見出し画像

風景のレシピ #41 “雪の鉄道駅”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #41 “雪の鉄道駅”

調理時間:9時間

材料:
雪:全体的に
雪雲:数片
駅:ひとつ
信号機:一基
線路:複数本
鉄道車両:数両
町並み:適宜
木々:適宜
人々:数人


1.灰色をよく伸ばした全体に、北極圏からはみ出した冷気を流し込む。
  空には雪雲をいくつか並べる。


2.鉄道の線路を敷き、駅を配置する。駅の周辺には町工場が立ち並ぶ。
  あたりに大量の雪を降らせ、一晩寝かせる。
  厚みのある積雪を保ち、駅のひさしにつららを吊るす。


3.落葉した樹に雪を振りかける。
  到着した車両にも雪を盛り上げる。遠くの引き込み線にも列車を停める。


4.木々や人々を配置する。人がつけた足跡も忘れずに。信号機や建物に灯りを灯す。


調理のコツ
*凍った風景ではあるが、物体の内部は暖かく眠っているように。

時おり吹雪く駅前の町
つららに気をつけて
弱々しく点灯する信号機
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら