土曜七時の青い鳩【ショートショート】【30日間毎日note：その6】

窓を叩く音がした。土曜の午後七時。いつもながら、弟は時間には正確だ。

窓を開けると、小さな青い鳩が飛び込んで来た。

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「これが３号？　可愛らしく出来てるね」

私が話しかけると、青い鳩は、弟の声で笑った。

「だろ？　このデザイン、姉ちゃん好みだと思ったよ」
「声もクリアだね。私の事、ちゃんと見えてる？」
「勿論。２号より、カメラ性能は上がってるし」

青い鳩の丸い目が、ちかちかと楽しげに光った。

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私が、自室から出られなくなってから、一年が経つ。

ようやく最近、ドア越しに、母と筆談じゃなく会話が出来るようになった。

弟の手作りの、小さな鳩のロボットのお陰だ。

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「姉ちゃんが飲んでるの、赤ワイン？」
「ノンアルコールのね。母さんに差し入れてもらったの」
「俺は、本物の赤ワイン飲んでるよ。乾杯しよう」
「うん」

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まだ、弟とは、鳩越しにしか話せない。

いつかドアを開けて、大好きな家族と、顔を合わせられますように。

願いを込めて、青い鳩の瞳の向こうへ、グラスを高く上げた。

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田原にかさんの企画「毎週ショートショートnote」に参加しました。

お題は、「伝書鳩パーティー」！
何ですか！ そのパワーワードは！ と、思いながら、思いついた話を書かせて頂きました。

ちなみに、この企画、今朝、知りました。もっと早く知りたかった……！

ちなみに、私がこの企画を知ったのは、鈴懸ねいろさんの作品です。
綺麗でぞくっとする物語。

タイトル絵は、Atelier hanamiさん。「みんなのフォトギャラリー」より、使わせて頂きました。ありがとうございます。

Atelier hanami｜note