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それ、性格じゃなくて体質のせいかも?

ある日いつものカフェでコーヒーを飲んだ帰り道に、信号を待ちながら、自分の心の状態になんとも言えない違和感を覚えた。

なにか危険が迫っているような、脅かされているような、根拠のない不安感。ついさっきまでカフェでのんびりしていたはずなのに、今はそわそわと落ち着かない。

明日の予定に対して不安があるのかもなと思いながら家に帰った。体も少しだるかった。カフェインを摂りすぎたのかもしれない。

そういえばこの不安感ももしかしてカフェインの影響だったりするのかな、と調べてみると、こんな記事が見つかった。

さらに近年、いくつかの遺伝子がカフェイン感受性レベルに関係していることが明らかになりました。

たとえば、日本人においては、4人に1人が、カフェイン150mgを摂取した後に、不安感が高まる等の害が現れる可能性が高い遺伝子を持っていることが示唆されています(筑波大学技術報告. 2011;31:33-38.)。

日本経済新聞「知っていますか? 自分のカフェインの『安全量』」より

絶対これだ……!と思った。成分ひとつでこんなに気持ちが左右されるなんて、衝撃的だった。

こんなふうに、自分の一時的な感情や生まれ持った性格だと思っていたものが、実は体質に影響されている場合があるのかもしれないと最近思いはじめた。

たとえば、私は自分のことをずっと人見知りだと思って生きてきた。周りの友達からは「うーん、そうかな?」と言われることが多かったが、自分では頑なにそう信じていた。

というのも、初対面の人や大人数の会話につねに不安感があるからだ。飲み会の前日は決まって行きたくないなあと思っていた。行ってしまえば楽しい場合が多いのだけど。自分は人見知りなんだな、この性格を直したいな……と少し悩んでいた。

ところが先日ふと思った。人見知りなのではなく、聞き取りに不安があるだけなのかもしれないと。

▽聞き取りが苦手だと気づいたとき書いた記事

私は聴覚に問題はないのだが、音を識別して意味に変換するのが苦手だ。APDという特性に当てはまるのかもしれない。

APD=聴覚情報処理障害という意味で、これは音としては聞こえているのに言葉として聞き取ることが出来ない状態もしくは言葉の内容を理解するのに時間がかかる状態のことをいいます。

ファストドクター「APD(聴覚情報処理障害)ってどういう病気なの? APDの症状 や診断、治療法についても解説!」より

初対面の会話で気味の悪いテンポになってしまったり、とんちんかんな受け答えをしてしまうことがある。それは人見知りで緊張しているからだと長らく思い込んでいた。

でもたぶん本当は、聞き取り能力のせいだったのだ。初対面だと相手の傾向がつかめないため、推測で情報を補うのがむずかしく、会話が成立しづらくなる。

初対面で上手く話せなかった経験が蓄積され、それがいつのまにか「自分は人見知りである」というセルフイメージにつながってしまったのだと思われる。

飲み会など大人数の会話でも、音が交錯して上手く聞き取れないことが多かっただけなのに、「大人数の場では自分は上手く話せない。自分はきっと人見知りだ」と思うようになったのだろう。

そうして自分で自分に貼った「人見知り」というレッテルのせいで、さらに話しづらくなる悪循環が生まれていたのかもしれない。


私は昔から(というより昔のほうが)身体性を軽視しがちで、自分のことを実体を持たない思念体だとでも思っているような生き方をしていた。学生時代に病気で入院したのをきっかけに、ようやく自分に体があると気づいたようなものだった。

けれどここ数年、自分の体に耳を傾ける(ナンセンスな言い方だけど)ことの大切さを日に日に強く感じている。

自分の心の状態や性格を、安易に自分の本質と捉えないほうがいいのかもしれないと思う。たぶん食べるものや健康状態によって、案外すぐに変わってしまうものなのだろう。


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