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風景のレシピ #44 “小さな町の中心”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #44 “小さな町の中心”

調理時間:8時間30分

材料:
青空:ひとつ
ラウンドアバウト:ひとつ
車道、歩道:適宜
街路樹:適宜
草:たくさん
町並み:ひと連なり
鉄の柵:適宜
自動車:たくさん
標識:数本
街灯:数本


1.休日の朝のような青空をひろげる。
  地面には円形の緑地をつくり、コンクリートもしくは石で縁取る。


2.円形の緑地を車道で囲い、ラウンドアバウトとする。
  それをさらに歩道で取り囲む。
  歩道に沿って多くの街路樹を植える。
  ラウンドアバウトの中心には石碑や彫像を置かないこと。


3.周辺に町並みを並べる。標識や街灯を立てる。
  町の隙間からラウンドアバウトに導かれる車道を通す。


4.カラフルな車をぐるぐると走らせる。右回りで、町のエネルギーのねじを巻くように。


調理のコツ
*その場所を上空から眺めた図を想像しながら


少し錆びた右回り通行を示す標識
美術館の屋根
時代に取り残された昔の標識
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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