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短歌(和歌)と散文

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2023年12月の記事一覧

月

クリスマスの夜。今年中にどうしてもやり遂げたかった大切な仕事を終え、久しぶりの外食を楽しんだ帰り道、乗換えの途中でふと見上げた渋谷の空に、師走の十三夜月が浮かんでいた。

いつもは努めて避ける繁華街にそびえ立つ高層ビルの狭間でこうこうと光るその月は、おれには何か象徴的なものに見えた。

都心の空にも月はあるんだ——。

そんな思いを胸に一人家路を急いだ。

【自選短歌】令和五年の創

【自選短歌】令和五年の創

三首連作『音楽』を含む今年の自選短歌五首と、それに準ずる自選五首。

これがおれの令和五年です。

どうしても弾きたい曲があったんだそれからでいい死を思うのは 

この曲をきちんと弾けたそのときが本当の人生のはじまり

弾いている今は生きてるたとえ明日自死を余儀なくされるとしても

迷いない心のつばさで翔んでゆく私の空はどこまでも澄む

見たことのない大空へ駆けてゆく恋をしているような速さで

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