吉川宗一

養ってください

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The Red Strings of Fate

ヒモくん:円城寺棋生(えんじょうじきせい) 27歳、現在無職。 日課:お皿洗い、お花に水をやること、お菓子作り、心療内科通い 得意なもの:暗記、暗算 苦手なもの:目を合わせること お姉さん:楠井ゆう(くすいゆう) 27歳、薬剤師。 日課:棋生を可愛がること 得意なもの:仕事 苦手なもの:虫  からからからと音を立ててから、緑の毛氈(もうせん)の河より山が這い出でくる。この山を、壁牌(ピーパイ)または牌山という。 らしい。  二十七歳で無職の僕は、仕事に行っているゆうちゃん

    • Nobody knows why I can't "live".

       要するに重力というものは無いほうがよい。  例えばコーヒーを運搬する時であるとか。 「すみません。即刻洗浄します」  一秒前にコーヒーまみれだった僕は洗浄機の水圧で水浸しになった。 「ありがとう、EOU……できれば、タオルを貰えるかな」 「どうぞ」 「一枚でいいよ」 「怒っていますか? その場合、航行に影響を及ぼす場合があります」 「…………」 「……俺たち友達だろ?」 「それを今きみが言うのは確実に違うよ」  僕とこの直方体クソアホコンピューターEOUを乗せた宇宙船「セイ

      • 【蛇足】Nobody knows why I can't "Live".

        秋田大学文芸部2020年度部誌にて吉川が寄稿した「Nobody knows why I can't "Live". 」の蛇足です。いつもの通り作品外で言うことが特にないので内容は無いです 本編は無料で読めます↓ ・タイトルについて なにも思いつかなくて適当に付けてしまいましたし文法的に正しいのかすら分かりません。 ・余命について 本当なのか政府の嘘なのかは個人の解釈にお任せするので別に読まなくていいですが、 一応余命が16年以内という診断は本当であるという前提で書いていま

        • クリスマスが今年もやってくる

           クリスマスなので、粘土で彼女を作った。 日本の神様は矛で海を捏ねて国を作り、僕は粘土を捏ねて彼女を作った。ユダヤ教におけるゴーレム、ギリシャ神話におけるガラテア、ヒンドゥー教のガネーシャ。古今東西、粘土とか垢とか、全く生命力の欠片もないものから作られた伝承は多い。その一端に僕も加わったと言うだけの話なので、別に物珍しくもないだろう。  口でも作るか、と顔のあたりをグニグニと触っていたらその窪みが口と判定されたようで「やめて」 と彼女は初めて言葉を発した。喋った! どうい

        The Red Strings of Fate

          20230906

          昼過ぎのことである。 薬局のスキンケアコーナーで、妙齢の婦人に声をかけられた。 「わたし85歳なんだけど、いつも娘がこういうの(化粧水)送ってくれるの。でも、あんまりずっと世話させるわけにもいかないじゃない。自分で選びたくて」 実際、85歳と思えぬ、肌にハリがあり、喋り方もはっきりしていて、歯は全部あるんだろうなとか、普段から孤立を避けてこうして喋っているんだろうな、という様子だ。人並みにシミや白内障らしき瞳ではあったが、美しく歳を老いたひと、の典型みたいだった。 自力で美し

          20230723

          7月ももう終わる。 前回の日記を見たら、去年の10月とあった。 その間、何をしていたのだろう。 日記を書いていた頃は、なにも出来なくて、なにも覚えていなくて、幽霊になったような透明な日々で、それもそれで悪くはなかったのだが、死ぬに至らぬ要件があったから、せめて人間でいることをつなぎとめられるように書いていた。 今はそのようなことはないから、書いていなかった。 けれど、同じように、何をしていたのか思い出せない。 それでも、それを怖いと思わなくなったから、これを寛解と呼べるのだろ

          【蛇足】The Red Strings of Fate

          秋田大学文芸部2022年発行「ハイツスーパービッグラブ」204号室担当の吉川宗一です。 読んでくださってありがとうございます。 DL版はこちらから(無料です)👇🏻 発行から4ヶ月たち、書いた当時の記憶が無くなってきたので改めて読み返しています。書いておいてなんですが、特に自分から言うことはありません ・「The red string of fate」運命の赤い糸 偶「運命の赤い糸ってstring(弦)って表現するんだ!? かっこいっ」と知りそのままつけました 糸ってより

          【蛇足】The Red Strings of Fate

          20221021

          早く起きて損をした気持に成る。三文の価値とはこの感情か。 古本を開くと短い髪が挟まっていた。前の持ち主のものだろうか。茶色で、根元がほんの少し白かった。 床に放り投げた。もう見つけられない。

          20221004

          7:24起床。眠すぎるが、体は軽い。睡眠時間は十分なはずだ。たまたま目覚めがレムとノンレムの切り替えのよくないタイミングだったのだろう。朝トーストと卵とウインナー、オレンジ。映画みたいな朝食。 14:35。暑かったり寒かったりする。手が冷えていた。左利きがホワイトボードに大きく字を書くのを忸っと眺めていた。よくも器用に書けるものだ。左利きなら、横線を右から左に書いたほうが書きやすそうだが、どうなのだろうか。少なくとも、学校では左から右と習うのだろうから、それに倣っているのか。

          20220728

          仮睡から覚めれば外は銀灰色の湿気を上げていた。バスの運転手が「雨が激しくなってまいりましたのでちかくの窓を閉めてください」と言う。自分は腕を後ろにして窓を引いた。 雨のことは陰鬱で嫌いだったはずなのだが、いつからか好ましくなった。眺むと落ち着くような、そして同時にそれを表現したくなるような、ともかくも自分にとってよいテーマとなった。ただし己が室内なり濡れない保証がある場合のみである。 手には漱石の草枕がある。必要があって読んでいたのだが、栞代わりに人差し指を挟んでそのまま眠り

          20220722

          自分は本日100円を拾うた。 自席の隣に100円が、誰にも気づかれないようひっそりと存在しており、自分は気が気でなかった。拾うたのは、人の話を聞くにあたって散漫になるから対象を除去したなどという立派な理由ではない。現に人の話を聞いている間にはその100円に触れなかったし見もしなかった。盗みがばれるからだ。そう、この100円を財布に入れるは窃盗であると理解していた。自分は100円を1円100枚分の価値があるものとして見ており、またその価値が欲しかった。100円は小銭であるという

          20220617

          陽気に外を歩いていたら捻挫した。

          20220603

          公共交通機関は目的地まで寝ていても事故を起こさないから良い。自家用車ならそうはいかない。ちゃんと目覚めきってハンドルを握りペダルを踏むべきだ。 雨が降ると聞いていたのに晴れている。 バスの中で爆睡していると、右腕の方に熱気を感じた。 日光の温かさではない。 体温だ。 隣に座っていた人の体がこちらに持たれかかってきていた。隣の人も、寝ているのだ。 右腕が緊張する。このまま、その頭が自分の肩に落ちたらどうしよう。いや、どうしようも出来ないのだが。目を開けるのも悪い気がして、寝たふ

          20220514

          立つという行為は以外にも面白い。 11:08。ここのところ寝れずきのうも1:14位まで起きていたので薬を2錠飲んだ。 そうしたら、目が覚めたときになぜか立っていた。 布団の上である。 立っていると、視線が高い。久しぶりに寝れた満足感と共に、この状況がおかしく、天井近くまで昇って立っている自分を見ているような感覚になった。 布団の上に立っている。本来横になるべきところに立っている。布団に自分が刺さっていると感じた。重力方向が正常なのではなく、水平方向が正常なんだと思ったところで

          20220413

          いま2022年なんだ。こころはちょうど2020年だ 給湯器こわれて21時水風呂。爪が紫 以上

          20220329

          たい焼きの脳を吸いたくなってたい焼きを買った。が、たい焼きの中身は吸えるように出来ていないと分かった