わたしは生きていていい。大切な思い出と認知行動療法~双極症のたま~
双極症のたまです。
今回はわたしを助けてくれた大切な思い出のお話です。
生きていてはいけないという気持ち
双極症を発症後、大学に行けなくなり、わたしはなんとなく「(わたしは)生きていてはいけない、社会のお荷物だ、いないほうがいい」と思っていました。 うつ状態のときにこのような考えになるのは仕方のないことですが、ひどいうつのときだけでなく、いつもでした。
いまは(元気なときは)自分の存在を否定する考えから解放されています。 これにはきっかけがありました。パニック障害のため休学しているあいだ、病院で暮らしているおばのお見舞いに通ったことです。
おばとの思い出
当時、わたしは休学中で、大学に行けない自分には価値がないと思っていました。勉強するという学生の役割を果たせないからです。
一方、おばは重症心身障害者であり、自分ではなにもできません。体を起こすことはできず、いつもベッドに横になっています。首と左手以外は動せないため体は固くなってしまっています。生活はすべて介助してもらわないといけません。話すこともできませんし、わたしが姪だということもわからないでしょう。
お見舞いに通い食事の手伝いなどをしているうちに、おばとわたしはとても仲良くなりました。わたしが顔を見せるといままでにないくらい笑ってくれました(肺などの機能を維持するためにおばにとって笑うことは大事)。会いに行くだけでとても喜んでくれて、わたしも嬉しかったです。そして、わたしはおばに長生きしてほしいと思いました。
考え方が変わった
それがそのまま自分に返ってきたのです。わたしがおばに生きてほしいと思ったのは、おばがわたしより社会的役割(大学生なら勉強する、社会人なら働くなど)を果たせるからではありませんでした。役割や能力と関係なくおばが大切だと思ったのです。では、どうして自分に対しても同じように考えないのでしょうか。自分にだけ存在価値がないと考えるのは筋が通りません。おばが無条件に大切なら、わたしもおばと同じように大切な存在であるはずです。
わたしはほっとした気持ちになりました。そして、わたしも人と比べるとできないことが多いけれど、それはわたしの価値とは関係ないのだ、病気で大学に行けなくても生きていていいのだと感じるようになりました。
認知行動療法の効果
あとで認知行動療法を勉強して、(意図的にやったことではなかったけれど)これが認知行動療法かと思いました。双極症の治療では認知行動療法は補助的な存在ですが、このように大きな変化をもたらすこともあるのですね。
認知行動療法についての書籍の紹介
以下の2冊を紹介します。著者のデビッド・D. バーンズはアメリカの精神科医です。タイトルに「人生を変える」とありますが、自己啓発的なものではなく、認知行動療法の教科書といえます。読みながら認知行動療法の考え方を実践し練習することができますし、たくさんの人物が登場するので読むだけでも楽しいです。
おわりに
とはいえ、いまもうつ状態のときには苦しい気持ちに襲われます。考え方や捉え方を変えることよりすべてのネガティブな気持ちに対処できるわけではありませんが、大切な人を思い出すことが自分を助けてくれるかもしれません。
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