20240615「透明設定」

風景を切り取って
そこに居たことを取り出して
勝手に解釈してみたり
在ったこと
無かったこと
どちらでもいいが
今の自分が
それを意味づけしている
本当に下らないが
それがあれば
わたしを肯定できるとも
言うのだろうけれども
そんなこともない
そんなこともあったと
気にしないでおこう
ネガは既に溶けている

潜り抜ける場面の装着
皮膚を通り
肌感覚を遅らせ
遅延の先へと放っている
転がしたそれらを掻い摘み
適当に値踏みして
それとこれ
それにあれもと
指差しながら
タクトは別の音階を奏でるだろう
魔法さえ唱えられるのなら
その現実を進ませよう
朝のうちに取り掛かって
新鮮な空気を吸っておこう
昼間はゆっくり過ごして
昼寝でもいい

陽が落ちる頃に
また取り掛かる
別の注文はまだ完成してないが
着々と進ませ
新たな着想をも
同時に膨らませている
手札も増えたが
どれを切るのか
頃合いを探しつつ
更に放る
空間の配置を整えて
平面上の出来事をまざまざと見る
夜の中に紛れても
光るものがあると言う
ふと呼吸を忘れては
またわたしを進ませる