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【誤解される原因】なぜあなたは、あの人に誤解されてしまうのか#3【ハイディグラントハルバーソン/だれもわかってくれない】

ども、清水陽介(@smzyuskmental)です。


今回も前回に引き続き、ハイディ・グラント・ハルバーソンさんの「だれもわかってくれない」について解説して参ります。


前回までこちら。

#1「誤解を生む2つの思い込み」

#2「認知的ケチ」


で、さらっとおさらいすると

・人は無意識のうちに、他人のことを「思い込み」で決めつけがち。

・特に、「相手は自分のことをわかってくれているだろう」という思い込み(透明性の錯覚)、「相手も自分と同じように考えてくれているだろう」という思い込み(解釈の経由)がある。

・なぜ思い込むのか。それは、「認知的ケチ」だから。人はできるだけ「思考の近道」をするように出来ている。

・特に、第一印象をミスると、初頭効果と確証バイアスによって、誤解が加速する。

みたいな感じでした。要は『人は誤解するもん』的な話です。


では、今回は「どういう思考の近道があるの?」ってところをもうちょい深掘りしていきましょう。


思考の近道①ステレオタイプ

”ステレオタイプ”とは何かっていうと、「ある属性や集団に対して人々がもつイメージ」です。簡単にいうと、「このタイプの人はこう!」みたいな、いわゆる先入観のことです。レッテルとか偏見という言葉もこれに近いですね。要するに、人は「こういう人はこう!」というステレオタイプで他人を見がちなんです

たとえば、ありがちなステレオタイプはこんな感じ。

・アジア人は数学が得意
・消防士は勇敢
・警察は真面目
・貧乏人は怠け者
・女性は優しい
・顔が厳つい人は性格もキツイ
・女性は弱い
・日本人は真面目
・フォロワーが多い人は返信くれなそう
・オタクは根暗

挙げればキリがないですが、良くも悪くも、こんな感じで人は「こういう人はだいたいこう!」と、他人を勝手に決めつけてしまいます。こういうのをステレオタイプと言います。

で、この”ステレオタイプ”のせいで、いろんな誤解が起きると。

たとえば、「消防士」と聞くと「勇敢で男らしい」みたいなイメージがありますが、もしかしたらビビリな消防士だっているかもしれません

同じように、「顔はいかつくて怖いけど、実は正確は超優しい」みたいな人だっています。他にも、女性は、女性だからっていつでも優しいわけではないし、むしろ男より強かったりするわけです。また、『オタク=暗い』的なイメージがありますが、明るくて優しいオタクだってたくさんいます。

とにかく、人は無意識のうちに他人のことを「この人はこういうタイプだからこう!」と勝手に決めつけてしまい、それが誤解の原因になっているんです。


つまり、ここで言いたいのは、「ステレオタイプで他人を勝手に判断しないように気をつけようね」という話です。もちろん、これは無意識レベルで起きちゃうものなので、完全に取っ払うことは難しいのですが、「これって偏見で決めつけてないか?」と自分に問うことは必要であります。

また、逆に考えれば、自分も他人にステレオタイプ的に判断されているということでもあります。つまり、自分も「この人はこういうタイプだからこうだ」という見方をされている、ということを自覚せねばならんわけですな。


思考の近道③ハロー効果

”ハロー効果”はなにかっていうと、「人は目立った良い特徴を持った人を見ると、他の面も優れているって思い込む」っていう効果です。ハローは”後光”って意味なので、「目立った特徴がピカピカ輝いてると、他の弱点もその光が照らしてくれる」みたいなイメージですね。

たとえば、顔がイケメンでスタイルが良い人を見ると、「性格も良くて、スポーツもできそうだな」って思いがちです。これがハロー効果です。

つまり、人は「何か1つ優れたところがあると、他の部分まで優れて見えちゃう」傾向があります。


しかし、冷静に考えてみてください。「イケメンは全員親切ですか?」って聞かれたらどう思いますか? 「そんなことはない」ですよね。要するに、実際は「見た目が良い=中身も良い」にはならないわけです。

ただし、今いったようなハロー効果は、大した問題ではありません。というのも、イケメンが親切と勘違いされたからって、特に問題が起きるわけじゃないですからね。むしろ嬉しいくらいです。

で、問題になるのは、「逆ハロー効果」っていう現象のほうです。これはなにかっていうと、ハロー効果の逆で「目立った悪い特徴がある人は、他の面も悪いって思われる」ということです。まぁすっごいわかりやすくいうと、中身が福士蒼汰でも、見た目がバナナマン日村だったら、もうなんか全部アウト。みたいな話です。

たとえば、ブサイクな人は、ブサイクなだけで、「つまらなそう」「信用できない」と思われがちです。厳しい世界です。

つまり、最初に相手に悪い印象を与えてしまうと、他の面まで悪いように見られてしまいます。ですので、誤解っていう意味でいうと、こっちの逆ハローの方が問題になります。


で、めちゃめちゃ当たり前なんですが、その人に一つ悪いところがあるからといって、他の面まで悪いとは限らないですよね。たとえば、顔面がブサイクだからって頭が悪いとは限らないし、もしかしたら中身は福士蒼汰かもしれません

ともかく、人は見た目から中身を知ることが出来ないはずなのに、見た目をもとに『こういう正確なんだろう』と判断してしまうということです。


そんなわけで、ここまでをまとめると、まず第一印象で良いところを見せると、ハロー効果によって弱点は消せます。しかし、第一印象で悪い印象を与えてしまうと、逆ハロー効果によって他の面も悪く見えます。

要するに、見た目が福士蒼汰だったら中身がクズでも許されるけど、見た目が日村だったらなにしてもアウト。みたいなのが現実ってわけです。笑

(ちなみに誤解のないように書いておくと、僕は日村さん大好きです)


思考の近道④偽の合意効果

偽の合意効果はなにかっていうと、「他人も自分と同じように考えているという思い込み」のことです。


たとえば、

「え?いまどきTwitterやってないの!?」

「え!?この曲知らないの!?有名だよ!」

「え、飲み会の乾杯って、普通、ビールじゃないんですか!?」

こんな風に、「自分では普通だと思っていたことが、他の人にとっては普通じゃなかった」って経験、ありますよね。

つまり、人は「自分にとっての”普通”は、みんなにとっても”普通”」だと思い込む傾向があります。これを「偽の合意効果」と言います。要するに、「え?だって、普通でしょ?効果」みたいなイメージです。


で、これがどう誤解につながるのかって話なんですが、よくあるのはこんな感じ。

レストランでのデート。

男「この席にしよっか」
女「うん!」
男(先に席に座る)
女「え、」
(「普通、女性を先に奥の席に座らせるのがマナーじゃない?この人、気が使えないんだな...」)

こんな話、たまにありますが、これも偽の合意効果です。

つまり、この女性は「女性を先に奥に座らせるのが世の常識」と思っているわけなので、自分を先に座らせなかった彼を「この人は非常識!」として判断します。

ところが、男性からしたらそもそもそれは常識として存在していなかったのかもしれません。つまり、彼からしたら「自由に座るのが普通」と思っていて、悪気があってそうしたわけでは無いかもしれないですよね。

要するに、”自分が常識だと思っていることは相手も常識だと思ってるはずだ”って思い込むことによって、お互いに誤解が起きるわけです。これが「偽の合意効果」による誤解です。


冷静に考えて、お互いの「普通」にズレが生じることはしょうがないわけです。たとえば、「普通は20代で結婚するもの」と思う人もいれば、「30代で結婚するのが普通」って考える人もいます。生まれや育ちはみんな違いますからね。

だから大事なのは、「みんなそれぞれ”普通”は違うんだ」ということを理解すること。そして、「自分の常識を押し付けないこと」です。

たとえば、あなたに付き合っている彼女がいたとしましょう。あなたは「20代で結婚するのが普通」と思っていても、付き合っている相手は「30代で結婚するのが普通」と思っているかもしれません。このように”普通”がズレるのは当然のことです。

大切なのは、そこで、「もうすぐ30歳なのに、まだ結婚しないの?普通は20代で結婚するもんでしょ」と、自分の常識を押し付けないことです。相手は「30代になったら結婚しようかな」と思っているかもしれません。

とにかく、人は「自分の普通はみんなにとっても普通」と考えてしまう生き物だ、だから自分の普通を他人に押し付けないようにしようね、ということです。


まとめ

というわけでざっくりまとめると

人は他人の印象を「思考の近道」を使って決める

・思考の近道②ステレオタイプ
→こういうタイプの人=こういう人 という思い込み

・思考の近道③ハロー効果
→すごい人=全部すごい
→ダメな人=全部ダメ
という思い込み

・思考の近道④技の合意効果
→自分が思ってること=みんなも思ってる
という思い込み

こんな感じでした。

要するに、人は常にいろんな思い込みで他人を判断しているわけです。だから、常に自分は思い込みで見られているという自覚が必要で、同時に、自分が相手を見るときも「思い込みで判断してないかな?」って考える必要があります。

「第一印象は最悪だったけど、話してみたらめっちゃ良い人だった!」みたいなことってよくありますからね。思い込みで判断するとあんまよくないです。


そんなわけで、人って他人を勝手な憶測で判断してるんだよって話でした。このnoteでみんなの偏見が少しでも減ればいいなって思ったりします。


で、次回は、最も大事な「じゃあ、誤解されないためにはどうしたら良いの?」って部分について解説。

それでは、また次回!


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#1「透明性の錯覚」

#2「確証バイアスと初頭効果のコンボ」

#4「他人に嫌われる3つの条件」

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