カンボジア人アニメーターChamRongについて。【SocialCompassメンバー紹介】
JessyAn、リコさん、Dnanと、SocialCompassメンバーを紹介する第4弾。
女性がメンバーが多いSocialCompassメンバーにおいて、私以外の唯一の男性メンバーChamRong(チャムロン)を紹介したい。
アジアの優れたクリエーターを発掘することを目的として、株式会社TBSホールディングスが主催する映像フェスティバルDigiCon6アジア。
私は、そのカンボジア大会の運営・審査員を長年させて貰っている。
2019年のDigiCon6アジアにノミネートされた『CKC』という作品は、惜しくも大賞は逃したとはいえ、印象的な作品だった。ストーリーは交通安全を啓発する凡庸なものだったが、アニメーションの表現は目に見張るものがあったからだ。
特に、暴走した車が、満月の前を飛んでいくシーン。
印象的で心に残る。短いながら、映画を見ているような鮮烈さを感じさせた。
そのアニメーションを担当していたのがChamRongだった。
ChamRongはシェムリアップ州出身の元僧侶。
決して恵まれた環境に育ったわけではない。
そんな彼は、バッタンバンにあるアートスクールPhare Ponleu Selpakに入学する際に、還俗する。Phare Ponleu Selpakでは、アニメーションを専攻。
しかし、彼の才能はアニメーションだけではない。
音楽的な才能も持ち合わせているのだ。彼が歌うYouTubeチャンネルの登録者数は3万人になるまで育てた。そして、そのYouTubeチャンネルのアカウントを企業にバイアウトまで経験している。
やり手だ。
だから、道端でChamRongを知っている人から、声をかけられることもある。意外に有名人のようだ。
そんなChamRong。Phare Ponleu Selpakのカリキュラムの一環でSocialCompassに3カ月間だけインターンに来ることになった。
しかし、SocialCompassはアニメーションは作るが、アニメーション会社ではない。
寡黙なChamRongは、一見すると寡黙で大人しい職人肌。
SocialCompassのような『社会貢献』をコンセプトをしたクリエイティブ活動を、理解して貰えるのだろうか?
実際、インターンの最中は、VRの背景を描いたり、プラネタリウムの組み立て(力仕事)。
それに、日本からのスタディツアーの大学生とともに、ファシリテーションを行ったり、アニメーション制作とは程遠い毎日だった。
とはいえ、真面目な彼はセンス良く、仕事を上手にこなしてくれた。
インターンが終わる時、ChamRongをスカウトをすることにした。卒業したらSocialCompassに来て欲しいと、お願いする。
しかし、彼は「母校Phare Ponleu Selpakがあるバッタンバンが好き」と、答えるだけだった。
あまり都会のプノンペンに馴染めなかったのかもしれない。
ChamRongはバッタンバンへ戻って行った。
彼の卒業制作は、3D作品。JessyAnが教えた、無料で体験できる3DソフトウエアBlenderを使って、独学で制作したのだ。2020年のDigiCon6アジアも惜しくも大賞は逃したが、テクニカル賞を受賞する。
そんな真面目で勤勉な、2Dアニメーションも、3Dアニメーションも作ることもできるChamRongがSocialCompassへ入ったら、大きな戦力になることだろう。
スカウトから1年経った頃、連絡が来る。
『色々悩んだ末に、プノンペン、そしてSocialCompassに来たい。』
1年越しの返答だ。
今までは、よくも悪くもアニメーション関連の仕事はすべて私が担当していた。しかし、ChamRongが加入してクリエイティブの可能性が大きく広がった。(私より上手いので、私の出番は減ったw)
ワッティーの3Dプロジェクトはもちろんのこと、VR空間COMONYの製作や撮影など、相変わらず無茶ぶりに答えてくれている。とはいえ、まだまだ、彼の才能を全て、発揮させれていないような気がする。それは、私の仕事だろう。
とはいえ、彼は日本語はもちろん、英語もあまり得意ではない。
言語が苦手な私と同じだ。
男同士、直接語り会うことは少ないけれど、クリエイティブを通してコミュニケーションをとっていけたらと思う。
そんな、ChamRongも世界のこの状況を鑑みて、在宅ワークをしてくれている。大好きなバッタンバンから、遠隔で。
お読み頂き、ありがとうございます。
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