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【キモい人は何をしてもキモい】なぜあなたは、あの人に誤解されてしまうのか#2

こんにちは、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。


前回に引き続き、「だれもわかってくれない」の解説です。

とりあえず、前回をざっくりおさらいすると

人は常に他人のことを「思い込み」で判断する。それで誤解が生じる。

そして、ありがちな思い込みは2つ。

①透明性の錯覚
→相手もわかってくれてるって思い込み。研究によると、人は2〜3倍くらい「自分のことをわかってくれてる」と思い込む。

②解釈の経由
→相手も同じように思ってくれてるって思い込み。物事は人によって解釈が違うのに、「全員が同じように思っている」と思い込む。


みたいな感じでした。とにかく、人って思い込みが激しい生き物だよって話です。

で、今回は、「じゃあ、そもそもなんでこんな思い込みが起きるの?」って部分についてのお話し。


section②
思い込みの原因は「認知的ケチ」

まず、「なんで人って思い込んじゃうの?」って話ですが、結論から言いますと、「人は認知的ケチだから」です。これはどういう事かと言うと、「人はなるべく多くのことを考えないで、出来るだけ楽して生きたがる」ということです。


たとえば、手元のスマホを見てみてください。あなたはスマホを見て、どんなイメージが湧きますか?

おそらく「これは鉄でできていて、中にはICチップが内蔵されていて、通信技術によって・・・」みたいに考える人はいないですよね。普通は、「スマホ=TwitterとかLINEが見れるもの」くらいの情報が分かればいいはずです。

つまり、人は、目の前のことすべてに対して、細かい所まで考えてると疲れてしまいます。だから、できるだけ最短ルートを通って、必要最低限のことだけ考えていたい、と思っている。その結果、他人のことを詳しく知らない状態でその人の人となりを判断してしまう。これが「認知的ケチ」の意味です。とにかく、人の脳はサボり屋さんだよ〜って話です。


で、ここまでを聞くと「サボっちゃいかんな、よく考えなきゃな」って思うかもしれませんが、この「認知的ケチ」は、僕らがうまく生きていくために必要なシステムでもあります。

たとえば、空を見て黒い雲が見えてきたら「雨が降りそうだな〜」と、なんとなく予想しますよね。つまり、「雲→雨」という「思考の近道」をするわけです。こうやって「思考の近道」をしながら暮らした方が便利です。なぜなら、100%ではなくても、そうである確率が高ければ「思考の近道」を知っていた方が有利だからです。たとえば、雲が出たからって100%雨が降るわけではないけど、「雲=雨の可能性が高い」ということを、知らないよりは知っていた方が有益です。知っていれば傘を持っていけますからね。

こんな感じで、とにかく「思考の近道」は僕たちの生活を便利にしてくれています。この思考の近道のおかげで、椅子を見たら「座れるやつだ」って思うし、パソコンを見たら「文章が書けるやつだ」って思えるわけです。


ところが、この「思考の近道」によって、人を憶測で判断してしまい、人間関係に誤解が生じてしまうこともあるわけです。

たとえば、太っている人がいたら「運動できなさそうだな〜」って思うかもしれないし、「普段だらしない生活してるんだろうな〜」と、あなたは思うかもしれません。でも、もしかしたら、「実は、去年までプロのサッカー選手で、今は社長をやってる、ウルトラエリートだった」みたいなこともあるかもしれないですよね。

要するに、ここで言いたいのは、「人は認知的ケチだから、思考の近道が大好き。そのおかげで生活が便利になってる。でも、その思考の近道が、誤解の原因にもなってるんだよ」という話です。


では、「じゃあ、どういう思考の近道のパターンがあるの?」って話ですが、代表的なものをいくつか紹介。


①確証バイアスと初頭効果

まず、確証バイアスとは何かっていうと、「自分の考えが”間違ってる証拠”ではなく、”正しい証拠”だけを集めてしまう傾向」のこと。わかりやすく言うと「自分の考えと同じ意見だけを見ちゃう」みたいなイメージです。

たとえば、「副業は解禁すべき!!」と考える人は、”副業を解禁してはいけない理由”が書いてある記事ではなく、”副業を解禁すべき理由”が書いてある記事を読みがちです。

つまり、人は、自分が「こうだ!」と決めつけた瞬間から、自分の考えと違うものは無視し、自分の意見を支持する証拠だけを見てしまいがちだ、というわけです。確証バイアスとはだいたいこんな意味です。


そして、これは人間関係でも全く同じことが起きます。つまり、「この人はこういう人!」と思っていると、その印象が正しいことを証明する証拠ばかりを見るようになってしまいます。

たとえば、仮に悠斗くんという男性がいるとしましょう。悠人くんは服装にはあまり気を使わないタイプですが、他人に気が使える人間です。

ここで悠斗くんを「優しくて親切な人」と思っている人は、「あ、ドアを開けてくれた、やっぱり優しいなぁ」「飲み物がなくなってるのに気づいてくれた!やっぱり気が効くなあ」みたいに、悠斗くんが「いかに優しい人かを証明する行動」に目がいきます。

対して、悠斗くんを「だらしない人」だと思っている人は、「あ、悠斗くんシャツの襟汚れてる。やっぱり普段からだらしないんだろうな」「メガネのレンズ汚なっ」というように、悠斗くんが「いかにだらしない人かを証明する行動」ばかりが目につくようになります。

要するに、人は自分が信じているように世界を見ています。優しい印象の人は優しい行動ばかりしてるように見えるし、キモい印象の人はキモい行動ばかりしてるように見えてしまいます。これが確証バイアスです。


で、次に「初頭効果」。これは何かというと、「人の印象は、最初の印象に引っ張られる」という効果のことです。


たとえば、以下の2人の印象を考えてみてください。

Aくんは嫉妬深くて、頑固で、批判的で、衝動的で、真面目で、知的な人。

こう見ると、「本当は頭いいのかもしれないけど、冴えない感じなんだろうな」って思う人が多いと思います。対して、Bくんはこんな感じ。

Bくんは知的で、真面目で、衝動的で、批判的で、頑固で、嫉妬深い人

これはAくんと言ってることは同じでただ順番を入れ替えただけなのですが、印象がちょっと違いますよね。先に良い印象を与えることで、「確かに悪い面もあるけど、優れた人なんだろうな。むしろ弱点くらいあるよね。」っていうプラスの印象になります。


つまり、人は「最初の印象でその人の印象が固定され、その印象によって後の印象の感じ方が変わる」というわけです。これが「初頭効果」です。


これは実際にいろんな研究で確認されてまして、本書では面白い実験が紹介されています。

これは1993年に行われた実験なのですが、この実験ではまず、仲の良い友人2人組を集めます。で、彼らには「一緒にいる友人は、どんな性格?」ってことを聞いてみます。たとえば、「知的」「自分がある」「面白い」などなどな感じですね。要するに、「友達のことを普段どう見ているか」を調べたわけです。

で、そのあと、ペアの片方の人には簡単なゲームをしてもらい、もう片方の人はその様子をビデオで観察してもらいます。ちなみに、ゲームの内容はこんな感じらしいです。

・知識を問うクイズに答える(東京の人口は何人?みたいな)

・スタッフに電話して、部屋の音量を下げてもらう

・「”コルク栓抜き”、”休暇”、”大災害”、”グローブボックス”。この4つの単語を使って、物語を作ってください」

・とっておきのギャグを披露してください

僕だったら絶対にやりたくない感じのハードめなゲームですが、とにかくペアの片方にはこのゲームをやってもらいます。

で、この実験では何を調べたのかって話なんですが、この実験ではゲームの後、「観察していた友人」と、「見ず知らずの観察者」の二人に、「ゲームをしている彼、どうだった?」ってことを聞きます。具体的には、「どれくらい知的な振る舞いだったか」「どれくらい面白かったか」などを聞いてみたそうです。

要するに、「既にその人の事を知っている人と、知らない人では、行動の印象が変わるんじゃないか?」ってことを調べたわけですな。

するとその結果、こんなことが分かりました。

・友人の行った評価は、見ず知らずの人の行った評価に比べて、バイアスまみれだった!

とのこと。要するに、既にその人のことを知っている友人から見た場合、行動の印象が、元の印象に引っ張られてしまった。たとえば、友人のことを「コイツはいつも面白い」って思っている人は、たとえ友人がクソスベっていたとしても「面白かった!」と評価した、みたいな話です。


この実験からもわかる通り、人は最初に持った印象によって、後の行動の見え方が変わってきます。要するに、バカな人は何をやってもバカに見えるし、知的な人は何をしても知的に見えるわけです。これが、初頭効果です。

たとえば、最初に会った時に優しかった人が、コーヒーをこぼしたら「たまたまなんだな」って許してあげられます。しかし、最初に会った時に遅刻してきた奴がコーヒーをこぼしたら「たまたま」ってならないですよね。「まーたやったよ」ってなります。ですので、第一印象をミスると人生ハードモードなわけです。


そんなわけで、ちょっと長くなりましたが、とにかく、人は「確証バイアス」と「初頭効果」によって他人の印象を決めています。

人と人が会うと、まず最初に「初頭効果」でその人の印象が固定されます。そして、確証バイアスによって、その印象を支持する証拠にばかり目がいくようになってしまいます。


つまり、第一印象で「この人は悪い人だ」と思われてしまうと、「悪いところ」ばかりを見られるようになり、より一層「この人は悪い人だ」と思われてしまうわけです。これが誤解の原因です。


まとめ


というわけで、ここまでをざっくりまとめると、

・人は認知的ケチ。できるだけ「思考の近道」をしようとする。これによって誤解が生じる。

・具体的には、「第一印象」でほとんどが決まる。
まず、初頭効果で印象が固定される。
すると、確証バイアスによって、その印象がさらに強化される。

みたいな感じでした。


要するに、誤解されがちな人は第一印象からミスっていたわけです。最初にダメな印象を与えてしまうと、初頭効果と確証バイアスの超絶コンボによって、あとは何をしても基本的にダメなやつって思われてしまいます。

ですので、「第一印象が全て!」みたいな話は割りかし間違ってなかったわけですね。もちろん、印象をひっくり返す方法もありますが、割とハードコースです。


というわけで今回はこの辺で。

また、次回お会いしましょう。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。


#1「透明性の錯覚」

#3「思考の近道」

#4「他人を嫌いになる3つのパターン」

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