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カーテンを閉めて

遠い日の
失われた魔法に
思いを馳せる窓辺

幾つまでだったろう
カーテンを
体に巻き付けただけで
おひめさまになれたのは

今はもう
おひめさまになど
なりたくはない

かぼちゃの馬車に乗るよりも
自分の足で歩きたい

それでも時には
歩き疲れて

厚い雲に覆われた夜空に
見えない星を探す

---★---

こんな日は

ただひとつ
手元に残った魔法を試す

カーテンを閉めて

おひめさまの衣に
護られた部屋の中で

灯りを消して
目を閉じて

自分の中へと降りていく

---★---

真っ暗で
何も見えない

けれど

何も見えなくても
どこに何があるかを
知っているから

自分の星の在り処まで
まっすぐに降りて

見えない星に触れて
手触りを確かめて

祈りを捧げる

---★---

私の闇の色を
決めるのは
私だけ

漆黒は
全ての色を含んで
全てを優しく包む空

漆黒は
全ての色を吸い込んで
旅へと誘う川の水

抱えるにしても
包まれるにしても

暖かな闇を
優しい闇を

---★---

祈りは眠りに溶けて

窓の外側と
私の内側で

星が瞬く夢を見る

---★---

朝になれば

夢を忘れて
歩き始めるだろう

それまでのひと時
魔法の中で

おやすみなさい






✴︎

この詩からフレーズを抜粋、加筆して、オリジナル曲を作りました。

お目に掛かれて嬉しいです。またご縁がありますように。