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『軽出版のススメ』のためのメモ①

モノが売れることについて、あるいは売れないことについて、この2ヶ月できわめて多くのことを学んだ。そしていままで(とくにフリーランスだった約30年間)、自分の労働力あるいはコンテンツ(原稿)あるいはスキル(編集その他)を「売る」ことに対していかに無頓着だったか思い知った。

私は就職活動以外、自分から「営業」というものをしたことがほとんどなく、フリーランスのときも、大概、仕事は向こうからやってきた。「仕事をすること」が最大の営業活動で、自分から新規開発する必要がなかった。でもコロナ禍のロックダウン後にパタっと仕事が来なくなり、そのタイミングで専任の教員になり、激変する環境のなかでなんとか生き延びることができた。

それで少し落ち着いて、労働以外の自分の「売り物」はなんだろうと考えたとき、割の合わない書き下ろし(=労働)が気乗りせずにいるうちに、過去のIP(ようするに雑誌に書いた後に本にならなかった原稿)を再発見し、それをマネタイズするための仕組みとして「軽出版」を編み出した。向こうから来る仕事を向こうの言い値で受けるのではなく、自分で自分の仕事を生み出した、と言い換えてもいい。

軽出版は、あくまでも自分が生き延びるための仕組みなので、業界全体にあてはまる方法論ではないし、いま「売れて」いる人にもほとんど関係がない。でも、いま私ははじめて自分が「売る」側に立った気がしている。ライターやフリー編集者のときは価格交渉権がなかったし、エンドユーザーとの接点もなかった。

売れたときの理由も、売れないときの理由もまだピンときていないが、面白いものだなーと感じる余裕が生まれた。それは自分の身体(アタマとカラダ)ではなく、IPをマネジメントしている感覚だからだと思う。

自分の裁量で動かせるパラメーターがたくさんあるのが何より精神衛生上よい。受注仕事だと、単位時間あたりの労働生産性を上げること以外になかった。手抜き仕事もイヤだけど徹夜もイヤだった。そんなこともうしなくてよい。

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