽出版などというプチbuzzword化した言葉をつかっていると、ナカマタさんはもう何十年も編集や出版の世界でやってきたのだから、いろんなことを知っているでしょう、なのにどうして、あるいは、それだからできるんじゃないですか、というようなことを、ときどき聞かれる。私にとって自分で商品をつくって売る経験は、初めてではないにしてもアマチュアとしての経験のみで、おもな仕事としてやってきた雑誌編集やライターとは、やはり根本的に違う。それでも過去のさまざまな経験や知識は生きていて、それが

          unlearnとしての軽出版

          政治と文学と橋本治

          『橋本治「再読」ノート』を本にしてよかったのは、自分がやってきた仕事(編集、文芸批評、教育)が一つの形になったことだけれど、それだけでなく、文学や絵画について考えるのは、最終的には自分たちの社会のあり方、つまり「政治」を考えることなんだと、橋本治はずっと言い続けてきたのを確認できたことにある。  私は選挙が家業でもあるような特殊な家に育ったので、自分の家族ができてからも、選挙のあるたびに呆れられるくらい熱中してしまう。支持する候補が当選するか否かより(ほとんど当選しない。あ

          政治と文学と橋本治

          【7/4まで期間延長】謝恩SALEのご案内

          【謝恩SALEのご案内】発売開始から2ヶ月を記念して6/18から7/4まで、BOOTHおよびBASEの長谷川オンラインストアにて『橋本治「再読」ノート』第二版を1000円+税にて販売しています。(限定100部、在庫がなくなり次第終了) https://hasenbo.base.shop/items/85751775

          【7/4まで期間延長】謝恩SALEのご案内

          トークイベントのご案内【6/24 Mon. 外苑前】

          来週の月曜日、6月24日に軽出版についていま考えてることを全部話します。時間は19:00- 、会場は外苑前のFlat Base。リアル参加(FLAT BASE) 1,000円(税込)、オンライン参加800円(税込)です。本の販売も行います。よろしくお願いいたします!

          トークイベントのご案内【6/24 Mon. 外苑前】

          サンヤツ風の販促ツール

          サンヤツ風の販促ツール

          『軽出版のススメ』のためのメモ①

          モノが売れることについて、あるいは売れないことについて、この2ヶ月できわめて多くのことを学んだ。そしていままで(とくにフリーランスだった約30年間)、自分の労働力あるいはコンテンツ(原稿)あるいはスキル(編集その他)を「売る」ことに対していかに無頓着だったか思い知った。 私は就職活動以外、自分から「営業」というものをしたことがほとんどなく、フリーランスのときも、大概、仕事は向こうからやってきた。「仕事をすること」が最大の営業活動で、自分から新規開発する必要がなかった。でもコ

          『軽出版のススメ』のためのメモ①

          『橋本治「再読」ノート』のお取り扱い店舗(常設店、2024.6.12現在)

          【東京】本屋B&B、古書ビビビ、イーハトーボ(以上、下北沢)、PASSAGE、SOLIDA(以上、神保町)、古書ほうろう(池之端)、双子のライオン堂(赤坂)、本屋Title(荻窪)、今野書店(西荻窪)、BOOKS青いカバ(駒込)、サンブックス浜田山(浜田山) 【千葉】甲羅文庫(市川)、本屋BREAD&ROSES(松戸) 【青森】小山古書店(弘前) 【岩手】 BOOKNERD(盛岡) 【新潟】ツバメコーヒー(燕) 【京都】ホホホ座浄土寺店、誠光社(いずれも京都市内) 【奈良】ほ

          『橋本治「再読」ノート』のお取り扱い店舗(常設店、2024.6.12現在)

          週刊文春に『橋本治「再読」ノート』の書評が載りました

          週刊文春に『橋本治「再読」ノート』の書評が載りました

          『橋本治「再読」ノート』、第二版が到着。

          明日から順次、出荷いたします。初版から、背のグリーンを気持ち濃くしました。新潮文庫の橋本治の背からは少し離れますが、初版と見分けやすくするのと、背の白抜き文字をクリアに見せるためです。ご理解ください。

          『橋本治「再読」ノート』、第二版が到着。

          橋本治「再読」ノート』のための、さらに長いあとがき

           ことしの初めに、文学フリマ東京に向けた破船房レーベル第四弾として、橋本治さんについて書いたウェブ連載を本にまとめることを決めた。  三月の終わりに神奈川近代文学館で「帰って来た橋本治展」の内覧会があり、お招きいただいた。 そこで『はじめての橋本治論』を上梓した千木良悠子さんや、「小説宝石」で「ふしぎなぼくらの橋本治」の連載をはじめた柳澤健さんと、久しぶりにお会いした。二人とは以前から面識もあるし、それぞれが橋本治に対して、並々ならぬ愛情と理解をもつ人だと知っていた。  それ

          橋本治「再読」ノート』のための、さらに長いあとがき

          さらに長いあとがき

          さらに長いあとがき

          今夜、高円寺でお待ちします

           本を自分でつくって売る、いわゆる「軽出版」を始めてみてよかったなと思うことはいくつかある。思いがけなく本が売れてくれることは、もちろんうれしいが、それ以上に、本を売ってください、とお願いしたり、読んでくれた方から手紙が来たりと、本を介した人との繋がりができたことだ。   これまでも本を書いて来たし、私の本を長く置いてくれる仲のよい本屋さんもいた。でもそれは、まだ、著者としての関わりでしかなかった。本づくりも売ることもすべて出版に委ね、書くだけの立場だった。  そこから見える

          今夜、高円寺でお待ちします