スクリーンショット_2018-07-28_10

【人が誤解し合う理由】なぜあなたは、あの人に誤解されてしまうのか#1

こんにちは、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。


最近、ものすごい素晴らしい本に出会いました。

ハイディ・グラント・ハルバーソンさんの「誰もわかってくれない」。

ハルバーソンさんは名著「やってのける」で有名ですね。


この本では「人は誤解しあいながら生きている。その誤解によって人を嫌ったり、人間関係を壊している。では、誤解されないためには何が大事なのか?」みたいなことが書いてありまして、人間関係のかなーり本質的な部分が記された、神本でした。

で、ですね。

みたいなわけで、ざっくりとまとめてみました。

この本は「誤解の本質」が書かれていると言っても過言ではありません。友達ができにくい人や、敵を作ってしまいがちな人は、ぜひお読みください。


それでは、GO!


section①
人は「思い込み」が激しい生き物

まず、本書で通して主張されているのは、「人はそもそも思い込みで相手を見てる。だから誤解が起きるんだよ。」ということ。というのも、人は相手の印象を「この人はきっとこうなんだろうな」と無意識のうちに思い込んでしまうから、お互いに誤解が生じるのだ、と。

たとえば、電車の中で、親切のつもりで女性に席を譲ったのに、「そんなおばさんじゃないわよ!失礼ね。」などと言われたり。また、上司に「ごめんなさい」と言ったつもりが、「え?謝られてないけど?」と言われたり。こんな経験って結構ありますよね。

とまぁ要するに、人はお互いにいろんな「思い込み」をしながら生きてるんです。本当は悪気がなくても、『わざとに違いない』と勘違いしてしまうんです。そして、その「思い込み」によってお互いの解釈に相違が生じ、人間関係がごちゃごちゃしてしまうわけです。


で、「じゃあ、具体的にどんな思い込みがあるの?」って話ですが、よくありがちな思い込みは、主に以下の2パターン。

①透明性の錯覚

1つ目の思い込みパターンは「透明性の錯覚」。これは何かっていうと、「自分が思っていることは相手にしっかりと伝わっているはずだ、という思い込み」のことです。

わかりやすく例えるならば、自分では「あいうえお」と発音したのに、相手からしたら「あいう」くらいにしか聞こえてなかった、みたいなイメージですな。

要するに、自分からしたら「自分の考えてることは透明でスケスケ」って思っていても、相手からしたら真っ黒で何も見えてなかった、みたいなことってよくあるわけで。とにかく、人は「自分が思っていることはちゃんと相手に伝わってるはずだ」っていう思い込みが激しい生き物です。


これは実際に面白い実験がありまして、これはマニトバ大学のジャッキー・フォラウさんらが行った実験。この実験ではまず、参加者に2人1組のペアになってもらい、2人で討論のようなものをしてもらいます。ちなみに、実際の討論の内容はこんな感じでした。

「妹がある男と結婚しようとしている。しかし、自分はその選択は間違いだと思っている。なぜなら、その男には他に女がいて、信頼できないからだ。ところが、妹はその男に夢中である。さて、どうすればいいか?」

これについて2人で話し合ってもらいます。

で、この実験では、討論を始める前に、参加者には「ある態度」を取ってもらうようにお願いします。そして、お願いしたのは、以下の5パターン

①自分の考えを曲げないでください

②ちょっと妥協してもいいから、相手が満足する結論に着地してください

③お互いが同じくらい妥協するようにしてください

④相手にどう思われてもいいから、とにかくベストな解決策を見つけるように努めてください

⑤議論で勝つことよりも、相手に好感を持たれることだけ意識してください

このどれかのスタンスで討論に臨むようにお願いします。

で、この実験では何を調べたのかって話ですが、参加者にはこの討論の後、「相手はどの態度で話していると思いましたか?」ということを聞いてみました。つまり、「人の考えることって、どれくらい伝わってるの?」ってことを調べてみたわけですね。すると、その結果、

相手がどの態度を取っていたかを、正しく予測できた確率は、たった「26%」だった。

とのこと。つまり、相手の気持ちを理解できる確率は、「5つの中からランダムに選ぶよりはちょっとマシなくらいの精度」しか無かった、ということですね。要するに、自分が意図している事というのは、結構伝わってないわけです。

で、ここからが面白いところ。この実験では、この後に参加者に「自分の態度は、どれくらい相手にバレてると思いましたか?」ってことを聞いてみます。たとえば、①の『考えを曲げないように』のスタンスで話した人には、どれくらい「”こいつ考えを曲げないように話してる”って思われてるなー」と感じたか、を調べる感じです。

要するに、「自分の態度はどれくらいスケスケだと思う?」って事を調べたわけです。するとその結果、

60%の確率で、「自分の態度はバレバレだったと思う」と考えていた。

んだそう。これって不思議ですよね。つまり、実際には26%しか伝わっていないのにも関わらず、平均して60%も「伝わってるはず」と思っていたわけです。

要するに何が言いたいかというと、人は2〜3倍くらい「相手は自分のことをわかってくれてる」と思い込む生き物なんです。

だからたとえば、カップルの喧嘩でありがちな「なんでわかってくれないの」の原因は、これです。つまり、相手には30くらいしか伝わっていないものを、自分では「100伝わっているはずだ!」って思いこむわけです。そして、この70の差が「なんでわかってくれないの」っていう誤解の正体だったと。

つまり、「言わなくても伝わる」という言葉は嘘で、正しくは、「言わなくても2、3割くらいは伝わる」だったわけですね(笑)。本当は「言わないと伝わらない」わけです。むしろ、思っている3倍くらいで伝えて、やっと自分が思っているのと同じくらい伝わります

というわけで、とにかく、人は「自分が思っていることは相手にしっかりと伝わっているはずだ、という思い込み」が激しい生き物だ、という事です。


②言動が解釈を経由することによる誤解

2つ目の思い込みパターンは、「言動が解釈を経由することによる誤解」です。これはどういうことかと言うと、「人によって見え方が違うものを、相手も自分と同じように見えているはずだ、と思い込む」ことです。例えるならば、人によっては赤に見えたり、青に見えたり、黄色に見えたりするものを、「みんなも赤に見えているはず!」って思っちゃう感じです。


たとえば、電車の中で美女と目があった場面を想像してみてください。あなたは、その美女がなぜ、こちらと目を合わせたと考えますか?

もしかしたら、美女はあなたに「この人、カッコいいかも」と好意があって見つめていたのかもしれないし、「あの人のスマホケースいいなー」と、単なる興味本意で見ていただけかもしれません。もしかしたら、「うっわ、こいつマジキモい、なにしてるんだろう」って思って見てきたのかもしれません。

つまり、人の言動というのは、その人の解釈の仕方次第で、見え方がいくらでも変わるわけです

たとえば、メンタリストDaiGoさんを「知的な人」「メンタリスト」って思う人もいれば「サイコパス」「胡散臭い人」って思う人もいるかもしれないですよね。とにかく、同じものであっても、解釈は人によって異なるわけです。


そして、これはつまり、あなたがどういう人に見えているかも、人によって違うという事です。たとえば、自分では「俺は普通より優しい」って思っていても、他人からしたら「あの人は不親切な人」って思われてることもあるわけです。

これは1987年に行われた研究なのですが、この研究では44組の夫婦を対象に「お互いの事をどう見てるか?」ってことを調べてみました。具体的には、「結婚カウンセリングに通っている、うまくいっていない夫婦」と、そうでない夫婦が半分ずつでした。つまり、「うまくいってる夫婦と、そうでない夫婦では、パートナーに対する見方が違うんじゃないか?」ってことを調べてみたわけです。

すると、わかったのが

①うまくいっていない夫婦は、パートナーのことを、本人が思うより低く評価した。たとえば、夫は「俺は優しい方だ」と思っているところを、嫁は「夫は全然優しくない」と思っていた。

②うまくいってない夫婦は、パートナーの悪い行いを”人格”のせいにし、自分の悪い行いは”状況”のせいにする傾向があった。

とのこと。

②はどういうことかというと、例えば、嫁は、夫が旅行に忘れ物をした時には、「この人は忘れ物が多い、だらしない人」というように、行いを「人格」のせいにしがちだったと。対して、自分が忘れ物をした時には、「私は普段はマトモだけど、今日はたまたま忘れ物しちゃった」というように、行いを「状況」のせいにしがちだった、ということです。

つまり、うまくいっていない夫婦というのは、相手のことを”必要以上”に悪い人だと思い込んでいたわけです。たとえるなら、自分では優しさが100あったと思っていたのに、相手からしたら40くらいにしか見えていなかった、みたいな感じです。


とにかく、ここで言いたいのは、人は「自分が見えているのと同じように、周りも見ていると思い込む」ということ。この思い込みによって「優しくしたはずなのに、フラれた」みたいな誤解が生じるわけです。ですので、「周りは自分が思っているように見てくれていない」、というのを前提に生きた方が賢そうですね。


まとめ

というわけで、section①では、「人って思い込みによって誤解が生じるんだよ」という話でした。ざっくりまとめると、

ありがちな誤解は2つ

①透明性の錯覚
→相手もわかってくれてるって思い込み。研究によると、人は2〜3倍くらい「自分のことをわかってくれてる」と思い込む。

②解釈の経由
→相手も同じように思ってくれてるって思い込み。物事は人によって解釈が違うのに、「全員が同じように思っている」と思い込む。

のような感じでした。

とにかく、『相手は自分のことを分かってくれている』という思い込みを捨てるのが大事です。


section②では、「じゃあ、そもそも何でこんな思い込みが起こるの?」って話を。section③では、「じゃあ、誤解されないためには何をしたらいいの?」って話になるのですが、書いていたら長くなったので、今回は一旦ここまで。続きは次回のnoteで解説いたします。

それでは、またお会いしましょう。


続き

#2「確証バイアスと初頭効果のコンボ」

#3「思考の近道」

#4「人が他人を嫌いになる3つのパターン」



参考






1記事あたり、ざっくりとリサーチに4時間、構成に30分、執筆に6時間。合計9時間ほど時間を掛けて執筆しております。 『ためになった!』という方は、サポートをいただけると、次のnoteを執筆するモチベーションになります。 気が向いた方だけで構いません。よろしくお願いします。