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5/16開催レポート後編「防災と自治 相互扶助の起点づくりから考える」

前回に続きまして、今回は独身女子防災プロジェクトの北村さんの話題提供をレポートしていきます!

前編のレポートはこちらから

独身女子防災プロジェクト

独身女子防災プロジェクトの北村育美さんは、仕事の傍ら災害支援団体のメンバーとして活動しています。2023年9月から、個人的に「単身・独身・働き女子のための防災カフェ」と題した場づくりをしています。

北村さんがお話をしている様子

北村育美さんの防災とのつながり
新潟県中越地震で実家が被災し、災害ボランティアの活動に参加しました。それをきっかけに新潟中越地震の復興をお手伝いする団体に入り、震災を契機としたまちづくりや防災の活動をしてきました。
東日本大震災の後、福島県に復興支援に入り、その後、福島県に移住。そして、今から一年半前に結婚を機に仙台に移住しました。今まで復興の現場で、生活困窮者が避難所や仮設住宅に残り続ける状況を見ていたことから、もともと持っていた社会福祉士の資格を生かして生活保護受給者や生活困窮者の生活をサポートする仕事をしています。


地域とつながりがない=災害弱者?!

これまで復興支援をしてきましたが、2019年10月の台風19号で阿武隈川の支流の荒川が氾濫危険水域に達して大慌てをしたり、2021年2月と2022年3月の福島県沖地震では震度6弱の地震で大きな揺れを経験し、思考が停止しました。

今まで災害・防災を専門にしてきたのに、実際に自分が被災すると不安が大きかったです。当時は独身でしたが、何でも一人でできると思ってやってきたものの、自分が災害に直面すると非常に心細くて不安で涙してしまうほどでした。その時、近くに住む友人に、「不安だったらうちに来てもいいよ」と言われて、ほっとしました。また、近くに頼れる友人が少ないことを実感しましたが、備えと知識があったことで救われた部分もありました。

そこで感じたのは、つながりがない人=災害弱者では?!ということ。
災害時は、平時の脆弱な部分が、浮き彫りになると言いますが、働き世代の女子は、普段から属するコミュニティや地域とのつながりがありません。

子どもがいると子どもを通してママ友などのコミュニティができやすいですが、働き女子は職場以外に属するコミュニティができにくく、地域とつながりがないケースが多いと思います。つまり、平時に多様なコミュニティとつながりにくく、災害の際は孤立し、しかも支援の対象だと思われない人たちがいるということです。

仙台に転入するにあたり、仙台に知り合いがいなかったので、自分のためにも独身女子防災プロジェクトを始めました。

能登半島地震の支援にも行きましたが、この写真のように段ボールハウスでプライバシーは守られるものの、果たして独身女性がここで一人で避難生活を送れるかと考えた時、友人など誰か知っている人がいないと難しいのではないかと思います。

避難所の写真(北村さん撮影)

防災カフェを通じてのつながり

今年から、独身の働き女子が集える防災カフェを2か月に一度のペースで実施しています。

実際に、防災カフェに寄せられた声は、

  • 災害は不安だが、どう備えたらいいのか分からない

  • ハザードマップを見たことがない

  • 婚活や結婚などのプレッシャーがある など

話題は防災だけに関わらず、仕事や結婚など、働き女子が抱える悩みも寄せられ、普段から悩みを共有する場があることが大切だと思いました。
楽しく豊かに生きていくために「たくさんのつながりを持つこと」
それが災害時にも役立つのではと考えています。

たくさんのつながりを持つことでSOSを出して誰かを頼ることができます。
それが災害時にも役立ち、自分の命を守ることにつながります。そして、自分の命を守ることで他の誰かも救えるかもしれません。
たくさんのつながりの中のひとつとして、防災カフェを通じてできるつながりも機能すればいいなと思い活動を続けています。


会場からの質疑応答・感想

Q.北村さんは、地域とのつながりがないことに気づきましたが、どのように地域とつながりましたか?

A.仙台に来て、地域とつながろうと思い、町内会の防災訓練に参加するために、申し込みをしようとしましたが、申込先の町内会の班長が誰なのか分からない・・ということがありました。

Q.地域とつながろうと思ったら、待っているだけではなく、自分から情報収集をしないとつながれないと思います。町内会を巻き込んで、防災カフェのお知らせをしてもらうこともできるのはないでしょうか?

A.独身女性の多くが集合住宅に住んでいて、町内会費も自動的に払うだけで町内会の活動には参加していないというケースはよくあると思います。防災カフェでも、どうやって町内会とつながっていけばいいか話そうと思います。


この春、山形から仙台に引っ越して、新入社員として働き始めました。
初めての一人暮らしで、北村さんのお話を聞いて共感できることが多く、泣きそうになりました。
町内会に入るなど、地域との関わりを持たなければと思いつつも、防災の前に防犯という観点から、できるだけ職場の人にも自分の生活情報を伝えないようにしています。まずは自身の生活の基盤を整えてから、防災のことも考えていこうと思います。次回の防災カフェにも参加してみたいです。

Q.北村さんの主催した防災カフェはどれくらい人数が集まったのか知りたいです。

A.一回目2人、二回目1人です。
どうやって広めたらいいのかと考えているところです。大学生の方も歓迎しているのでぜひ防災カフェに来てもらいたいです。

Q.東日本大震災の後、ひとりで居たくないと思って友人と一緒にいました。悩みを共有するわけではないけれど、第三の居場所という感じでした。顔の見える関係性が大切で、つながりのない人=災害弱者と聞いて本当にその通りだなと思いました。
北村さんに質問です。防災カフェの情報発信はどうしていますか?

A.サポセン(仙台市市民活動サポートセンター)にチラシを置いてもらっています。SNSは、ほとんど使っていないので情報発信の仕方を知りたいです。

(参加者から)
*独身女性が集まりそうなカフェやスポーツジムにチラシを置いたり、SNSでリールを流すなどすると良いと思います。
*仙台リビング新聞社が発行しているリビング仙台というフリーペーパーがあります。
*河北新報には無料で載せられるコーナーがあります。
*仙台市役所に記者クラブがあり、プレスリリースを投げ入れられるところがあります。

今年の3月まで、2年間、町内会の副会長をしていました。今後、町内会の福祉部門を担うことになり、今回、防災と自治について違った視点で学べると思い、参加しました。この2年間で学んだことは顔の見える関係づくりの大切さです。
能登半島地震でも、地域のつながりができているところでは行政の支援に関係なく生活再建に向けて皆で行動していたと聞いて、顔が見える関係でいるというのが基礎にあるのだなと思いました。自身も、道で知らない人にも挨拶するようにしています。


6月のセッションはお休みです。

6月30日はいつも会場に使っている仙台市市民活動サポートセンター(サポセン)で、社会の課題を解決したり、地域を元気にしたりするために立ち上がった、多種多様なアクションに触れられるイベント「マチノワPOP!UP! キュンです その出会い」があります。
そこで、せんだい・みやぎソーシャルハブについての報告会も行います!
ぜひお近くの方、ご興味のある方、ご参加ください。

詳細はサポセンのHPをご確認ください。


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