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風景のレシピ #38 “考えごと”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #38 “考えごと”

調理時間:2時間30分

材料:
暗闇:全体的に
キャンドル:一本
陶製のキャンドルホルダー:ひとつ
窓と窓枠、それに沿ったテーブル:一式
夜の森:一帯
青い花:数輪
水の入った花瓶:ひとつ
マッチ:一本


1.青みを帯びた暗闇を、全体によく伸ばす。


2.ひとつの窓をつくる。窓枠にDIY風のテーブルを取り付ける。
       この家にずっと暮らしていたということを思い出す。


3.窓の向こうの森からは、時おり生き物の気配がする。
  キャンドルに火を灯し、花瓶に水を注ぎ、花を差す。


4.炎と花びらを交互に眺めているうちに、考えごとが育っていく。


調理のコツ
*光を限りなく少なくして、考えの成長を促す。

吸い込まれそうな、しじまの森
キャンドルの温もりがテーブルに落ちる
仄かに光っている花
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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