「先生、馴染んでん?」
先日、生徒の下校時に、職員のひとりから、「教頭先生、小学生が教頭先生のことを訪ねてきています。」と連絡を受けました。
ここは中学校。
わたしの息子は小学生だけど、ここまで来るには、車でないと来れない。
妻に何かあって、タクシーでやってきたのか…
いろいろなことを考えながら、慌てて職員室を出ました。
目に入ったのは、昨年度まで勤務していた小学校の子どもが二人いました。
わたしを見つけるなり、かわいい顔で笑いながら、「先生!なじんでるん?」と、真剣な顔で聞いてくれました。
わたしが勤務していたころから、まだまだ身体は小さいのに、いつも一丁前のことをしゃべるし、教頭とか、学校の先生とか関係なく、友だちのように、かなりえらそうに(笑)話しかけてきてくれる子たちでした。
しゃべっている内容と、身体の小ささのギャップが、面白くて、思わず吹き出してしまいました。
その後、ランドセルを広げて、何を出すのかと思ってみていると、ペットボトルのコーヒーを取り出して、「俺らな、50円ずつ出して買ったんやぞ」と言いながら、わたしに差し出してきました。
その後、しばらく学校の様子などを話しました。
相変わらず、教室に入っていないし、ケンカもしているようでした。
「日曜日から修学旅行行くねん!」と、うれしそうに、くしゃくしゃになった旅のしおりを見せてくれました。
「おまえ」、「コイツ」、「だまれ」、「じじい」…とにかく憎たらしいことをよく言っていましたが、心の温かい子たちでした。
この日も、学校帰りに、自転車に乗って、わざわざ、敷居の高い中学校にまで来てくれました。
「おまえ、戻ってこいよ」とも言ってました。
この子たちの小学校は、わたし(教頭)も校長先生も変わりました。
後で聞いた話ですが、前校長先生のところにも行ったそうです。
離任式で別れの挨拶も交わせなかった中でも、あの子たちなりに、何か気持ちを伝えようとしてくれたのかなと思いました。
心がほっこりしました。
そして、いただいたペットボトルのコーヒーを見ながら、あの子たちから教えてもらった大切なことを見失わないようにしようと思いました。
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