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諸外国の「ものづくり」の状況とトレンド①

スマートマニュファクチャリングサミット事務局です。

今回は、「インダストリー5.0」に向けて、現在進行形で進んでいる「インダストリー4.0」について、世界各国の流れや、求められる背景についてお伝えしたいと思います。

■ドイツからスタートして欧米で進むインダストリー4.0への対応

近年の諸外国のものづくりを取り巻く環境を見ると、米中対立の激化により進むグローバルサプライチェーンのデカップリング、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで顕在化したサプライチェーン分断のリスク、ロシアのウクライナ侵攻などによる資源価格の高騰などの影響を受けて、欧州や米国の製造業で国内回帰の動きが加速しています。

一方、技術面では、製造業のデジタル化を推進する「インダストリー4.0」が、1970年代からの第3次産業革命(IT技術を用いた工場のオートメーション化)に続く第4次産業革命として提唱されて、欧州と米国を中心に推進されています。「インダストリー4.0」とは、具体的には、製造過程の工場で稼働する機械や作業員がネットワーク化され、その製造過程で収集された情報をビックデータ解析やAIの活用をすることによって、生産の高速化・効率化を図る取り組みです。

こうした動きは、まず2013年にドイツ政府が主導して発足した製造業のデジタル化を推進する「プラットフォーム・インダストリー4.0」(PFI4.0)まで遡ることができます。発足から10年が経過したPFI4.0は、2023年4月に開催された世界最大の産業技術見本市「ハノーバーメッセ」で、自動車分野のデータ共有エコシステムである「カテナX」のベータ版を初の実装例として発表しましたが、参加企業や団体数は世界で150社を超える動きとなっています。

米国では、少し遅れて2014年にIBM、インテル、AT&T、シスコ、GEの5社によって、IoT(インターネット・オブ・シングス)を推進するインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)が設立されました。IICの2017年時点の加盟企業・団体数は270を超えており、世界最大の団体となっている。その他、フランス政府が主導して進めている「インダストリーオブフューチャー」や中国政府が強力に推し進めている「中国製造2025」など、世界各地で第4次産業革命への対応が進んでいます。

日本でも経済産業省が2017年に、データを介して、機械、技術、人など様々なものがつながることで、新たな付加価値創出と社会課題の解決を目指す産業のあり方であるConnected Industries (コネクテッド・インダストリーズ)を提唱しました。(経済産業省 ものづくり白書2018年版)その中で、「自動走行・モビリティサービス」、「ものづくり・ロボティクス」、「バイオ・素材」、「プラント・インフラ保安」、「スマート・ライフ」の5つの分野を重点領域としているが、製造現場だけでなく製品の開発・設計、調達、サプライチェーン、保守管理などのすべての工程を含めたデジタル化(DX)がなかなか進んでおらず、日本の製造業の生み出す付加価値が上がらない要因となっています。(山縣敬子・山縣信一)

今回は、「インダストリー4.0」を取り巻く各国の動きをご紹介させて頂きました。次回は、

各国で進む「インダストリー4.0」への対応が加速する「5つの理由」

についてお伝えしたいと思います。