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『明日から無職になるけど、今日の空は青かった。』 新卒では夢を叶えられなかったわたしへ

今日、新卒で入社してから
2年間勤めた会社を退職した。

たくさん優しい人がいた。
福利厚生もしっかりしていた。
地元では大きな企業だった。
でも、一人の上司のセクハラと、
一人の同僚からのストーカー行為による
ストレスで毎日吐きつづけた結果、
わたしは適応障害になった。

わたしは今日、会社を辞めた。
勿論、適応障害になったことが原因である。

だけど、わたしは適応障害になる前から、
会社を離れたかったのだ、と今なら思う。

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「新卒」という黄金切符では、
わたしの夢は叶わなかった。
正確には、
『叶えるだけの努力が出来なかった』。

よーいドンのスタートを切る前に配られる
黄金切符が、どうにもしっくりこなかったのだ。

というのも、わたしは大学四年生のとき、
就活なんて絶対したくなかったのだ。




「え、今?スタートすんの?まじ?」
「え、何?みんなもう夢があんの?まじ?」


周りを見渡せば皆もう準備体操をしている
というのに、わたしはとてつもない
『今じゃない感』を抱えていた。
「今じゃない」という感覚が、
何を指すのかは正直なところ分からなかった。
とにかく、就活したくなかったのだ。

それは楽しかった大学生活に
終わりを告げるのが
寂しかったせいかもしれないし、
高校生の時より世界が広がったために感じた
『よーいドンへの違和感』からくるもの
だったのかもしれない。
(正確には、よーいドンの前からきちんと
就活に向き合い、努力した人も大勢いる)

「就活をしたくない」という思いに対し、
その思いに向き合い、その時まで支度をする
覚悟も出来ず、ただ黄金切符を握ることしか
出来なかったのだ。

そして、わたしは会社への志望動機を
さも自分の本音のように思い込むことにした。

「新卒」という言葉に守られていなければ、
社会に求められる人間になれない気がしていた。
その結果、深く考えることも放棄し、
半ば現実逃避のように、地元に戻り
就職することを決めたのである。

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そんなこんなで、自分のことを
きちんと理解しないままに
就職先を決めてしまったわたしではあるが、
これまでの社会人生活が無駄になったとは
全く思っていない。

基本的なビジネスマナーや時間の使い方など
教えてもらったことはたくさんあるし
学生生活だけでは身に付かない考え方も
今では出来るようになったと思う。
(あと、やはり世界には
様々な人がいることも身をもって体感した…)

だけど、思うのである。

「やっぱ、あのときじゃなかったわ」と。

わたしが感じていた「今じゃない感」の正体が
会社を辞めた今なら分かる。


わたしの夢が叶うのは『今じゃない』

ということだったのだ。

わたしは、よーいドンで配られる黄金切符を、
「自分の夢行き」にしなくてはならないと
勝手に勘違いしたまま就活をしていたのだ。
言い方を変えると、
「黄金切符なしでは何もかも不利だ」と
勝手に勘違いしていたのである。

確かに、新卒での就活は有利な点も多い。
だけど、おいおい待ってくれよ。



「ていうかわたしの夢ってなんなんだ?」

わたしは自分の夢が分からなかったのだ。

分かっているふりをしていたのだ。
会社の志望動機を、夢だと
自分にずっと言い聞かせていたのだ。
黄金切符の有効期限が切れるのが、
怖かったから。

要するに、自分と、自分に与えられた環境を
きちんと分析し、それらの紐付けを
行うことを怠っていたのだと思う。
ただ、目の前にある黄金切符だけに頼り、
考えることを放棄していたのだ。

だからこそ、黄金切符で来たこの場所が
夢の舞台ではないことに、とてつもない
焦りと不安を感じていたのだ。
だから、会社を辞めたいと
心のどこかで思っていた。

当時のわたしや、
わたしと同じような境遇のひとがいたら
声を大にして言いたいことがある。
それは、

「自分の気持ちときちんと向き合え」
ということ。

だけど、それ以上に伝えたいことがある。

「あの時分からなくたって良かったんだよ」

ということ。

確かに、わたしは就活を怠った。
だけど、「今じゃない」って苦しんだことも
紛れもなく本当じゃないか。
「ここじゃない」って思いながらも、
会社の中で精一杯頑張っていたのだって、
本当に本当のことじゃないか。

それは否定したくないんだ。
わたしは頑張っていたのだ。

夢が叶うのは『今』じゃないと言った。
きっと、そうだったのだ。
それだけの、ふんわりとした話だったのだ。

就活当時のわたしに
「あなたの夢ってなに?」と聞いたら、
なんとか、すらすら喋ろうと試みると思う。

今のわたしに同じ質問をしたら、
「この先きっと見付かる気がしてるの」
と答える。

きっと、そのくらいでいいのだ。
あのとき、夢が、自分の気持ちが
分からなかったことにだって、
きちんと意味があるはずだから。

現にこうして、わたしは
あのときの自分と今の自分を見比べて、
自由に文章を書いている。
この気持ちは、あのときのわたしがいなければ
分かりっこなかったのだ。

新卒で、夢が叶わなくてもいいのだ。

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新卒で、どうしても夢が分からなかった
わたしは、明日から無職になる。
だけど、今日の空は青かった。

きっと、それくらいの話。
それくらいの出来事。
この先いくらでも、わたしには選択肢がある。

新卒で夢が叶わなくても
世界は可能性に満ちているし、
わたしはこれからもきっと大丈夫。

ゆっくり休んだら、
わたしはまたわたしと向き合って生きていく。
軽やかに、堂々と。

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