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#15 パンデミックの終焉


おはようございます。カラスがこの世で3番目に嫌いなすなっちゃんです。

さて、今回お話しするテーマは「パンデミックの終焉」です。2020年2月から約2年半以上続いているコロナウイルスについて、先日のバイデン大統領の発言などもふまえながら私の意見も述べていきたいと思います。

それではいきましょう。


先日、約60分間にわたるバイデン大統領の会見が開かれ、こう発言されました。

「パンデミックは終わりだ。まだコロナは問題視しなければいけないし、今私たちは最大限の努力をしている。ただ、パンデミックは終わりなんだ。」

アンソニー・ファウチ(アメリカの免疫学者)がこのバイデン大統領の発言について聞かれた時、否定はしませんでしたがこのように述べています。

「この現状は私たちが求めていたものではない。だが、これからコロナウイルスと共に過ごしていかないといけない。コロナを根絶しようとはしない。天然痘ウイルスの時は根絶に成功したが、その時とは状況が全く違うんだ。なぜなら天然痘は一年経とうが10年経とうが形を変えたりしなかった。しかしコロナウイルスはいくつもの種類に変化してきただろ?」
 
「私たちには免疫力を作るワクチンがある。しかもその免疫は体に何十年間も残り続けるんだ。」

このバイデン大統領の発言に対して、当然反発は多くみられました。

アメリカは今1日に400人以上がコロナウイルスによって死亡しています。これは年で換算すると約15万人が毎年死亡することになります。

死亡日別による死亡者数の推移(アメリカ合衆国)

400人はまだ多いですが、以前のように人数が大きく増減はしていません。しかもこれはオミクロン株による感染爆発があったにも関わらず、です。これはおそらく理由が二つあり、それはオミクロン株がそもそもそれほど効果が強くなったことと、自宅でのPCR検査が可能になったことだと思います。

つまり、たくさんの人がこの夏コロナウイルスに感染しましたが、ほとんどが亡くなってはいないのです。

カリフォルニア大学の感染症専門医であるモニカ・ガンジーは、この死亡者数の激減から、コロナウイルスはインフルエンザより脅威ではなくなったと発言しています。

死亡者数の減少にはいくつか理由がありますが、一つはワクチン接種の拡大です。
下のグラフを見れば、ワクチンを3回接種した人は、一度も接種していない人に比べて大幅に死亡率が低いことがわかります。

赤:未接種 青:1回目 緑:2回目 紫:3回目

さらにもう一つの理由として、ほとんどのアメリカ人が一度コロナウイルスに感染しているという事実があります。そして一度感染した人はウイルスに対して免疫がつきます。

つまりワクチンと感染の繰り返しにより、アメリカ人は免疫を強めていき、死亡率も低下していくのです。

それではバイデン大統領の言ったように、パンデミックは終わりを迎えたのでしょうか?

まだ公式の定量的なグラフはなく、いつこのパンデミックが終わるのかは判断は難しいですが、世界中ではパンデミックは終わりだという考え方が広がっているようです。
CDC(米国疾病予防管理センター)は先月、ソーシャルディスタンスを推奨しないと発表しました。

なのでこのタイミングでのバイデン大統領のパンデミック終了という発言は、転換点としてとても良かったのではないでしょうか?

バイデン大統領とファウチ氏の発言によると、コロナが完全に無くなったというわけではなく、これから私たちの生活を苦しめる場面もあるが、重大な場面は越えたと思われます。

それでは、一度バイデン大統領とファウチ氏の発言を信用しパンデミックが終わったという前提で、コロナ下で起きた様々な出来事を振り返ってみたいと思います。
たくさんの誤った政策、世論、そしてこれからコロナと共に生活していくとはどういうことなのかについて少し説明していきます。

パンデミックに打ち勝てたのはだれのおかげなのか?


2020年12月から2021年12月までで、コロナワクチンにより助かった人口は約1980万人にまでのぼります。さらにこれはオミクロン株が猛威を振るう前の統計ですので、さらに人数は増えると思われます。1980万人という数字はWHOが発表したコロナ感染による死亡者数の1490万人(2021年12月時点)を上回っています。

つまり、コロナワクチンは本来の死亡者数を半分以上減少させたということです。

これは現代のテクノロジーの偉業でしょう。たった9か月でワクチンを開発させ、今まで一度も使用されてこなかったmRNAワクチンを使用し結果的にこれほどの人口を救ったのです。

さらに開発速度だけでなく、大規模なサプライチェーンの整備を成功させたのも要因の一つです。アメリカ国民3億人に行きわたらせるためには製造、配布にかかるボトルネックを突破したのも、アメリカの最大の功績ともいえるでしょう。

mRNAワクチンを開発した科学者の方々、10年以上開発に資金投資をしている政府機関、モデルナ社やバイオエヌテック社の創業者やそこで働く方々、これらの会社に出資した投資会社など、ワクチン開発に関わった方々全員の功績です。

トランプ政権も、オペレーションワープスピード作戦を実行した功労を称えるべきでしょう。バイデン政権も迅速なワクチンの製造ラインの確保、配布、啓蒙活動など非常に多くの成果を残しました。

そしてロックダウンやソーシャルディスタンスの政策も功を奏し、2020年の後半には90%以上のアメリカ国民がマスク文化がないにも関わらずマスクを着用しました。もちろんマスクだけではコロナ感染爆発は止められませんでしたが、何十万人かの命は救ったはずです。

ですのでパンデミックに打ち勝てたのは誰のおかげなのか?という問いに対しての答えは、ほとんど全員です。

もちろん全アメリカ国民が協力的だったのではなく、マスクを着用することに反対する人や、アンチワクチン派が存在しました。しかしこういった方々を除いてもアメリカは団結し、ものすごい速度でウイルスに勝てる方法を探し出しました。

ただ、結果的には打ち勝つことに成功しましたが、もちろんそれまでにはたくさんの誤った情報や憶測、偏見、差別などもありました。

例えばコロナが流行り始めた頃、ツイッターや報道番組に出る専門家の方々の中ではこのような意見がありました。(当時専門家の意見や世論を日々メモしていたのでその中から少し抜粋します。)

「コロナは死亡率が低い、風邪となんら変わらない」

「インフルエンザと同じだ」

「空気感染はしない。外でマスクする必要性はない。」

「外で歩きすれ違うだけで感染するウイルスだ。マスク着用を義務付けるべきだ。」

「ヒドロキシクロロキンがコロナウイルスに対して非常に効果的だろう。」

「イベルメクチンが現時点で一番効果的だ。」

などなど、このように偏見もあればまったく対照的な意見を述べる専門家も複数人いました。

そして実際私もこの中の一人でもあります。コロナウイルスの脅威を甘く見ており、これほど長く続き世界を苦しめることになるとは思っていませんでした。

私がつけている日記で当時の頃までさかのぼると、アジア人に対して差別的な発言が当時よくツイッターで流れており、それに対して憤りを感じると書いてあったので、もしかするとそれもあり私はコロナはそれほど脅威にはならないと信じていたのかもしれません。というより信じたかったんだと思います。

私はコロナが流行りはじめた当時、メディアや国民がカオス状態になってるのを見てとても不安になり、それから過去に起きたパンデミックに関する本を読み漁りました。中でも非常に良かったのはJohn BarryのThe Great Influenza と、Daniel Defoeの A Journal Of the Plague Yearという本です。 The Great Influenzaは日本語版もあったのでよかったら読んでみてください。
そしてたくさんの本を読んで気づいたのは、今までのパンデミックでもプラットフォームは違えど、根拠のない意見や情報操作のようなカオス状態は毎回起きていたということです。死者数の偽造、ウイルスへの疑念から起きる暴動や論争、差別、精神病、意見が対照的な専門家などなど多くが今回のパンデミックで起きたことに当てはまりました。

このように、コロナウイルスで起きた様々な失敗はなにも初めて起きたことではなかったのです。


パンデミックの終わりとは

さて、話は変わりパンデミックの終わりについて話していきたいと思います。

パンデミックの終わりは、コロナウイルスの終わりを意味していません。もしこのままいけば毎年15万人の死者を出すことになり、これは一年間のインフルエンザによる死者数の約3倍です。そうなれば、今後世界にとって非常に厄介な存在として扱われ続けるでしょう。

ここで過去にアメリカで発生した感染ウイルス別の死者数の推移を見てみます。

上から麻疹ウイルス、猩紅熱、腸チフス、百日咳、ジフテリア、インフルエンザと肺炎、結核

私は疫学者ではないので詳しいことはわかりかねますが、このグラフを見る限りパンデミック後も数年間の間死亡率はあまり下がっていないことがわかります。例えば1918ー1919年に起きたスペインかぜによりインフルエンザ(オレンジ線)の死亡率は急騰しています。そしてパンデミックが収まり1921年ごろに死亡率が下がりましたが、1930年ごろまでほぼ一定で動いています。

つまり、推測はできませんが、これから数年間今のように毎日数百人のアメリカ人がコロナによって死亡していたとしてもおかしくはありません。

ただ上で言ったように、今回コロナに打ち勝てた要因の一つはテクノロジーです。先日インドで承認された新しいワクチンである経鼻ワクチンも死亡率を下げることに貢献するでしょう。さらに昨日のニュースで、京都大学がコロナウイルスがどのようにして感染しているかを解明したことがわかりました。

このように今では毎月のようにコロナウイルスに関するワクチンや研究結果が発表されています。ここが今までのパンデミックとは全く違うところだと私は思います。

コロナウイルスを完全に根絶することは不可能かもしれませんが、これから毎年15万人以上の死者が出るとは私は思いません。



まとめ

今回はパンデミックの終焉についてお話していきました。

これからまた新たなウイルスが発生し、またパンデミックになる可能性は0ではありません。ですが、人類はコロナウイルスに知恵と技術と結束力で打ち勝ちました。ここで培った経験は、いつか起こる新型ウイルスに対して非常に有効になり得ると私は思います。

ありがとうございました。


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